第25話 東屋での出来事(ディアナ視点)

東屋で彼と別れた後、私は先程言われたことを呆然と考えながら廊下を歩いていた。


"レイ様は私を好きになったわけではなかったのね。学園に入ってから急に私に関心ある素振りをなさっていたから期待しちゃったけど………彼は私を手駒として動かすために私に飴を与えていただけなんだわ。私が彼のことを好きなのは態度でバレバレだろうから、甘い態度は効果的だし"


そこまで考えて、気分はより沈んでいった。


"いえ、良い方に考えるべきだわ。見せかけでもレイ様と呼び恋人みたいな態度を取れるのだもの。幸せだわ。私から積極的に好意を示し続けたらもしかしたら好きになって貰えるかもしれない。秘密の仕事を任せてくれるくらいには信頼されているのだから、そんなに難しくないはず!"


そう意気込むことにしたが、ふと兄の言葉を思い出した。


"確か、レイ様が誰を選んだとしても裏切ってはダメとか言われたわね。小さい頃から私たちを見ていた兄には、やっぱりレイ様が私に関心あるようには見えていないのね………レイ様が他の方を愛するなんて………耐えられるかしら。王族は第2夫人、第3夫人を迎えることも出来るから、家柄的に私が追い出されることはないだろうけど………でも、そもそもお母様を第1夫人と第2夫人の争いで亡くされたようなものだからレイ様がそれを選択なさるかしら。もし愛する方が現れたら、その人を守り愛していくような気がするわ………"


「捨てられる」


急にそんな考えが浮かび、ゾッとして全身から血の気が引いていった。


"レイ様の愛する人になれなければ私に未来はない………"


"どうか………私を愛して………"

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