第23話 ディアナ嬢に会いに行く

「ディアナ嬢はいるか?」


俺はロデルナ領主代理グループの執務室の扉が開いていたため、ドアをノックしながら近くにいた女生徒に話しかけた。


「で、殿下。お会いできて光栄です」

顔を真っ赤にしながらもそう答えた女生徒がディアナ嬢の方を指差した。


サンジュリアンと親しげに話しているディアナ嬢が見え、少しイラッとしながらもディアナ嬢のところへ歩いていった。


「やぁディアナ嬢。サンジュリアンも久しぶりだな。お前もロデルナグループに入ったのだな」


「まぁ殿下。どうされたのですか?」

話している最中に突然話しかけたため、ディアナ嬢はビックリしていた。


サンジュリアンからは少し間があり「ご無沙汰しております」とだけ返答があった。


「ディアナ嬢に少し話しがあってね。すごく楽しそうに話してたけど話は終わったか?」


話の途中に割り込んだにも関わらず俺は聞いてみた。


「ええ。大丈夫ですわ。サンジュリアン様がロデルナに詳しいのでお話を伺っていただけなので」


「では行こう」

俺はディアナ嬢の背中に手を回して執務室の出口にエスコートしながら、


「サンジュリアンとずいぶん親しくなったみたいだね。私の名前は呼んでくれないのに、サンジュリアンのことは名前で呼んでいるんだね」


ちょっと気まずそうにディアナ嬢は笑い、

「以前から顔見知りということもありましたが、話してみると意外に話が弾みまして」

と返事してきた。


「私とは話しにくい?」

と意地悪く質問すると予想通りディアナ嬢は慌てて、


「いえ!そんなことないですわ!殿下のことを彼にお聞きしていただけなんですの」

とまさかの俺情報を聞き出していたことを暴露してきた。


「何か有益な情報は貰えた?」

サンジュリアンとは今現在は少し気まずくなっているが、昔は気安く付き合っていただけに少し不安になりながら聞いた。


「殿下と剣の鍛練をした頃のお話とかそんな思い出話をお聞かせ頂いただけですわ」


「そうか。………ディア。そろそろ二人っきりのときはレイと呼んでくれないか?まだ一度も呼んでくれてないよ」

と俺は以前デート帰りに伝えたかったことをようやく伝えた。


「殿下は、アルストロメリア王子殿下の手前、愛称で呼んでほしいとおっしゃったんだと思っていました。本当にお呼びしても宜しいのでしょうか」


「もちろんだ」


「わかりましたわ。………レイ様」

少し恥じらいながらもディアはそう呼んでくれ微笑んでくれた。今日は背中に手を回してエスコートしていたため、少し距離が近くドキッとしてしまった。


俺は顔に出そうになるのをなんとか堪え、話を続けた。


「最近、庭園の東屋がお気に入りでね。そこで少し話をしよう」

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