第5話頼もしい友人

数日が経ち、木曜日を迎えたが未だに宇佐美とは話せずにいた。

挨拶は返してくれるものの他のこととなると取り合ってくれない彼女。


「ねぇー、いつになったら仲直りできんのさ?由夏達は」

呆れた表情を浮かべながら、やれやれといった風な仕草で訊ねてきた。

「何度も話し掛けてるけど......蛍が」

「はぁ~あっ!そんないけないことしてないのに蛍んちゅは意地っ張りっていうか何ていうかっ!」

深くため息を吐いて、バンッと机を叩き立ち上がった初瀬名屋。

「昼休みになったら一発言ってやるっ!これ以上長引かせると面倒になるし、カタをつけなよ!由夏なんだから何とかなるっしょっ!」

教室に響き渡る声で宣言して、背中を押す声を掛けてくれた彼女。

「ありがとう、頑張って......みるよ」

「それでこそっ由夏だよ!由夏がくよくよしてんのは調子狂うぅっ」


休み時間の私と初瀬名屋の会話は、こういったものだった。


昼休みになり、昼食を口につけることなく駆け出し、教室を出ていく初瀬名屋。


「由夏、あんな友達想いな娘なんてそうそういないんだから。大切にしないとダメだよ」

と、声を掛けてきたクラスメイトの女子。


「うん、そうだよね」

と、彼女に返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る