第2話不機嫌な宇佐美と感じる羞恥

翌日の週が明けた月曜日、登校して教室に足を踏み入れると友人と駄弁っている宇佐美の姿が視線の先にあった。

「どうよ、良くない?これっ!」

「う~ん、強調してない感じがいいね!どこのやつ?」

「......蛍、おはよう。きのっ──」

「はよー。うわぁ、オシャレじゃん──」

楽しく会話を交わしている宇佐美に隣まで近付き、挨拶をして謝ろうとしたが、不機嫌さを纏わせた普段より低いトーンで目線すら合わせてくれず、挨拶を返し、友人との会話を再開させた彼女。

やっぱり機嫌が直ってない......会話さえまともに取り合ってくれない。

私は席へと急いで、椅子に腰をおろし、通学鞄から教科書類などを取り出して机にしまう。

Bluetoothのイヤフォンで好きなアーティストの楽曲を聴き、机に突っ伏し、ため息が漏れた。


バカだなぁ......私。はぁー、もう私って......こんなに──



「──うさんっ!──とうさん、──てるのっ!三藤さん、起きなさいっ!」


と、叩き起こされ突っ伏していた上体を起こすと息の荒い教師が睨み付けていた。

いつの間にか眠りについていたらしく、授業が既に始まっていた。


やっ、ヤバい......よりによって、この──


「あっあのっ、ごめんなさい。寝不足だったと言いますか、あのぅ、ああぁっと──」

「今度から気を付けてね、三藤さん。次は──」

教師が教卓へと歩きだし、授業が再開された。


うっ、うぅぅ......居眠りがこんなに恥ずかしいなんて。



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