第18話噴出する恐怖
アゴノが秘密基地の屋上へ向かうと、アリゲーターナイト・デカンクラッシュ・グリムディーン・ヒカリの四人がすでに来ていた。
「お前たちも感じたか。」
「はい、アゴノ様。」
「このただならぬ感覚は忘れられません。」
「これは世界的に面白いことになるぜ、ヒヒヒヒ!」
「笑っている場合じゃないわよ!!」
そして雷太が屋上へやってきた。
「なあ、どうしたんだよ?それにあの方って、あんたがボスじゃないのか?」
「遊撃隊のボスは私だ、ただ遊撃隊の力の源を司っているから、私より立場は上になるがな。」
そしてアゴノたちが来るのを待っていたかのように、暗雲に大きな穴が開いて、そこから巨大な竜が首を突き出して顔を覗き込んだ。
「うわあ!!なんだあれは・・・。」
雷太は驚いて腰を抜かした。
『アゴノよ・・・、そなた一体何の目的であんなことをした?』
「アースライゴン、私が何をしたと言っているのですか?」
見るからにこれがアゴノの言う「あの方」なのだろう、そしてその名はアースライゴンということがわかった。
『とぼけるでない!ラブァー・モンスターの封印を解いたのは、お前なのか!?』
アースライゴンの声は厳かに怒っていて、プレッシャーが衝撃波のごとく襲いかかった。
雷太はプレッシャーをこらえていたが、アゴノは平然と立っている。
「ラブァー・モンスター?なんですかそれは?」
アースライゴンはアゴノの顔をさらにのぞきこんだ、そして顔を離すとアゴノに言った。
『アゴノ、お前はラブァー・モンスターのこと本当に何も知らないのか?』
「うん、今さっき名前を知っただけ。」
『そうか・・・、疑ってすまない。』
「いいですよ、それよりあなたがここへ現れたのは、このラブァー・モンスターをなんとかしてほしい・・・ということですか?」
アゴノが訪ねると、アースライゴンはアゴノに語った。
『ラブァー・モンスターは、この地球のマグマを司る存在として我が産み出したものだ。だがかなりの荒くれでな、かつて地上でマグマを噴出させて多くの命を奪ったという悪行を重ねていった。そういうことがあり、我が直々にある火山に封印した。だが数日前にその封印が、何者かによって解かれたのだ。火山のかなり奥に封印したのだがなあ・・。』
アゴノは封印を解いた犯人について、心当たりがあった。
「まだ確信はありませんが、火山の奥へと入ることができる技術力があるとするなら、ダークサイエンス・・・、ドルクスたちしか考えられない。」
『あいつらか・・・、アゴノに対抗するためにラブァー・モンスターを利用しているとでもいうのだろうか?』
「おそらく、そうですね。それで私たちは何をしたらいいのですか?」
『ラブァー・モンスターを討伐してほしいんだ、このままにしておいたら必ず大惨事になるだろう。』
「それで、ラブァー・モンスターはどこにいますか?」
『封印の地である大海の島の火山にて、力を蓄えている。その火山はキラウエアと人は呼んでいる。』
「かしこまりました、討伐いたします。」
アゴノはアースライゴンに頭を下げた。
「ありがとう、万が一必要な時はいつでも呼んでくれ。それじゃあ、伝えたぞ。」
そしてアースライゴンは暗雲の中へと戻っていき、そして暗雲が消えて空が晴れた。
「さて、お前たち。全面戦争の時間だ、用意はいいな?」
アゴノは雷太と四人の下僕たちに言った。
「やります、アゴノ様!」
「無論、おれもだ!」
「フフフ、これはいいひまつぶしになるぜ!!」
「この世界を救うため、私は全力を尽くします。」
「うむ、雷太はどうする?」
アゴノは来馬に言った、雷太はこの時ラブァー・モンスターの復活がドルクスによるものだとは思わなかった。
「やるよ、ラブァー・モンスターの討伐に協力するよ。」
「わかった、感謝するよ。」
アゴノと雷太は握手をした。しかし雷太は内心では、まだ刹那の味方だという気持ちがあって、どっちを取るかはっきりと決めていなかった。
ハワイのキラウエア火山のふもとに小さな拠点をおいたドルクスたちと刹那、ラブァー・モンスターの様子を観測しながら、この地で戦力を蓄えていた。
「刹那、そうイライラするな。ラブァー・モンスターの力は着々と、力を高めている。」
「それはそうだけど・・・、雷太から何も連絡がないのよ。」
「ふっ・・・、もう処刑されたか逆に利用されたか・・・」
「何を言っているのよ!!雷太が・・・雷太がアゴノに屈する訳が無いわ!!」
「どうかな?最近、雷太から何も連絡はなく、こちらにもどってくることもない。まあどちらにしても、おれは来馬のことはもう味方とは思えないなあ。」
すると刹那のスマホが鳴った、刹那が出ると来馬からのメールが来ていた。
【今まで連絡できなくてゴメン、アゴノはアースライゴンの命令でラヴァー・モンスターを討伐しようとしています。ですのでアゴノがそちらに集中している間に、こちらの戦力を高めたほうがいいです。】
刹那はほっとしていたが、ドルクスは文章を読んであることに気づいた。
「おい、来馬の奴。ラヴァー・モンスターのことが、おれたちの計画だと知らないようだぞ!!」
「え?・・・・ああっーーーー!!」
刹那は頭を抱えて叫んだ。
「しまった、来馬に伝えること忘れてた!!」
「今すぐ伝えておけ、どのみち邪魔されたら面倒だ。」
刹那はすぐに来馬にメールでラブァー・モンスターの件が自分たちの計画だということを伝えた。
「ふう・・・、これでよしと。」
「まだ生きていたのか・・・。アゴノの野郎、まだ泳がせているのか?」
するとすぐに来馬からメッセージが来た。
【え?それ、本当なの・・・?おれ、アゴノに協力するって言ってしまったんだけど。】
「だったら、もう逃げなさい!戻ってくるのよ!!」
と刹那はメールを入れた。
【うん、そうす】
刹那がメールを見ると、不自然な文章が送られていた。
「これは何・・・?」
「ん?あー、そういうことか。」
「どういうことよ、ドルクス?」
「メールをしているときに、捕まったんだよ。さて、来馬は無事に帰ってこれるかな?」
「そんな・・・」
刹那は青ざめた顔で意気消沈した。
そんな時だった、地面が急に大きく揺れた。
「これは・・・!!」
「ドルクス様!!キラウエア火山が噴火しました!!ここはマジで危険す!!」
シュウがドルクスに言った。
「よし、全員退避だ!!逃げるぞ刹那!!」
そしてドルクスと刹那たちは拠点から脱出して、近くに止めてあった飛行機に乗って空へ上がった。
そして空から地上を見ると、溶岩がものすごいスピードで流れていた。それは大地を高温を含んだ赤い恐怖が飲み込んでいくすさまじい光景だった。
「拠点もすっかり飲み込まれたね・・・。」
「どうやらラブァー・モンスターのエネルギーが急速に高まっているようだ、このぶんだともう作戦を始められるかもな。」
そして飛行機内のラジオから速報が流れた。
【緊急速報です、世界中のいくつかの火山が同時に噴火する現象が起こりました。噴火している火山は、ハワイのキラウエア火山や日本の富士山など二十一種類で、世界中で噴火による影響が出ています。】
ドルクスはこの速報を聞いて、ラブァー・モンスターへの期待が増々高まった。
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