第11話東京スカイ戦争【前編】

丸の内駅で秋谷を捕らえたナイラ・ゴブリノ・アマジャー・ヒュミノの四人は、秘密基地に秋谷を連れ帰ってきた。そしてアゴノの部屋へと入ってきた。

「アゴノ様、刹那の仲間の一人を捕らえました。」

「よし、よくやった。捕らえたのはこの人だけか?」

「はい、他にシュウもいましたが、逃げられてしまいました・・・。」

「いや、それだけでもよくやった。下がってもいいぞ。」

「では、失礼します。」

四人は部屋から出た、拘束された秋谷にヒカリとアリゲーターナイトが顔を近づけた。

「あなたのお名前を教えてくれるかしら?」

「ふん!そんな優しい顔で言われても、あたしは絶対に言わないよ。」

秋谷は開き直った態度に出た。

「どうしましょう?」

「まあいいよ、私たちが聞き出すまでもないから。」

アリゲーターナイトがヒカリに言った。

その言葉の通り、アゴノはそっぽを向く秋谷を見て言った。

「秋谷里織・東京都池袋西出身・身長160センチ・24歳の独身・大好物はエクレア・前職はコンビニのアルバイトとデザイナーか、プロフィールはこれで合っているか?」

すると秋谷の顔は青ざめ冷や汗が出た。

「うそ・・・!?どうして私のことがわかるのよ!しゃべってもいないのに。」

「ふふふ、アゴノ様は相手の記憶から相手の情報を全て知ることができるのです。」

「だからあんたがわざわざしゃべることも無いし、黙り込んでいても全てわかってしまう。」

「何それ!?プライバシーポリシー貫通じゃないか、超コワ・・・」

秋谷はアゴノにドン引きした。

「それで秋谷さん、あなたには刹那のグループについて詳しく教えてほしい。」

「嫌よ、絶対喋るもんか!!」

秋谷は子どもみたいにアッカンベーをした。

「えっと、体重62キロ・元カレがいて、フラれた理由は彼の浮気・コンプレックスはガサツな性格・・・。」

「だーかーらーっ、プライバシーの侵害をするんじゃねえよ!!」

「じゃあ、私の質問に答えてくれ。」

「ぐっ・・・、わかったわよ。」

秋谷の心の中で刹那への忠誠心が、自分の羞恥心に敗北した。

そして秋谷は刹那の組織について話だした。

刹那の組織に秋谷が入ったのは二年前のこと、デザイナーの仕事にはげみ充実した日々を送っていたが、自分の勤めていた店が経営不振で閉店。次の就職先が思うように見つからずに、誰にも相談できずに塞ぎ込んでいた。そんな時、ネットの掲示板にて刹那の組織に関する記述を読み、興味本位で入隊を申し込んだ。そして指定された場所で刹那と面接し、正式な入隊が決定した。

秋谷が入隊したときには来馬・珠美・松野の三人がいて、三人は自分と同じくそれぞれが暗い過去を持っていた。

秋谷は元不良ということで、昔から腕っぷしは強かった。そこを刹那に高く買われて、武道派メンバーとして名を上げていった。

自分が今までしていたのは、爆弾のセットと物資の調達(購入や強奪)である。

「これで私が知っていことは、全て話した。それであたしはこの後、サツに売られてしまうのか?」

「ああそうだ、明日警察が引き取りにくるらしい。」

そうするとアゴノは、秋谷の拘束を解いた。

「な・・・、これはどういうつもりだ?」

「お腹空いているだろ?警察が来る前に、ウマイものを食べさせてやる。」

そういうとアゴノは、秘密基地のキッチンへ向かっていきご飯を作り始めた。








一方こちらは、刹那たちの拠点。東京スカイツリーを爆破する計画が、ちゃくちゃくと進んでいた。

「それで作戦当日は何人でやるの?」

「最低でも二十人はいる、こちらで味方を集めておくけど、刹那は何人くらい集められる?」

「そうね・・・、東京都内だと三十人くらいかしら?」

ドルクスと刹那が作戦について話し合っていると、来馬がやってきた。

「おい、ドルクス。遊撃隊を攻撃しよう!」

「何を言っている?今は東京スカイツリー爆破作戦のほうが最優先だ。」

「そう言っている間にも、秋谷がどんな目にあっているかわかんないんだぞ!!」

「秋谷・・・?そんなやついたか?」

ドルクスは刹那の顔を見た、刹那は首を横にふった。

「そんな・・・、おい刹那!!今まで活動していた仲間だろ?そう簡単に見捨てていいのかよ!?」

「いい加減にして!!」

刹那は来馬の顔をビンタした。

「確かにそうだけど・・・、遊撃隊から救いだす方法があるの?あたしたと遊撃隊では雲泥の差ほど力がちがうのよ!」

刹那に言われて、来馬は冷静になった。

「刹那の言うとおりだ、力の差を少しは考えろ。」

ドルクスが言うと来馬は去っていった。

そして拠点の片隅で来馬は一人で、あることを考えていた。

そもそも遊撃隊と刹那たちではまるで力が違う、それなら遊撃隊を妨害して力を落としてしまえばいい。

そのためには遊撃隊の外側よりも、内側から攻めていったほうがいい。

はっきり言ってかなり危険なことだが、危険なことは百も承知である。

「ヤバイこともあるけど・・・、刹那のためにおれはなんだってやるぞ!」

来馬は独断でスパイをすることにしたのだった。








そして翌日、いよいよデストロイゴールタワー計画が始動した。

ドルクスと刹那たちは、東京スカイツリーの近くに集合し、改めて作戦を確認した。

「まずシュウと松野らで東京スカイツリーの内部に突入し、中にいる人たちを追い払って占拠する。そしておれと刹那でエレベーターを使って展望台へ上がり、さらにそのまた上へと上がっていく。そして最上部へ到着したら、この爆弾をしかけて下に降りて、全員東京スカイツリーから脱出する。これがおよその作戦だ。」

ドルクスが言うと、全員が頷いた。

そして刹那のスマホが鳴った、外部の協力者からの連絡だ。

「はい、刹那です。・・・はい、ありがとうございます。もう大丈夫です・・・うん、それではまたね。」

刹那はスマホを切った。

「今、仲間たちから連絡が入って、爆弾のセットが完了したようです。」

「よし、それじゃあデストロイゴールタワー計画、開始!!」

そしてドルクスは爆弾のスイッチを押した。

そして現実世界とドルクスが映したモニターに、衝撃的な出来事が起きた。

爆弾が仕掛けられた九つのビルが爆発して、ものすごい音と一緒に崩れ落ちた。

「すごい・・・、まるで爆破工事みたいだ。」

「小さいのたった一つで、ビルを爆発させるなんて・・・。」

爆弾の制作に関わった珠美は、改めて爆弾のすごさに息を飲んだ。

「これで三つのビルが爆破された、残り六つのビルとスカイツリーはいずれ爆発させる。」

「よし、それじゃあ作戦開始だ!!」

そして刹那たちとドルクスは作戦に向けて動き出した。








そして同じ頃、小牧市某所にある秘密基地のテレビでアゴノは、三つのビルが爆発する映像を見た。

「ドルクス・・・、派手なことを・・・!!」

「アゴノ君、これはどうにかしないと!!」

教授の言葉にアゴノはうなずいた、そしてすぐに下僕たちを招集した。

「どうしましたか、アゴノ様!?」

アリゲーターナイトが言うとアゴノは言った。

「東京都でビルが三つ同時に爆発した、犯人は不明だがドルクスと刹那たちが犯人である可能性が高い。あいつらのことだ、この後も何かが起こる!食い止めるぞ、下僕たちよ!!」

アゴノのかけ声に下僕たちは「承知しました。」と敬礼した、そしてアゴノは教授と下僕たちと一緒に現地へと向かった。









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