第5話デスペラード・ダークフリーデン
そして翌日、いよいよこの時がやってきた。
今日はパラリンピック選手選考会を爆破する計画を実行するのだ。
「それじゃあ、作戦を説明するわね。」
刹那はみんなを地下一階に集合させて、計画の説明を始めた。
「まず、私と秋谷とオリオンは清掃員に変装して裏口から侵入。トイレやドームの観客席の下に爆弾をセットする。そして非常口の扉に鍵をかけて、出入口の封鎖はドルクスに任せるわ。そして十分後に会場を爆破するという筋書きよ。」
みんなは「わかった!」と声をそろえて言った。
「あれ?そういえば信さんは?」
「ああ、そういえば何か準備があるから後で行くって言っていたわ。それじゃあみんな、作戦開始!!」
そして刹那たちはすぐに行動を始めたが・・・、ドルクスはパラリンピック選手選考会の会場には向かわずに、会社のすぐ真上に浮いているデスペラード・ダークフリーデンのところにやってきた。
「調子はどうだい?」
「ああ、とてもいいよ。操作の心地もパワーも、すばらしいよ!!少年の頃、自分がこんな風に巨大なロボットを操って、家や駅やビルなどを豪快に破壊していく妄想をよくしていたけど、それが現実に叶うとは思わなかったよ。」
「そうか、それは良かったな。それじゃあ一緒に行こうか。」
ドルクスは合図をすると、シュウたちを招集した。
そしてドルクスたちとデスペラード・ダークフリーデンは、パラリンピック選考会会場へと向かって飛んで行った。
そしてここはパラリンピック選考会会場、ドルクスは他のみんなよりも遅れてやってきた。
「遅いわよドルクス、一体何をしていたのよ。」
「すまない、こちらで準備をしていてね。」
「準備って、どんな準備をしていたのよ?」
「それは言えない、もしもの時の作戦だ。」
刹那は首を傾げたが、すぐに作戦を実行した。
刹那と秋谷とオリオンが清掃員に変装して会場の裏口から入る。
そして爆弾を仕掛け終えたらオリオンから、『矢は命中した』という合言葉で連絡が入るはずだ。
ところが会場に入ってから二十分後、来馬のスマホにかかったのは刹那のこんな一言だった。
『早く助けに来て!!』
それを聞いた来馬はライフに危機が迫っていることを直感した。
「刹那に何かあったんだ、おれが助けに行ってくる。」
来馬が言うとドルクスも一緒に行くと言い出した。
「なんで一緒に行くんだよ?」
「前の例にならって、遊撃隊が妨害している可能性があるからな。そのために、おれの力が必要になる。」
「わかった、足を引っ張るなよ。」
こうして来馬とドルクスとその仲間の一人・フヌガは、裏口へと入っていった。
来馬は拳銃を持って辺りを注意深く見ていながら歩いている。
そして通路を歩いていると、後ろから大きな物音が聞こえた。
「誰だ!!」
来馬が後ろに拳銃を向けた、すると来馬の背後からジャガーが襲いかかってきた。
「あぶない!!」
ドルクスがすばやく攻撃して、ジャガーを倒した。
「いててて、本当にドルクスは強いわね・・・。」
ジャガーはそう言って立ち上がった。
「ドルクス、どうやらデカンクラッシュの犬共のようだ。」
そして三人は、ジャガーとジャッカルと黒いペガサスに取り囲まれた。
「ちょっと、私たちは犬じゃないんだけど~」
「そうだぞ、ちゃんと名前を呼んでくれよ!!」
「ドルクス、こいつらちゃっちゃとかたづけるか。」
「ああ、そうだな」
ドルクスとフヌガは攻撃を始めた、バトルはとても素早く来馬が入り込んで参戦する隙はなかった。
そしてジャガーとジャッカルと黒いペガサスは倒れた。
「すげえ、全員倒した・・・。」
「いや、まだこいつらは戦える。」
ドルクスの言う通り、三匹は立ち上がって戦闘体勢をしている。
「うわあ、なんか立ち上がってる!!」
「アマジャー・ジャッカルギー・ジャージーペガサス・・・、トラ鼓舞隊のメンバーが相手か。確かに簡単には倒れないか・・・。」
「そうよ・・・、私たちは負けないんだから!!」
「ここからが本番だ、気合い入れるぞ!!」
「ヒヒーーーン!!」
三匹は一斉に襲いかかった、来馬はとっさに拳銃を発砲させジャッカルギーの左肩に命中した。
「ギャウウ―――ッ!!」
「お、やるじゃないか。」
ドルクスとフヌガはアマジャーとジャージーペガサスを退けた。
そして来馬は左肩を撃たれたジャッカルギーに馬乗りになって、後頭部に拳銃を向けた。
「動くな!!こいつを撃つぞ!!」
「うっ・・・しまった。」
「な・・・そんなことして、いいと思ってんの!?」
「うるせえ!!おれたちはテロリストだ、ただの悪党じゃねえんだぞ!!」
『ふーん、そうなんだ。』
「・・・来やがったな。」
「ええ、しかも二名です。」
そして目の前に堂々と歩いてきたのは、アゴノとデカンクラッシュだ。しかもデカンクラッシュは、刹那を拘束して連れていた。
「来馬!!」
「お前の仲間のよう・・・あっ!!ジャッカルギー!!」
『ジャッカルギーを人質か・・・、ドルクスがやりそうなことだ。』
「いや、来馬が偶然撃ったのがジャッカルギーの肩に当たって、それに乗じて来馬が人質に取ったんだ。」
「来馬・・・、ごめんね。爆弾は全て取られて解体されてしまったわ・・・。」
「そんな、それじゃあ他のみんなは!?」
「他の下僕たちに捕らえられてしまったわ・・・。」
『刹那が言った通りだ、お前がジャッカルギーを人質にとってもなんの意味もない。今すぐに解放したほうがいいぞ。』
「ぐっ・・・、くそっ!!」
『さあ、大切な下僕たちを返してもらう。」
アゴノはパワーストームの力で、来馬から拳銃を奪った。
「返せ!」とアゴノに突進しようとした来馬は、アマジャーにタックルされて倒れた。そしてジャッカルギーを取り返して、アゴノのところへ渡した。
そしてアゴノはジャッカルギーの肩から銃弾を抜いて、傷の手当てをした。その間、アマジャーとジャージーペガサスがドルクスたちを睨んで牽制した。
そんな状況でドルクスは言った。
「ここがおれによって封鎖されていることは知っているはずだ、そんな状況で使えない下僕を助けるとは・・・、のんきなことだ。」
「確かに、ダークパワーストームの力でここに閉じ込められたことは把握している。だがこんなことをしてどうする?ここを爆破する方法は、お前の力以外に考えられない。」
「そうだ・・・、おれが授けたこの兵器以外になあ!!」
ドルクスは指を鳴らした、それから五秒後に会場から爆発する音が聞こえた。
『なんだ、この音は!?』
するとアゴノの脳裏に、テレパシーが入った。アゴノには下僕たちとテレパシーで会話できるのだ。
「アゴノ様!会場上空に巨大なロボットが現れ、攻撃を開始しました!!」
『なんだと!今から向かう!』
そしてアゴノはドルクスを睨んだ。
『そういうことか・・・貴様。』
するとドルクスは神速の如くデカンクラッシュの背後に回るとわき腹を攻撃して、デカンクラッシュがよろけた隙に刹那を奪い返した。
「デカン!!」
「ぐっ、申し訳ございません・・。」
「さて、爆撃の時間だ。」
そしてドルクスたちは、会場の中へとワープしたのだった。
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