第10話

「アリエッティ宛てに手紙届いてたよ」




私宛に手紙…?


私宛のお届け物は実家からの仕送りくらいしか来ないので手紙は珍しい。


王室の方からは何も来ないし、働こうと思ってもケイトは王子だからか就職方法を知らないし、私は現実でも働いたことがないのでこっちの世界の事は分からないのでシャルル家からの仕送りに頼っている状態だ。




「ここで働かせてください!」と言っただけでは無理らしい。正直派手な暮らしをしたいとは思わないので仕送りだけで十分だけど。


はっ、今までは食べ物とか洋服と一緒にお金を入れてくれてたけど、もしかしてついに現金だけで来たか!?いや、ギフト券や商品券、株主優待券、図書カードなどの可能性もある…!!




しかし差出人は実家ではなくシリウスさんとマリアさんという方だった。誰?


しかも封筒を開けたら中身は手紙だけで、その内容は2人の婚約パーティの招待状だった。一回、婚約を婚活と読み間違えて勝手に恥ずかしくなった。




「シリウスって名前の人、確かアリエッティの地元の国の第一王子にもいたけどもしかしてその人?」




シリウス…王子……あっ。




「私の元婚約者だ…」




あの全然好みじゃなかった人。


すっかり私の脳内から消えていた。だって興味ないし。




「アリエッティ婚約してたの!?」




そういえば私たち、過去の話とか全然してなかった。




「でも私、婚約破棄されてる身だし、呼ばれる心当たりないんだけど…」




私ひどいことしてたみたいだし。


婚約パーティーは結婚式じゃないからとりあえずいっぱい呼んじゃえみたいなノリ?っていうか婚約でいちいちパーティーするんだ。やはりお金持ちは発想が違う…




「アリエッティは自分を婚約破棄してきた人に会いたくない?」




「いや、別に…」




私はその人に好意を持っていた瞬間がないし、なんかもう本当にどうでもいいというか。




「とりあえず行ってみる?タダだし美味しいもの食べて帰るだけとか」




この国の王子とは思えない発言が出ました。




パーティーとか行ったことないけど、逆にパーティーがどんなものなのか見るっていうのもありかも。






そんなこんなで、私たちは元婚約者の婚約パーティーに行くことになった。

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