第3話
あれ?ここは······マール村の外れ······?
「グキャァァァァ!!」
「お前ぐらい今の俺でも!!」
えっ!? 俺は突然聞き覚えのある声に振り向いた。 そこには······俺?
何故か俺じゃない俺が、ファントムに斬りかかってるのが見えた。この場所······この光景······まさか!?
俺は、あの時の事を思い出し、これが夢だと気づいた。や······やめろ······!! これ以上先を見せないでくれ!!
俺がそう願っても、夢から覚めることは無く、夢の俺は、ファントムの首を斬り落としてた。
「ははっ···調律師にならなくても、言葉も話せない最下級なら俺だって!!」
違う! 早くその場から離れるんだ!!
じゃないと······
「こらレイ!! なんでこんなところにいるの!」
「あっ! ステラ姉さん見てくれよ!! 俺だって最下級位なら倒せるんだぜ!!」
「全く······って! レイしゃがんで!」
夢の俺は、ステラ姉さんに言われるままにしゃがみこんでた。
頭があった場所に、ステラ姉さんは銃を構え発泡した。
弾道の先には、首を斬り落としてたはずのファントムが、襲いかかってきてた。 ステラ姉さんの弾丸を受けたファントムは、塵になって崩れ去った。
そう···最下級でも首を斬り落としただげしゃ倒すことが出来ない。 でもその時の俺は、まだ知らなかった。
「な······なんで? 俺確かに首を斬り落としてたはずなのに···」
「最下級でも調律師じゃないと、倒しきることは出来ないのよ」
「で······でも! 街では調律師以外の人も、戦ってるって!」
「確かに人手が足りない街は調律師以外も戦ってる。 けど!! あくまで倒すんじゃなくて、その場しのぎって事なの。 だから! こんな無茶はもうしないで!」
「わかったよ、ステラ姉さん······」
あの時の俺は、ステラ姉さんの言葉を、素直には聞いてなかった。
いずれ俺も調律師になるんだから。今から戦っても良いじゃんか。と、むしろ修行としてはもってこいじゃないかと、そんな事すら思ってた。だが、そんな甘い考えも、この後ステラ姉さんの言う通り素直に従ってたらと、後悔と言う荒波に飲み込まれるのだった......
「さてと、それじゃ無事ファントムも倒したし戻ろうか? レイ」
「わかったよステラ姉さん······アレ? 空が······!? ステラ姉さんアレ! 空が!!」
「えっ!? アレは······」
「なんでまた
「アレは、
リボーンゲート––本来は、1回ゴーストゲートが現れた討伐すると、何故か暫くは出現しないのだが、過去に討伐した直後、新たにゲートが現れて、進撃して来た事があったみたいだ。
ただ······いつも通りのファントムなら、そこまで問題になることは、無いだろうが······リボーンゲートから出てくるファントムは、記録によると、何倍も強いファントムが出てくるらしい。
分かりやすく人類は、そのファントムを上級ファントムと呼ぶ事にしてた。
そう······このゲートから出てくるファントムは、当時の······いや!! 今の俺が見てきた中でも最凶のファントムだ!
そして、この後の戦いを俺は知ってる···俺が馬鹿なせいで···
「レイ! 早くマルコ達を呼んできて!! 呼んだらレイは、村のみんなの避難を!」
「わかった!! すぐ呼んでくるから死ぬなよ!」
そう言って夢の俺は走って行った···
「ステラ姉さんに手を出すなー!!」
はっ! 夢の俺がファントムに、斬りかかりに行ってた。ファントムが居た場所の先には、必死に立ち上がろうとしてる傷だらけのステラ姉さんが居た。
「無能ナ雑魚ハ引ッ込ンデロ!!」
そう言ってファントムは、首を狙った夢の俺の腕を掴み、ステラ姉さんの方に投げ飛ばした。俺は、ステラ姉さんに受け止められる形となりながら、投げ飛ばされ木に直撃した。
間にステラ姉さんが居たから傷は少なかった。
「ステラ姉さん大丈夫!? 生きてるよな!?」
「勝手に殺さないでよ······それよりなんで戻ってきたのレイ?」
「村の人達を、避難させてたら凄い爆発音が聞こえて、それで心配になって······」
「まったく······あれほど無茶をしないでとレイに言ったのに······ありがとう少し回復できたから、ここに居て」
満身創痍な姉さんは、そう言ってファントムと対峙する為に、立ち上がり前に出た
「別レノ挨拶ハ済マセタカ小娘ヨ?」
「そんな事······する必要は無いわ!」
そう言ってステラ姉さんは、銃を構えた銃口に小さな魔法陣が展開された2丁の銃から弾を連発した--冷気を纏った弾、燃える弾、そして他の弾よりも弾速のはやい弾。
その三種類の弾を、叫びながらランダムに撃ち続けた!!
「うおぉぉぉぉ!!」
「チッ!小賢シイ真似ヲ!」
ファントムは、ステラ姉さんの弾を避けながら急接近してきた。 そして······グシャ!
「終ワリダ小娘」
「ゴフッ······か···かかった···わね」
そう言って2丁の銃をファントムに向けたステラ姉さんは、かすれてく声で呟いた。
「
「グッ!グアァァァァ!!」
ステラ姉さんが放った弾は、大きな渦の中を、爆発させながら進み、目の前のファントムが消し飛ばされていた。
俺は、大怪我をしてるステラ姉さんに急いで近づいた。 俺が近づいた時には、お腹は溢れ出る血で真っ赤になってた。
そんな、死にかけのステラ姉さんは、夢の俺を抱きしめてきた。
「よ···よかっ······た···」
「ステラ姉さん!! ごめん······ごめん!! 死なないでくれ!! 1人にしないでくれ!!」
「あん······しんして······また······あえ···る····か······ら·······」
そう言ってステラ姉さんの手や体から力が抜け、俺の腕に姉さんの重みが伝わってきた。
「えっ! ねえ······さん? ······ステラ姉さん!! 起きてよ!! 置いてかないでくれ······」
ステラ姉さんの亡骸を抱きしめてながら、夢の俺は泣きながら叫んでた。
「ステラ姉さん!! 姉さん!! ······うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
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