第5話 期待値MAX

切腹せんとばかりに謝るメール。そんな慌ただしい様子を治めようとアルファは口を開く。

「だ、ダイジョブだよ。俺もまだそんな強くないし。ははっ」

「いや。君は強いよ。」

「え?」

アルファの慰めに、カリオストロは、辛辣な返しをする。だがそれは、アルファに期待をもたせるものだった。

「瞬間移動したのわかったろ。」

「あ〜!確かに!」

アルファは、色んな事が起こりすぎて瞬間移動のことを忘れていた。思い返すと、それは、ありえないことである。

「君は強い。だから瞬間移動したんだ。」

「強さとどんな関係が?」

もちろん瞬間移動をしているのはカリオストロで、アルファは、便乗しているだけなので、アルファの強さとの因果関係がわからなかった。

「一般人なら瞬間移動するときに発生する魔力の波動で、気絶するよ。でも、君は何も感じなかった。気絶しないどころか、体調も万全だ。魔法はまだ使えなかったとしても、君は強い。」

「だからあの人!」

カリオストロは瞬間移動と強さの関係について説明する。その説明の中で、アルファは、気づく。カリオストロを初見したとき、隣りにいたボディーガードのような男のことを。推測ではあるが、おそらく彼は、瞬間移動に耐えられないので、一緒に連れて行かなかったのだろう。

「あぁ、あいつの事?そうだね~」

短い文章でともに理解し合う。

そのとき、アルファは1つ気になったことがある。それは、その男を置いてまで、瞬間移動する理由だ。なのでカリオストロに質問する。

「瞬間移動してまで、急ぐ必要って、、、なんかあったんですか?」

「あぁ、ただ"上の奴ら"がうるさいからね。」

「なんか面倒そうですね。」

アルファの正直な言葉に「ははは」と同情して笑うカリオストロ。

っとそこに割り込んでくるのは、メールと同じメイド服を着た男だ。

「カリ様ぁ〜。そろそろお時間でぇ〜。」

「はいはい。」

典型的なオカマだった。少し気持ち悪そうにその男を見るアルファの視線に気づいた。その男はニコッと

「彼が新しいレベル10様でぇ〜。なかなか良いかおしてるねぇ〜。」

「おい、カリオストロさん。あなたのメイドたちキャラ濃すぎないか?」

顔を褒められるのは初めてだったので、少し照れつつ、ストレートな悪口を言うツンデレなアルファ。

「そうかな。僕はもう慣れちゃったけど。」

「酷いですぅ〜。アルファ様ぁ〜。カリ様ぁ〜。」

「そ、そうです、そうです!」

カリオストロは何もしてないが、しっかりと文句を言うその男。メールはそれに便乗する。

アルファは、自分の名前を知っていることに驚く。アルファはもう巷では有名人なのか。

「もぉ〜。話脱線しちゃったじゃない〜。時間がないんだってばぁ〜。」

「ごめんごめん。」

意外としっかりしているこの男。その指摘にアルファは素直に謝る。

「じゃぁこっち来るのねぇ〜。ふたりともぉ〜。」

「そんれじゃ、ついてきて。」

カリオストロの支持にアルファは軽くうなずく。

近未来な自動ドアが開くと、パイプがむき出しの廊下が続く。コンコンと金属を叩くときに鳴る高い音と共に歩く。


数分間、しばらく同じ景色が続く廊下をただ歩く。気になることは色々あったが冷たい空気に口が凍り、アルファは黙っていた。

「はい〜。目的地到着ぅ〜。」

男の気持ち悪い到着アラームにゾッとなるアルファ。しかしその嫌悪感はすぐに吹き飛んだ。

「でっけー!」

アルファは思わず口にした。アルファの通っていた学校の体育館のざっと100倍はある。そんな大きい空間はアルファの口を強引に開くものだった。

「ここは、第1自由空間。この施設で一番大きいところ。」

カリオストロの説明を聞いたところで「へぇ〜」としか言えなかった。

「あとは頼むよ。モーク。」

「はい〜。」

頼むよと男に言う。男の名はモークというのはわかったが、何を頼んだのかわからなかった。

「アルファ〜くん〜。」

「君にはぁ〜、ここでぇ〜、魔法を習ってもらうのぉ〜。」

アルファの抱えていた質問に対して、期待していた説明を聞きけた。

「魔法!ついに来たーーーー!!」


                                  《続く》


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素質しかない男が、最強を目指して無双する物語 @titirou

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