第6話

 がぁこさんは、マイペースに切り株に腰かけ、琵琶を奏でる。

 お兄さんは、撮影の機材みたいなものを持ってきた。

「きみが初めてだよ。がぁこさんに気づいたのも、ここを突き止めたのも」

「クラスメイトが『がぁこちゃんねるっ!』の話をしていたんです。動画にカルガモの親子がいたから、ここかなって」

「すごい観察力だ。動画を見ただけでは場所を特定されないように気をつけていたのに」

「たまたまです」

 僕は、すごくなんか、ない。

 学年2位の成績も、まぐれだ。

 僕は勉強が嫌いだ。でも、資料集を見たり本を読んだり、物をつくることは好き。

 教科書と一緒に使う資料集はすぐに全部読んだし、資料集に出てくるタイトルの本も片っ端から読んでいる最中。映画も見る。美術館や歴史館も行く。数学の図形を真似して描いたり組み立ててみる。

 机にかじって「お勉強」した方が効率が良いことは理解している。でも、今のやり方が楽しくて、続けられる。普段ら貯えている知識があるから、試験前にあせらなくても親が満足する成績は出すことができる。

 そんなことを周りに話したら、嫌な奴だと思われるに違いない。

 色々と恵まれているはずなのに、窮屈だ。やりにくい。生きづらい。

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