君はマリオネット

 まずはその元気な口を閉じて、そして私を見て、私が目を閉じたらキスをして。そう、とってもいい子。

 君は既に私のものだ、私が好きだと言ったら君も好きと言い、私が抱き締めてと言えば抱き締めてくれる。だからそう、君は私のマリオネットだ。私の手の上でいつだって転がされている、主導権は私にある。

「ねえ、待って」

「待てない」

 目を閉じてされたキスは酷く貪るようなもので、抱き締めてと言っていないのに痛いくらいに抱き締められていて。いつの間にか背にはシーツがあって、君の余裕ない顔がそこにあった。

 覆い被さるように唇を重ねられ、その息苦しさに君の背中を少し叩く。それでも君はキスを辞めない。

 酸欠状態の中ふと思う、君はいつもキスをする時に私の髪を耳に掛けていた。寧ろその合図に私が目を瞑っていたかもしれない。抱き締めてと言う前に、君は必ず私を熱視線で射抜いていた気がする。離れた唇を銀の糸が繋いだ。

 マリオネットなのは君じゃなくて私だった。

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