煌星

 人は、誰もが一等星だ。

 唯一無二で全く同じ人間など誰も居ない。それなのに、どうして一番で在りたいと張り合ってしまうのだろうか。ありのままの姿を曝け出して、それを愛してくれる人がいることはどんなに幸せなことだろうか。

 人は、星の数ほど居るという。

 ところで星の数ほどとよく人は言うけれど、そもそも星が幾つあるか知っている人間はいるのだろうか。調べてみた、どうやら銀河系だけでも二〇〇〇億個あるらしい。地球上の人は現在で七七億人居るのに既に大幅超過をしているのだ。あくまでも銀河系だけでこの数で、宇宙全体で換算すると理論上はゼロが二六個も付いてしまうとか。だから人はずっと星よりも少なくて、ちっぽけな存在だ。

 人は、誰もが恒星だ。

 ここで言う「恒星」の定義とは、自らが光を放つ星のことである。対義語としては「惑星」が存在する。この世には光と闇があって人の表面にも心の中にも全て光と闇が存在している。けれど人は誰だって輝いていい、闇に溶けゆく人が居ていいはずがないのだ。

 人は、星が瞬きをする一瞬でなくなる。

 星の一生は様々だが早くて二七〇万年、長い星だと何千億年だとか。人間の一生は精々百年、そう考えるとこの世界は残酷で、一生は儚いものに思えてくる。

 けれど、人は人を愛することが出来る。

 ところで愛するとは一体なんだろう。何を持って愛と定義し、何を持って愛すると定義するのかはわからない。ただわかること、それは恋と愛は違うものなのだ。この短いようで長い人生の中をまだ数十年しか生きていない僕ですら、恋すると愛するの違いは漠然とわかる。けれど何が違うのかまでは説明出来ないのだ。

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