白恋に舞う

 ひらひらと舞い降りた、その白い花は酷く冷たかった。どんなに冷えた僕の手の中よりも冷たかったのだろう、手のひらの上でじわりと溶けて消えていく。まるで元から僕の身体の一部だったかのように、分離した僕たちが一つになるように、そんなことはあるはずもないのに。

 隠しておきたいものがある。無限に、無期限に、永遠に。抱いてしまってはいけない想いをもうずっと抱えているのだ。手放せたらどんなに楽だろう、どんなに屈託のない笑顔を浮かべることが出来るのだろう。捨てても捨てても何度でも、その想いはまるで僕が還る場所とでも言うかのように戻ってくるのだ。要らない、捨てたのだからもう戻って来なくていいのに。いっそのこと降り積もる雪のように、いつか融けてなくなってしまえばいいのだ。頼むから手放させてくれ、忘れさせてくれないか。

 君の笑顔を胸の内に秘めながら僕は想う、君に想いを告げたらきっと冬は終わるのだろうと。

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