親近感
終業を知らせる鐘が鳴った。
周りからは大きく息を吐いて疲れを表現する者、そのまま倒れ込む者、と教室中は解放されたムードになる。
「六限英語はしんどいな……」
そんな俺も数秒倒れ込んで、目を瞑ってから立ち上がる。
「よし、凪」
「ん~」
凪の方も完全にぶっ倒れている。
「凪、帰るぞ?」
「……」
「どうかしたのか?」
気まずそうに凪が俺から目線を外した。
「お前、今日も女子と遊びに行くのか!?」
「今日は……補習」
「あ、ごめん」
「謝るなよ」
言葉は強気なのに目は死んでいる。
「しっかりやってこいよ」
「はーい」
そんな凪を置いて、俺はさっさと教室を出た。
連日ゲーセンに行くほど財政的余裕はないので、今日はまっすぐ家に帰るしかない。
今日は美桜もさっさと帰ってると考えると、ダラダラは出来ないなんて考えていると、目の前から見知った人物が歩いてくる。
「宮村」
「大宮?」
大宮は片手にペットボトルを持って、こちらに向かってくる。
「どこ行ってたんだ?」
「自販機行ってたの。宮村は帰り?」
「今日は直帰」
「相方は?」
誰のことを言ってるんだ。
「凪のことか? 凪なら補習だけど、呼んでこようか」
凪に用事と思った俺は踵を返すが、肩を掴まれてしまう。
「凪くんじゃない」
「俺?」
「肩掴んでおいて他に誰が居るのよ」
彼女に肩を掴まれてしまい、俺は仕方なく彼女の方に向き直った。
「今日、宮村の家行ってもいい?」
「はぁ……えぇ?」
「へぇ、綺麗にしてるのね」
「姑か」
「でも生活感は少し出過ぎね。客を迎える時に気になる」
「姑か」
大宮は俺の部屋に勝手に入るなり、キョロキョロと辺りを見渡す。
「なんでこうなるんだよ……」
「別に変なことしないから安心しなよ」
「男のセリフだろ。それ」
突然、俺の家に来たいと言い出した大宮はその調子を崩さないままに俺の家に付いてきてしまった。
「飲み物取ってくるから待ってろ」
「おー」
階段を降りると、ちょうど帰ってきていた妹とばったり会う。
「ごめん、お菓子とかってどこ閉まってる?」
「お茶請けのこと? それなら戸棚の奥だよ」
「ありがと」
俺が奥の方からお茶請けを探していると、後ろから訝しむ視線を感じる。
「誰が来てるの?」
「クラスメイト」
「凪くんじゃないよね」
「……そうだな。他の友達」
「兄さんに凪くん以外の友達居たの?」
「兄のことを何だと思ってるんだ……」
妹から全幅の信頼を受けていて、非常に嬉しいです。
「もしかして女の人だったり……あぁ、ごめん忘れて」
「あの」
美桜にひとしきり泣かされてから上に上がると、すでに家に馴染んでいた大宮は退屈そうにスマホをいじっていた。
「ん、おかえり」
「すげぇ馴染んでるな」
「なんか男の部屋って感じしないし、ほどほどに生活感があるのが落ち着くんだよね」
「そうですか……」
大宮のペースに合わせることは、もうあきらめた。
「それで今日はうちに来てまで作戦会議か?」
そこまでして俺と吉町をくっつけてくれるのは嬉しいが、そこまで熱意を持たれると焦ってしまう。
だが大宮の方は俺の言葉をただ鼻で笑う。
「何言ってんのよ。遊びに来ただけよ」
「え?」
「遊びに行くって言ったでしょ」
確かにゲーセンの日にそんな話をした気がする。だがその場の会話の流れだけのつもりで言っていたつもりだった。
「まぁ、それは言ったけど……」
「そんなに彼女欲しいの?」
大宮は自意識過剰にも自分の身体を掻き抱くしぐさを見せる。
「何度も言うけど、私は宮村のこと興味ないんだけど……」
「勘違いしないでくれ」
「でもワンチャンあるんじゃね? くらいで思ってない?」
「今本人に言われて、0になった」
「さて何しよっかな」
そんな俺を彼女は思いっきり無視してゲームを入れている棚を漁っている。
「格ゲーやりたいけど、今月お財布がピンチなのよ。据え置き版ならあるってこの前言ってたでしょ?」
「だからっていきなり来るかよ……」
「さ、やるわよー」
「聞けよ」
大宮はゲーム機を勝手に起動させて、まとめてあったソフトをばらしてソフトを眺めている。
「……始めてるし」
「やる気ないの?」
「そういうわけじゃないけどさ……」
「ならいいでしょ。早くコントローラー持って」
「……分かったよ」
正直、あんまり気乗りはしない。
自分の部屋に女子が居ることがソワソワしてしまって仕方がないのだ。
「気乗りしないみたいだね」
そんな俺を見てか、大宮は一つ提案をする。
「じゃあ宮村、一つだけ条件付けてあげる」
「条件?」
「そ、宮村が私に勝つたびに吉町のこと何か教えてあげる」
「具体的には?」
思わず食いついてしまった。
大宮もニヤリと笑うが、そんなことどうでもいい。
「そう、好きな物とか最近ハマってるものとか……」
何かを思いついたのか大宮はニヤリと笑う。
「スリーサイズとか」
「よし、やるぞ」
「素直だね」
「真面目くらいしか売るところがないんだよ」
俺は彼女の横に座るとコントローラーを持った。
「こればっかりは容赦しないからな」
「勝ってからいいな」
『レディ……ファイ!』
カチャ……カタッ……カチャ
勝負が始まれば鳴り響くのはゲーム音だけになる。
お互いにお互いのことを忘れてゲームの中だけに集中する。
最初こそ慣れている俺に分があったが、感性で言えば大宮の方が高く、すぐに五分の勝負になる。
一、二ラウンドを先取した俺は一旦肩を撫でおろしてしまう。
「もしかして勝ったつもり?」
「ここから負けるつもりはないんだが」
「言っておきなよ」
彼女はその言葉の通り、接戦の末に俺から初めての一本を取る。
「マジか」
「まだまだいくよ」
勢いを完全に奪われた俺は、あっという間に四本目を取られる。
だがこのままの流れで負けるわけにはいかない。五本目は固唾を飲むほどの接戦になる。
HPが赤になっても勝負に決着は見えず、お互いに間合いを取る戦いが続く。
「あ」
だがそんな戦いにも決着がつく。
コントローラーから手を離すと、肩に乗っていた何かが消えたような気がした。本当にそれくらいに緊張した戦いだった。
「負けたぁ~」
「よし」
思わず拳を握ってしまう。
「さすがに勝てなかったか~」
「相変わらずギリだったけどな」
序盤はかなりこちらも勝てていた。
だが試合だけ見れば三勝二敗、最終ラウンドまでもつれ込んだ大接戦だ。
何度もやっていれば、そのうち負けるだろうほどに競った戦いだった。
「あの動きってどうやってたの?」
「あれは確か動画で紹介されてたんだけど……」
俺がスマホで話題に出た動画を見せると、大宮もこちらに身を乗り出してくる。
「へ~……」
動画を見せると、真剣な面持ちで動画を見ている。
数分間、二人で動画を見た後、大宮は恐る恐る口を開く。
「……もう一回やらない?」
「別にいいけど……」
「大丈夫、約束はちゃんと果たすから」
「別に約束なんて……」
とは言わないけど
「勝ったら、また何か考えてあげる」
「負けないぞ」
「目つき変わりすぎでしょ……」
再戦を選択し、試合が始まる。
「さっ、二回戦」
「勝った」
「……負けた」
最終ラウンドまでもつれ込んだ二回戦だった。
「最後は完全に読み負けた」
「宮村くんは読みやすい人だからね。コントロールは上級者レベルなんだけどね」
「読み……読みかぁ」
自分でも格ゲーをやっていて隙を突くのは得意だが、その逆に受けが下手なことは何度も感じてきていたことだった。
「そう考えると大宮は読みはすごく上手いよな」
「そこそこね。宮村が分かりやすいってのもあるけど」
「結構酷いな……」
彼女は横目でケータイを覗き込んでから、ゆっくりと口を開く。
「ん、しずくからライン来た.。ちょっと待ってて」
彼女はしばしば画面を覗いている。
「……普段吉町と何話すんだ?」
恐る恐る聞いてみると、大宮の方もちょっとドヤ顔で聞いてくる。
「気になる?」
「まぁ……多少は」
ちなみに全然多少ではない。
「さすがに画面は見せられないけどねー……学校の話とか、休みの日に出掛ける約束とか……恋バナとか」
大宮はわざわざ溜めてから恋バナと付け足す。
「しずくも恋バナ好きだからね。私からわざわざ言わなくても勝手に始めてるよ」
「へ、へぇ……」
「好きな子は居ないとは言ってたけどね」
その言葉に悲しい気持ちになりつつも、どこか安心してしまう。
「じゃあ約束通りしずくの秘密だね……しずくのタイプとかどう?」
「タイプ……!」
「分かりやす」
思わず目が輝いてしまう。
もうどうしようもないものだったらショックだが、変えられるものなら極力変えたい。
「おっけー、しずくのタイプは……タイプは……」
彼女の目が段々と点になっていく。
「……言われてみれば知らないや。今聞こ」
「は!?」
「今ラインしてたし、すぐ返ってくるでしょ」
彼女は普段では考えられないほどの速さで電話を掛ける。
「何やってるんだよ!?」
「電話掛けてんのよ」
「そこじゃないだろ! 何してるんだよ!?」
「だから電話掛けてるの」
「いきな……」
俺の抵抗の言葉が出る前に、電話が繋がる音が聞こえてしまう。
『もしもし真白?』
スピーカーになった吉町の声が室内に響く。
口を手で塞ぐ。呼吸も極力減らす。
心臓の音だけは収まらず、自分の耳に騒がしいくらいに響いている。
『真白から電話なんて珍しい』
「いきなりごめんね。ちょっと聞きたいことがあって」
『はいはーい、何でもいいよ』
「しずくってどんな人がタイプ?」
少しだけ電話口からの反応が遅れる。
『……真白がそんな話するなんて、どんな風の吹き回し?』
「何となく」
『何となくかー』
「気になったから聞いてみたの」
『相変わらず掴めないなー……タイプの人でしょ?』
賢い人? 運動が出来る人? 元気な人?
それとも誰か具体的に好きな人が居るのだろうか。
何が来てもおかしくない。
俺は固唾を飲む。
覚悟は決めている。
『うーん……好きになった人がタイプとか?』
「カマトトぶるな」
『酷いな~本当にそうだと思うんだけど』
「ダメ」
『今日の真白は変だね。じゃあ……』
ちょっとだけ唸る音がスピーカーから聞こえてきた。
『強いて言うならでもいい?』
「もちろん」
『優しすぎる人? かな』
「すぎる?」
二人して首をかしげてしまう。
『優しい人でも良いんだけど、例えば私だけに優しい人はあんまり好きじゃないかな。誰にでも多少躊躇いなく助けてあげられる人が良い。それで私がちょっと困っても』
ちょっと珍しいが、吉町らしい回答だ。
「へぇ~」
大宮も納得したのか頷きながら返事をしている。
『やっぱり変?』
大宮がこちらに視線を移す。
俺は大きく首を振る。
「全然思わないよ。これ本当」
これ本当、は自分の意見だろう。
『真白からこんな話されるとは思わなかったよ。逆に真白は?』
「私ぃ?」
ちょっとだけ大きい声が出る。
『聞いてくるってことは聞かれることも考えてるんでしょ?』
「私はしずくのを聞きたかっただけで」
『いやいや、興味があったから聞いてるんでしょ?』
「私……」
こちらを睨みつける大宮だが、別に俺は悪くない。
俺が強気に彼女を見返すと、諦めたように溜息を付く。
真白はちょっと恥ずかしそうにしながらポツリポツリと呟く。
「せ、誠実な人」
『それでそれで?』
「他人のことを否定しない人……」
『うんうん!』
「何を赤くしてるんだよ」
「う、うるさい」
小声で突っ込んだ声は吉町には聞こえなかったようで、少し溜めた後に吉町は大きく笑った。
「な、なんで笑うのよ」
『だっていつも私が恋バナ振ると適当にあしらうでしょ。真白の口からしっかり聞けるの嬉しいよ』
「だって自分から聞いておいて、自分で答えないのは悪いでしょ……」
こっちも真面目だ。
『真白はやっぱり可愛いね』
「そんなことないから」
『いや、でも真白ちゃんはしばらく誰にもあげないよ』
「別にしずくのものじゃないんだけど……」
とは言いつつも満更ではなさそうだ。
『良いこと聞けた。よく分からなかったけど楽しかったよ』
「うん、また学校で」
『じゃあね~』
電話が切れる。
「……」
「……」
しばらく部屋が静寂の空間になる。
「……何よ。文句ある?」
目付きと口ぶりだけは怖いが、表情だけは真っ赤になっている。
まさか彼女も自分まで被弾するとは思っていなかったのだろう。
「何も」
「絶対に何か考えてる」
「大宮にもそういうところあるんだなって」
「ムカつく」
ちょっと良いことを聞けた気がする。
「私だけ辱められているの納得できないわ。私も勝ったんだから何か考えなきゃ」
「聞いてないんだけど!」
もちろん俺の話を聞くわけもない大宮は、一人でワクワクしながら色々と口に出している。
「そうね……下の名前で私を呼んで」
「なんでだよ」
「いいから」
訳の分からない彼女だが、実際一敗している身の上だ。
色々と手伝ってもらったりしている手前もある。
俺は数秒考え、そして深く溜息を吐いてから恐る恐る口を開いた。
「ま、真白さん」
「普段は呼び捨てでしょ」
「真白」
いざ言ってみるとめっちゃ恥ずかしい。顔が暖かくなっているのが分かる。
「やっぱり恥ずかしがったね」
「それが狙いかよ!」
トトト
「大体ま、真白の方は恥ずかしくないのかよ」
「宮村に興味ないからね」
「わざわざ口に出さないでくれ。男だって傷つくんだよ」
トトト
「あ、でも宮村のゲームには興味あるよ」
「おい!勝手にベッドの下を覗くな!腕も突っ込むな!」
「大丈夫。私そういうの理解ある」
「俺は理解ないんだよ!」
引っ張り出そうとするが、案外抜けない。
「出て来いって!」
「案外力ないんだね」
トトトトト
「もしかして健全青少年向け優良雑誌でも隠してるの?」
「隠してないから!」
ガチャッ
「兄さん誰が来て……るの?」
・兄が女性を連れ込んでいる
・しかも腰の辺りを掴んでいる
・しかもなんか兄さんの顔が赤くなってる
そんな情報から妹が導き出した第一声は
「不潔」
「そんなぁ!」
必死で妹に言い訳しようと立ち上がるが、裾を思いっきり掴まれて倒れてしまう。
後ろを振り向くと真白が若干青い顔でこちらを見ている。
そんな彼女が一言だけ俺に聞いてくる。
「……彼女?」
「「妹(です)!」」
「あ、妹」
片方は納得したようだが、まだ隣の妹は俺に侮蔑の目を向けている。
「私にも説明してもらっていい?」
「いいか美桜。この人はただのクラスメイト」
「本当にただのクラスメイト?」
「それ以上でもそれ以外でもない」
「初めまして妹さん、お兄さんのクラスメイトの大宮真白です。お兄さんは強いて言うならゲーム友達? くらいです」
「真白さんですか」
「な、なに?」
マジマジと真白さんを眺めた後、美桜は真白の周りをグルグルしている。
「兄さん壺買わされたりしてない?」
「してない」
「変なパンフレットとか……」
「貰ってない」
「美術展に行く約束……」
「してねぇ!美人局じゃねぇから!」
そんなに兄に信頼がないのか
「大丈夫よ。宮村くんって頭固いから無理だと思う」
「あ、真白さんもそう思います?」
「二人とも俺の事嫌い?」
変なところで意気投合しないでほしい。
「あ、ごめんなさい。大和の妹の宮村美桜です」
「しっかりした妹さんね。ちなみにおいくつ?」
「中三です」
「中三……」
「……どうかされましたか?」
「いえ、納得できないだけです」
真白は真剣な眼差しで美桜の胸を凝視している。
「お二人はやっぱり付き合ってるんですか?」
「付き合ってない」
「兄さんには聞いてない」
回答は変わらないだろ。
「付き合ってないよ。これからもそのつもりなし」
「そうですか。安心しました」
安心したって、もしかして美桜は俺の事そんなに大事に……
「こんな美人さんと付き合ったら、全部の運使ったんだからすぐに死ぬと思いますから」
「大丈夫よ。美桜さんのお兄さん顔は悪くないから」
いつの間にか意気投合した二人は、俺を除いて会話が広がっている。その広がり方は気に入らないが。
「真白さんもゲームがお好きなんですね」
「美桜ちゃんは?」
「たまに兄さんと遊ぶくらいです。でも遊ぶこと自体は好きですよ」
「なら一緒にゲームしない?ゲームすると会話広がるし」
「真白さんがおっしゃるなら是非」
完全に二人の世界になっている。
「お、俺は……」
「あぁ、兄さんまだ居たの」
「ここ俺の部屋」
「冗談です。兄さんも一緒にやりましょう」
それから時間を忘れて数時間、三人は様々なゲームを触っては会話を広げて楽しんだ。
「美桜ちゃん強いね」
「いえ、やり込みの差くらいだと思いますよ」
「その理屈だと美桜に負けてる俺はなんなんだよ」
「性能の差じゃない?」
美桜は俺の事が嫌いなのかな?
「もうずいぶんとやったね」
「そうだな」
俺たちが時計を見ると、美桜が慌てて立ち上がる。
「……あ! もうこんな時間じゃないですか!」
慌てて美桜が立ち上がる。
「ごめんなさい。夕ご飯作りに行っていいですか?」
「もうこんな時間だからね。私も帰ろうかな」
「そうだ真白さん」
すると美桜は真白に一つ提案をする。
「せっかくなら真白さんも食べていきませんか?」
「流石に悪いよ」
「二人も三人も変わりませんから」
「そう……?」
「美桜もそう言ってるし、親御さんがいいならいいんじゃないか?」
「それにご飯は多い方が美味しいですよ」
美桜は普段静かな子だが、やけに押しは強い。それはもちろん年上である真白にも同じことが言える。
真白もさすがに申し訳なさそうにしていたが、美桜の押しの強さに押される形で笑顔を見せる。
「ならごちそうになってもいい?」
「分かりました!今日は手によりをかけて作りますよ!」
美桜は張り切った様子で階段を降りて行った。
「悪いな。押しの強い妹で」
「良いことじゃないの。クラスでもモテるでしょ」
「あんまり自分の事話すタイプじゃないけど、ラブレター置いてあるのは見たことある」
「ラブレターなんて中学生らしいね」
「確かにラインなんかよりはよっぽど好感持てるが、美桜に彼氏がいるなんて話聞いたことないぞ」
「知らないだけじゃない?」
「いや……たまに帰ってくるのが遅い時は友達って聞いてる」
「まぁ実際は美桜ちゃん真面目そうだから本当だと思うよ」
「良かった……」
「でももし美桜ちゃんが彼氏連れて来たり、好きな子出来たとか言ったら?」
「成長してて嬉しいけどあげるつもりはない」
「シスコンめ」
喧嘩とか平均より弱い自信があるが、だからこそ屍を踏み越えられるくらいの男しか受け入れるつもりはない。
「でも美桜ちゃん本当に良い子だよね。しずくの理想通りの優しすぎる人って感じ」
「あれが優しすぎるって感じなのか……」
ちょっと後で話を聞いてみようかな
「ちょっと美桜手伝ってくるよ」
「じゃあ私も」
「真白はゆっくりしてて。客人に働かせると俺が文句言われる」
「ならレベル上げしとくよ」
「ありがと」
宮村は自室から出ていくと、真白も手持ち無沙汰になりレベル上げを始める。
「本当に美桜ちゃんに似てる」
アホらしいくらいそっくりで
「……優しすぎる……ね」
まさに真白の理想の男性って感じ
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