第5話 Fランクの依頼書

 冒険者ランクの上下一つの依頼しか受ける事が出来ない。


 冒険者登録したばかりの俺はGランクの為、Fランクの依頼しか受ける事が出来ない。Gランクの依頼書は一つもない。必要ないからだ。


「いっぱい並んでいるな。」

 壁にはランクごとに依頼書が張られていて、Fランクの依頼書前には10人位いる。


「おい坊主、今登録したばっかりだろ?最初は簡単なやつからやれよ。魔物討伐は装備をしっかりしてから行きな。」

 依頼書を眺めていると、鉄の斧と盾を装備した大男が話しかけてきた。


「ありがとうございます。新人なのでどれが良いのかわからないんですよ。」


「ずいぶん素直な坊主だな。冒険者なんて口調の荒い奴ばっかりだから珍しいぜ。そうだな先輩としてCランクのジェット様が教えてやるぜ。」


 この二十歳くらいの大男はジェットさんか。覚えておこう。


「最初は荷物持ちだ。先輩冒険者に荷物持ちとして魔物の素材を集めるのが一般的だ。だが注意が必要だぜ?評判の悪い冒険者や評判の無い冒険者は要注意だ。囮に使われる何てこともあるからな。」


 高ランクの冒険者が倒した魔物の素材を持つ荷物持ちは、Fランクにもある。冒険者個人で依頼を出しているのだ。


 確かに知らなかったら危ない冒険者の荷物持ちをしていたかも知れない。受付に聞けば評判を教えてくれるのだろう。


「坊主名前何て言うんだ。オススメの依頼はこいつだぜ。」

 一枚の依頼書指を指す。


【トルマ周辺での荷物持ち Fランク】

 依頼者 疾風の火炎

 薬草やゴブリンなどの素材を持ってもらう。

 時間 9時〜16時。

 成功報酬 3000エル。



 疾風の火炎って冒険者パーティーが依頼を出しているみたいだ。ジェットさんのパーティーだろう。3000エルか。他の依頼に比べれば高いけどどうしようかな。


「俺はキャンディです。疾風の火炎さんのパーティーは、ジェットさんのパーティーで合ってますよね。なぜ俺に声をかけたんですか?」


「キャンディか、良い名前だな。理由は、キキョウさんが担当していたからだ。彼女は能力のある冒険者は絶対担当するから、キャンディがキキョウさんの担当になった瞬間、将来有能な冒険者になると思ったんだ。」


 キキョウさんの担当ってだけで注目されるのか。


「分かりました。この依頼を受けます。」


 依頼書を壁から外しキキョウさんがいる受付まで持って行く。ジェットさんもついてきている。


「この依頼をお願いします。」


「ジェットさんのパーティーからですね。疾風の火炎は、トルマでも信頼できるパーティーなので安心ですね。」


「おう。明日にでも良いから決定してくれ。」

 ジェットさんが来たのは、依頼を受けた冒険者で良いのか確認が必要だからだ。


「分かりました。明日から日にちは、その都度報告してください。キャンディ君は新人ですので無理させないでくださいね。」



 これで依頼完了みたいだ。





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