4話 出会い

翌日、ファイヤーボールをひたすら練習した。


「しっかりイメージするのよ。魔法はイメージが大事なの。ただただ詠唱を唱えるだけではダメその内容をそのまま形にするようにするのよ。」


そう言われてもなああの詠唱めちゃくちゃ恥ずかしい。日本であんなこと言えば即厨二病認定される。


ちなみにその詠唱とは


「赤く燃える炎よ、その熱をもって我が眼前の敵をもやし尽くせ。」


だ。こんなの恥ずかしすぎる。


でもその内容をそのまま形にするようにイメージするって言うのは分かったかもしれない。妄想は得意な方だ。じゃあなんで昨日の時点でできなかったのかって?それは知らない。運が悪かった。



「ほらアレン手止めてないで集中するの。はい、もう1回やって見て。」


「うん。んじゃいくよ。」


「赤く燃える炎よ、」


燃える炎をしっかりイメージする。


「その熱をもって」


その炎を雪を丸めるようにイメージする。


「我が眼前の敵をもやし尽くせ。」


丸めた炎を打ち出すようにイメージする。


すると、俺の手のひらに魔力が集まりその魔力が炎の球を作り、それが打ち出された。



できた?.......


「すごいわ!できたじゃないアレン!」


「アレン君どうやったの?!おしえて!」


姉さんが駆け寄ってくる。


「えっと、しっかり魔力の形イメージするんだよ。」


「魔力の形?」


「そう。まずは、火が燃えるところをイメージして、その形になるように魔力を練るように形作って、その後、手のひらから押し出すようにイメージするんだよ。」


「凄いわね。アレン、完璧よ。」


「やってみる!えーと、まず魔力を火の形になるように練り込んでそれを手から押し出す。」


すると姉さんの手から小さいが火の球が打ち出された。


「やった!!できた!!」


「凄いわね。2人とも。あとはしっかり魔力の密度を高くすると魔法の威力が上がるわよ。それはまた明日にしましょうか。今日はお疲れ様、修行は終わりよ。」


そう言うと母さんは家に入っていった。


「アレン君。ありがと。」


「いや、そんなことないよ。姉さんのファイヤーボールの方が僕のより大きかったし。」


「また明日も頑張ろう。」


そう言うと姉さんも家に入っていった。



さて、これから何しようか、とりあえず昼ごはん食うか。




昼過ぎ


昼ごはんを食べてからはほとんどやることが無い。村にいる子供のほとんどは友人と遊んでいるが、俺には友人がいないので暇である。こういう時は日向ぼっこをするのが1番いい。


天気のいい日には必ずと言ってもいいほど行く場所がある。そこは村の中にある小さな丘で緑の綺麗な草が生い茂っている。そこに行くと、いつもは見ない少女がいた。そして、その手には本を持っていて横になって読んでいた。


誰だアレ?見たことないやつだな。どうしよう声掛けてみるか?もしかしたら仲良くできるかも。


「ねぇ、なんの本読んでるの?」


俺は勇気を出し話しかけた。さすがに友人がいないのは悲しいのでせめて1人でも欲しい。


「え?えっと、し、神話大戦って言う本です。」


神話大戦?あっ!もしかして


「それってもしかして10英雄の元になったやつ?」


10英雄とは世界的に有名なおとぎ話だ。桃太郎みたいなやつ。


「え?は、はい!そうなんです!おとぎ話を知っている人は沢山いるのにこの神話大戦について知ってる人は少ないんです!」


すごい早口でまくし立てるように話してきた。


「お、おう。そうなんだ。」


「あっ、すいません。つい、癖で。この本の事を知っている人事態少なくて、知ってる人がいるとテンション上がっちゃって。」


「別に、大丈夫だよ。でも、神話大戦ことあんまり知らないよ。10英雄が実話を元に作っている事は知ってるけど。」


「あ、じゃあ本貸しますよ!ぜひ呼んでください!」


そう言って少女は本を押し付けてきた。


「じゃあ私はこれで!」


そのまま帰ってしまった。


うーん。どうしよう。確かに本の内容については結構興味あるけど。まぁ呼んでみるか。どうせやる事ないし。


草むらに横になり俺は本を読み出した。




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