第4話 一日目
終業式の日、両手いっぱいに抱えた荷物はいつもよりずしりと重く、もうこの学校に来ることはないんだとしんみりしてしまった。
迎えに来てくれた母の車に乗り込み、明日明後日はきららとうららと思いっきり遊ぶ。特別な夏休みにするんだ!と前を向き涙を拭った。
明日から始まる完璧な計画が楽しみ。今夜は眠れないかもしれない。
***
翌朝、雲一つない青空だ。眩しいほど太陽の光が降り注ぐ。時間通りきららとうららが迎えに来た。
「おはよう。あやや!」「とってもいい天気だね」
「おはよう!それでは行きますか」あややが二人にウィンクする。
「レッツゴー!!!」三人はプールバッグを空高く掲げ、飛び跳ねた。
市営プールは夏休み初日だからか、思ったより混んでいない。
あやや達は水着に着替え、真っ先にウォータースライダーに乗った。三人くっついたままスライダーを滑りざぶんとプールに落ちた。
「きゃはは」
「あはは、やったなあ!」
「ぷはあっ」
三人でプールの水をかけあって遊んでいると蒸し暑さを忘れてしまいそうだ。ゆらゆら揺れるプールの波に体を預け、このままずっとプールに入っていたいな。
太陽が真上に来る頃、わたし達は空腹に負けて市営プールから出てきた。毎年行っている市営プールも今年で最後だと思うと、急につーんと鼻の奥に塩素の匂いがした気がする。
「CMで見たハワイアンダブルチーズバーガー食べてみたいなぁ」
「お腹減ってぺこぺこ。わたし倒れそう」
「期間限定のスイカとチョコのミックスシェイク!」
お目当てのメニューを頼むため、市営プールの近くのハンバーガー屋さんに入り早速注文した。
「これこれ!このハワイアンダブルチーズバーガーを食べたかったんだ」
「わたしはテリヤキバーガー一択だよん」
「プール上がりのシェイク美味しい!生き返る~」
パイナップルの酸味と甘さがソースと絡み合い、夏の暑さが心地よく感じてしまう。ずっと気になっていたバーガーを食べられて気分は最高。あれこれ言いっているうちにポテトとドリンクもぺろっと間食した。
その後、近くのモールをぶらぶらし、お小遣いで買えるものを探していたが、結局好きなキャラクターの鉛筆と消しゴムぐらいしか買えなかった。気づけば夕方が近づき、クタクタになりながら家路についた。
真夏のプールで沢山遊んだせいか夕飯時はウトウトしていたようで、母と弟が話しかけてきたが全然覚えていない。
(明日もたくさん遊ばなきゃ…)
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