◇10
◇10
廃墟に、男女がいた。
男はスーツを着ており、がっしりとした体格をしていた。額や目元に深く刻まれた皺が、年齢の高さを思わせた。
対照的に、女のほうは若く、サイケデリックな柄のTシャツを着ていた。女はスマホの画面を見ながら、きひひと下品に笑っていた。
「
「…………」
名を呼ばれた男——
構わず、少女は言葉を続けた。
「化心と〝ストレンジャー〟を混ぜるのは上手くいったんじゃない? だからまぁ、一応実験は成功ってことで」
「…………」
「あー、もちろん言いたいことはわかるよ? 『結局殺されちゃったじゃないか』ってことっしょ? うーん、やっぱり2人分じゃクソザコなんかね?」
「…………」
「心の根っこが同じなら、混ざってもバグらないっぽいし、それなら次はいっそのこと100人くらい一気にやろうかなって。どうかな?」
「…………策はあるのか?
斐上がようやく口を開いた。
重々しく、聞くだけで息が詰まりそうな声だった。
斐上に問いかけられた少女——
イルカの頭・蝶の翅 終
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます