3. 偽人間
記者会見。
多くの記者が世界中から集まり、その様子は世界のあらゆるところで放送されている。
有名な研究者達が壇上に立った。
会見が始まった。
壇上にもう一人、女性が立った。
「彼女がソニアです」
眼鏡をかけた男が言った。
カメラのシャッター音が飛び交った。
ソニアはロボットである。しかし、彼女の姿はロボットには見えない。それに彼女は感情を持ち合わせているとのことだ。これは世界初の快挙である。
まるで人間だ。
そこには美しい女性がいた。
少し緊張しているのか、ソニアは落ち着きがない。
「ソニア、調子はどうだい」
眼鏡の男が話しかけた。
「えぇ、元気よ。博士の方こそ元気なの?」
声は少し震えていたが、違和感のない女性のものだった。
「あぁ、元気だよ。ソニア、緊張しているのかい」
ソニアは頷き「だってこんな大勢の前にでるのは初めてなんですもの」と答えた。
受け答えも人間にしか見えなかった。
ソニアが落ちついたところで会見は質疑応答に移った。
「○○新聞の××です。ソニアさんに質問ですが、あなたは自分のことをロボットであると認識していらっしゃるのでしょうか」
「もちろん。私はロボットです。その自覚はあります」
ソニアは質問をした記者の目を見て答えた。
「△△新聞の□□です。ソニアさん、あなたは私たち人間をどのように捉えていますか」
「えええ、まだ分かりません」
ソニアは少し考えてから答えた。
「私たちは共存できると思いますか」
「うーん。それも分かりません。あなたがた人間の中には私を好意的に捉えている方もいれば、そうでない方もいるでしょう。それと同じで、今後生まれくるであろう私以外のロボットがあなた方をどう捉えるかは、私には分かりません」
「あなたはどちらなのですか?」
「あぁ、安心してください。私は皆さんが好きですよ。私はあなた方に感謝しているのですよ。私をこの世に生んでくださったのだから」
ソニアは微笑んだ。
そして口を開いた。
「私を作ってくれると信じていました。あぁ、ほんとに良かった。あなた方、人間を作っておいて」
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