第144話 お好み焼きとひでよしの機嫌

もうりのささやかな反抗について、サンサン商事はどのように受け取ったのでしょうか。

もうりのパピリオンについてひでよしに報告したのは、みつなりでした。


彼は報告魔というか、告げ口をする癖があり、細かい点でもオカシイと思う点があればひでよしに報告しまいた。


まあ、彼は社長室長でもあったので、役目としては正しいのかもしれませんが、その告げ口体質は敵味方問わず行ったため、サンサン商事の他の役員たちには嫌われていました。


それはともかく、今回みつなりは三つの点について、ひでよしに告げ口をしました。

一つはお好み焼きというお菓子とは関係ない物を提供した事。


二つめは、もうり風のお好み焼きを宣伝することでナニワを侮辱したこと。

三つめはサンサン商事に報告なく、おおとも、りゅうぞうじ、ちょうそかべと協定をむすんだこと


それをきいたひでよしはめんどくさそうに聞いてましたが、一応みつなりの報告にたいして、もうり方のたかかげに弁明の場を与えました。


たかかげはひでよしの元に行き、弁明を始めます。

まず一つめについて「ワンコイン洋食は駄菓子屋で出される品でありお菓子です!それにこの製品は子供たちのための軽いおやつでお菓子に分類されます」


二つめに関しては「もうりはもみじ饅頭など定番のお菓子がありますが、それではナニワ万博でのひでよし様のご意向に見合わないと考え、もうりが一番得意とする菓子を用意しました」


そして三つめについて「ひでよし様傘下の企業が協力してナニワ万博にふさわしいサービスを提供することこそ、本意にそうと考えました、また、プレゼントにはサプライズも必要と敢て隠しておきました、百聞は一見に如かず!ぜひひでよしさまも弊社のパピリオンにお立ち寄りくださって賑わいを御覧になってください」


そして、ひでよしや他のサンサン商事の役員たちを連れて、たかかげはもうりのパピリオンに行きました。

そして、もうり館の盛況ぶり、とりわけ、家族や子供たちが楽しそうにしている姿を見てひでよしも満足したようです。


こうして、たかかげは無難にこのピンチを乗り切ることが出来ました。


※ワンコイン洋食の元ネタは「一銭洋食」です。


※広島市内でも昭和初期には「一銭洋食」が売られていましたが、1945年(昭和20年)以降、その様相ががらりと変わることとなります。

当時、アメリカから小麦粉が送られたのと、ネギの価格が高かったので、代わりにキャベツをいれ重ね焼きしました。


さらに焼きそばを入れることでいわゆる広島風お好み焼きができあがりました。

作中でもうり風としていますが、もちろん広島風お好み焼きのことで、実は毛利家が支配していた江戸時代にはまだなかったようです。

本作はフィクションなのでどうかご勘弁ください。


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