第133話 ナニワ万博 よしひろとみつなりサイドB
みつなりが何とかしまづにお咎めがないように現状報告をしていたころ、よしひろもまた、しまづ社内で同じ戦いをしていました。
しまづ役員会が開かれ、実質代表という肩書のよしひろは現状を報告します。
「残念ながら、ナニワ万博におけるパピリオンの建設は万博開催には間に合わなくなりそうです」
「しかし、みつなり殿が親身になってしまづの窮状を報告してくれてます」
「これ以上の遅れはしまづの恥であり、外聞を大事にする家訓にも背く行為だ!」
「そこでこれからは後れを取り戻すとともに、万博開催中は全面的に協力して万博を成功させる必要がある!」
ここで、役員たちの緊張感が足らないことを察したよしひろはさらに言葉の刃を発します。
「しまづとサンサン商事の緊張関係はまだ続いている、もし今度相手が本気でしまづを潰しに来たらどうなるか、想像して欲しい!」
何度も聞いた言葉ではあるが、会社の存続を意識した発言はさすがに反対派や消極派の役員にも応えます。
少なくともサボタージュする空気は一掃されました。
この時、常務のいえひさが発言します。
「聞けば、万博にはトライアスロンがあるとのこと!鶴〇高校のOBをはじめしまづには鉄人が沢山いる!これでしまづの名を天下に示そうではないか!!」
「自慢じゃあないが、うちのとよひさは鶴〇高校のOBでトライアスロンにぜひ出たいと申しておる!ぜひ期待して欲しい!」
これはよしひろにとってありがたい申し出でした。
しまづのアイドルとよひさが出るというのであれば、しまづの士気も俄然盛り上がるというもの、事実役員たちもざわついていました。
特に若い社員やおとよ隊などは万博に俄然興味が湧いてきました。
彼が参加するのはもちろん興味がありますが、それだけでなく、彼がどんな水着を着るのか?
そうした下心?を持った者も若干名いたようですが・・・
とにかく、万博開始直前になって、何とかしまづの社内を盛り上げることが出来たよしひろは安心しました。
こうして会議は終了しました。
その後、よしひさ派ととしひさ派の役員たちはそれぞれの長の元に行き、会議の内容を報告しました。
そして、よしひさ、としひさともにまるで示し合わせたかのように「そろそろ潮時か!」
といい、万博に協力するよう役員たちを諭していきました。
こうして、しまづは万博開催直前に何とかまとまることが出来たのでした。
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