帰途の道
カイトの左腕の傷は
きっと私を守るため
私に 当たる弓矢を 自分の腕で 避けたんだわ
骨まで当たってる
両肩からも 血が 出ていて
カイト 私のために、、 ごめんなさい、、
息をするのが やっとのカイト
林の中に 小川が流れていて
ほとんど 意識のない カイトを馬から おろし
マリーンはカイトの 傷の手当てを、やりだした
自分の内着の布をやぶき
水で濡らし カイトの血を拭く
左腕を、きれいに拭いてから
骨や肉が見えて傷がパクリと開いてるので
丁寧に マリーンの手で
精一杯 丁寧に 一生懸命
治りますようにと 集中して
肉を 元通りの形にして きつく布で縛った
血が 止まればいいけれど
肩の傷を 見るために
服を 脱がして
肩も 両肩に 弓矢が かすったのだろう
骨の そばまで 裂けた傷口
ほとんどマリーンの 内着の布地を 包帯にして
傷が 広がらないように しっかり両手で 抑え
固く縛る が、すぐに血が滲む
両肩の下に 昔からある2本の羽の 入れ墨のような あざ に、目を落とす
シバが、怪我をしたときも たしか、同じような1本の羽の あざ があったのを見た
傷を追ってから 1時間も 馬に乗っていたから 出血が 多い
血で染まった カイトの服を水できれいに洗い
カイトの 濡れた服はマリーンが着て
マリーンの乾いた服をカイトに着せた
小さいけれど なんとか カイトの体の前まで 届いて腰紐で縛った
「カイト大丈夫?」そっと声をかけてみる
目を開けて 本当に小さい声で
「マリーン、、 けさ、、」と あとは聞き取れなかった
やっとマリーンの顔を認識できる状態で
「大丈夫だった,、 」マリーンの心配をするカイト
「うん、、うん、」
馬に乗せて
「少し眠るけれど、、心配しないで、、」目が虚ろなカイト
「うん、、。」
出血が多くて 気が遠くなったのだろう
馬のシューは カイトを乗せても 人を落っことさないで 歩いた
手綱を 握りながら
自分を 助けるために 傷だらけになったカイトの姿を見て
マリーンは涙が出てきた
自分でも 分からないぐらいの 大きな粒の涙だった
人間の目から こんな大きな涙が 出るのかと思うほどの
涙が 地面に ポタリ ポタリと落ちた
私に こんなに泣いたことあったっけ
まだ 涙が止まらない
カイトに申し訳なくて
林から森になり
できるだけ小川のそばの道を通り
涙が枯れて 泣き疲れたとき
目の前に海岸が見えた
川の水は 海に 流れると 教えてもらって知っていた
あの時 カイトに林に入れ と指示され
大きな1本道の 街道からは だいぶ外れたけれど
この北部の海の 向こうの あの見える対岸の海岸は
きっと 南部の海岸だろ
目が昨日のように良く、見えれば 南部の自分たちの 浜辺も確認できたのに、、
遠回りだけれど
お役人に 会わないように この 北部の海岸沿いを
南部まで 行こう。
わたしが 女将さんに あげたのは
お母さんの服の布地で作った 私の扇子ぐらいだ
あれがを 役人に追いかけられる 原因だなんて
どうしてだろう 分からない、、
どうしてだか どうして こんな事になったのか 全然、、
時々 カイトに 息があるか確かめて
心臓が動いてるか 触って確認した
カイトの胸に手を当てるたびに、、
今朝の カイトの暖かさと 違う
なんだか、、だんだん冷たくなっていくようで 怖かった
「カイト兄さん 頑張って
家に着くまで 頑張ってね、、」
今さっき、わたしの名前呼んで けさ、、
っていうふうに聞こえた、、
なにか言いたかったのかな、、
今朝は、
2人で 同じ布団で起きて
目の前に カイトが居たから
小さい頃の おでこのキスを 久しぶりに してもらいたかったんだ私
おねだりしたの 分かったかな、、
だから、、今朝のカイト
今朝の カイトとの やり取りが 頭の中を、かけめぐる
息が かかるくらい カイトの唇が
近づいてきたのを 思い出すマリーン
あのあと思い出したように おでこへのキス してくれてた、、
今は 動けない カイトの、顔を 何度も見る、、マリーン
固く閉じたままの目 話も できない 唇も、、
どれだけ 歩くように走り 海岸線を南に降りたか
時間も わからないが、
もう周りは 日も落ち 暗い
マリーンが 知っている道まで来て
あと少しで 浜辺
浜辺の 自分の家が見える
「お母さーん クロス」 マリーンは叫んだ
家から リンとクロスが、飛び出してきたのが わかった
「マリーン!!」母が 取り乱してる
マリーンの無事を 喜び カイトの異変に気が付き 驚く
クロスとマリーンが カイトをおろし 家に運ぶ
「どうしたの?このカイトの、傷は?」
色々あったことを しゃべりながら
母が、リュウが 昔 自分の足に塗ってくれた薬を探す。
隣に住む タグさんが
わたしの声が聞こえたのか 飛んできた
カイトの様子や傷を見て
「これは 私の家で 治療した方が 良さそうだ
知ってる医者も いるから呼ぶよ]
「タグさん、、?」
「心配しないで きっと 私が直すから
この家よりも 私の家に任せて」
「でも、、」
「リュウさんに カイトの事は 何かあったら いつも私に任せるって言ってた
カイトを死なせると リュウさんに、申し訳が、立たない
お願いだ ここは 私に任せてくれ」
クロスが
「僕たちよりも タグさんの方が 博識だし
怪我に 詳しいから お願いすれば」
「お母さん オロオロしてる 私達より 心強そう」マリーンも そう思った
「ご迷惑じゃ、、」
「いやっ」と言うなり カイトを抱いて
タグの家に 連れて行く
リュウが 持っていた薬と 同じものを、塗り出した
そして 私達3人に
「悪いが、治療があるから 2,3日 面会は、遠慮して もらえないか」と
「えっ、、」驚く
「マリーン大丈夫だ きっと直すから
私を、信じてくれ 何かあったら言いに行くよ」
そんなに ひどいんだ、、
「カイトは、出血が多くて 体温が低くて危ない状態だ
意識もないし 今日が山かもしれない
私に任せてくれ」
マリーンにも 何も できないことが分かった
「お、 願いしま す、、」
と 3人は タグの家を 追い出される
心配で 家の外に座って 100 m 先のタグの家の方を 見るマリーンとクロス
夜なのに
3人の人が タグの家に入っていった
「お医者さんを呼ぶって 言ってたから
こんな夜でも 来てくれる お医者さんがいるの?」クロスが驚く
タグさんの 広い交友力関係に、
となりの家のことも
何一つ 知らなかったマリーン
もう 真夜中なのに
薬を 煎じる人が、2人 外に居る
タグの家の カイトを治療する 慌ただしさが見える
母が出てきて
「タグさんに任せって 良かったわ、、
もう 休みなさいマリーン
大変だったでしょ、、」
また 涙が出てきた 自分の力のなさに
「わたし、、タグさんに 医療 教えてもらう
誰かを守れたり 助けたりできる人に なりたい、、、」
「あなたは よく頑張ったわ マリーン」
母に抱きついて 泣いた。
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