隣の秘密

次の日も 


カイトが心配で,タグの家から


目を離さないマリーン




クロスが横に座って


カイトとマリーンが馬に乗って飛び出して行った後のことを


いろいろ聞いた




「いろんなことが あったんだね




お父さんと、シバの足取りは お城の近くで消えたんだね




北部の遠いところに行っちゃったのかな」




「どうして お役人さんに 追いかけられたんだよ


カイト兄さんが あんなに怪我されるまで


信じられない」




「私の扇子のせいだと思う?」




「何かの間違いだと 良いな 


女将さんが お姉さんに


罪を擦り付けたの かもしれないし


僕には分からない」




母が出てきてマリーンに


「あの扇子を誰かにあげたの?」


「ほしそうだったから つい宿舎の女将さんに ご飯ご馳走してもらったかわり」




母が困った顔をした




「お父さんらしい人と シバみたいな人が 宿舎に来たような情報をもらったんだ」




「お父さんとシバらしい人が?」


「何人かと一緒で 嫌々 連れて行かれた訳じゃなさそうなんだ」




「お父さんが何も言わないで 出て行っちゃうからよ


探さない方が いいのかな


何も言わないくらいだから 




心配なんて かけさせたことのない


お父さんが、、、」




「言えない理由が 何か あるのかなぁ?」


クロスが ポツリとつぶやいた








2日間 何も手につかないで、タグさんの家を眺めるマリーン




3日目の夕方


タグさんが やっと出てきて


ずーっと 付きっきりで カイトのそばに 居たようだ




心配してるマリーンたちに近づいて


「やっと峠を越したよ 後は血が増えて 体力が戻れば大丈夫だそうだ」


嬉しくて声が出ない


ポンポンとマリーンの頭を叩いて




「マリーンの 傷の手当を 医者が褒めてたよ


止血が すごく良かったみたいだ


傷の合わせ方も丁寧で 傷跡も小さいだろうって」


「タグさん、、 ありがとう、、」


やっと声が出た




タグの娘のエルが「カイトの目が、あいたわ 覚めたわよ!」


大声で教えてくれた。


「ちょっとぐらいなら会うかい」


「会いたい!」




「動けるようになったら すぐにこっちに戻すからね」




お医者さんたちが、帰っていった


「タグさん、明日また来ます」と


助かって お医者さんも嬉しそうな声




お礼の気持で 丁寧に頭を下げた3人




カイトはタグさんの家の 奥の部屋に一人で寝ていた


今までここに お医者さんが つきっきりだったのだろう




カイトがマリーン達3人を 見て安心したのか


また目を閉じて眠りについた




「ホラッゆっくり眠ったほうが 体力の戻りが 早いそうだ」




「今度 気がつけば そちらに動かせるよ」




「何から何まで ありがとうございます」




次の日タグさんが カイトを背中に背負って家に運んできてくれた




マリーンの家の薄いお布団の上に寝て


自分が寝てることに 照れてるカイト




まだ声が出にくそうだ


カイトを見守る3人に


「家がいいな」と言って また眠る






タグさんが、「カイトが目覚めたら飲ませるように」と


薬を持ってきてくれた




薬の調合や 煎じ方を マリーンに教えた


「シバが知っていた指圧や 簡単な医療法 タグさんの知ってること


今度教えてくださいね」




「僕も一緒に聞く 」


「うちのお父さん そういうの教えてくれなかったから」


相変わらずマリーンの真似をしたがる クリスがいた






「うちもシバが 行方不明だから


カイトくんとクロスを 私の息子と思っていいかね リンさん。」




「はいこちらこそよろしくお願いします


色々ありがとうございます」




「残ったもので 力を合わせて やっていこうよ 


これからも


 こちらこそ よろしく頼むよ」




それから一週間後ぐらいで カイトは回復してきた


「さすが 若くて体力があるから 治りも早いね」


「今日が最後の診療だ もう大丈夫だ


傷の方だけ もう少しの間 軟膏を塗るように」


お医者さんも 太鼓判を押してくれて 帰っていった




入れ違いに のっぽが 来て


「元気に なったようだな 心配したよ」


「タイジさんが カイトに 何か用みたいだよ


怪我が治ったら 大屋敷に来てくれって」




一応 カイトの付き添いで マリーンも 一緒に行った




相変わらず 明るくて 頼もしい この村の 若き当主のタイジさん


また前より 美しく 綺麗になったマリーンに 目を細める。






「実はね 南家の、ミア姫から 何度も 頼まれて いるんだけれど


カイト 君を 赤チームに入れたいんだって」




「南家は いつも北家に負けていて


あの、お姫様が 今回勝ちに行くのに 君に白羽があたったんだ」




「怪我が したことは言ってあるんだが


どうしても君を 私が作った藍色チームから引き抜いて


 赤チーム にしたいらしい


ほら 僕の上役の 南家 お誘い 断りにくいんだ」




「次の お城での 球馬大会に 僕をですか」




「そうなんだ 勝つことに手段を 選ばない お姫様だ」




「じゃあ条件を 入れてもいいですか?」


「どんな?」


「マリーンも 赤色チームにしてください」




外の庭で 馬のハナの上で 前とは違うポーズを


練習しているマリーンが




目に入る タイジ。

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