怪我
二人とも体が動かない
カイトの手が 耳からマリーンの顎に移り
両手で・マリーンの顎をはさんだ
自分の方に 顔を向かせ
目も離れない お互いを 見つめあう2人
マリーンが なにか言いたげそうな 唇
カイトは自分の顔を そっとマリーンに近づけた
マリーンの唇に、目を、落とす
どれだけ時間が動いたのか
マリーンが たまらず カイトに抱きついた
カイトも優しく抱き返す
兄の愛として 妹を
妹しての愛を カイトに
いつもの 兄妹の抱擁
そういえば 小さい時 いつもマリーンに、せがまれたっけ
おでこと まつ毛への、軽い 兄としてのふれあい
落ち着いてから
「心細かったかい?」
「うん、カイトがいて良かった]
「いつも 私のそばにいてくれる」
「いるよ、」とおでこ に軽くキスするカイト
兄のふれあいを 受け入れて 満足そうなマリーン
「だから、あまり無茶しないでくれよ」
「もう!もう!」
「牛になったのかな?」
「違うでしょ」と上布団を 飛ばしたマリーン
「鳴き声は牛に聞こえたぞ」と、飛び起きるカイト
「何して遊んでるの?」と、お嬢ちゃんが2人を覗きに来る
「お牛さんごっこ 一緒に入る?」
「モウ モウ モウー 」と角を出して 娘に近づくマリーン
きやーきゃーと 楽しそうに 逃げる娘
カイトは 2人を 追いかけた
布団の上で 転がり回る3人
お母さんが 朝ごはんも 用意してくれて
カイトが、「お礼に、薪を割ってから 帰ります。」と
綺麗に 薪を たばねて まとめると
お昼の おにぎりまで 用意してくれた
可愛い娘さんと 優しそうなお母さんに 挨拶して
その家を出た。
シューもハナも 1日休んで 元気になった。
「ホラッ ここだよ」
「昨日 僕が 働いたところ」
大きな門の前に 小綺麗な女の人が2、3人立って喋ってる
「あら 昨日の 気の利く青年じゃない」とカイトを見て 声をかけてきた
「ユキ姉さんが 褒めてたわよ あんたの機転の良さに
あの姉さんに絡む お偉さんから 助けるんだもん 大したもんよ
大物になるわよって ベタ褒めだよ」
「ホラッ、果物もあるから、持って お行き」
果物を貰いに行ったカイトに
「だれよ?」とマリーンを見て聞く お店の女
「妹です」
「そうなの 妹さん あんたの お兄さん なかなかやるね」
「何を やったんですか?」
「姉さんに絡む しつこい人にさ ゲームの勝敗を持ちかけて
やめさせたんだよ」
「それも5連勝しちゃって 負けた人は すごすご帰って行って
気持ち良いったら ありゃしない」
「ひょっとして 貝殻の 裏表ゲームですか?」
「そうだよ よく知ってるね 本当に 妹なんだね」
「お兄さんの左手は、貝殻の裏表くらい 自由にできるんですって 」
「だろうね 負ける気がしなかったよ」
「いつでも おいでよ、大歓迎さ 稼げるよ ここで」
「お父さんのことは 誰となく聞いといて あげるから あんまり心配しないでね」
「よろしく お願いします。姉さんにもよろしく」
[お父さんのこと 頼んでくれたんだ」
「僕たちより 人と会うから 情報が 多いかなと思って」
「わぁ、今さっきの 母子にも 聞いておけば よかったー」
「そうそう その姉さんからさ お礼にって
銀貨を これだけ もらったんだ 」と懐から銀貨を出す
「すご~い 太っ腹 景気いいのね」
「これで あの宿舎の マリーンの扇子 返してもらえるかもしれない」
「あぁ、嬉しい!」そこまで気がまわり マリーンを考えてくれる
「本当にカイトって頼りになる」
「お気に入りに なれたかな?」
「うん!ずーっと お気に入りだよ!」
「天気が崩れないうちに、家に戻れると良いなぁ」
空を見上げたとき
後ろから「ドケッ ドケッ」とお役人の馬が大勢で
カイトとマリーンを 追い越していった
「なんだろう 悪者の捕物かな?」
「お父さんが お役人には近づくなって言ってたよ」
「お父さんが、、] ちょっと しんみりになるマリーン
やっと宿舎に近づいた
ちょうど 都と家の 中間ぐらいに、位置する場所
外に 何頭かの 馬が繋がれていて
様子が おかしい
「今さっきのお役人の 馬じゃないか」
「この宿舎で何かあったのかしら
おかみさん大丈夫かな」と、入ろうとするマリーンに
「マリーン ちょっと待って 様子見た方が 良いよ」
中で女将さんが喚いている
「私じゃないよ 私のものじゃないよ もらったんだよ」と言い訳してる
お役人に 問い詰められている 女将さんの姿
顔を 見合わせる マリーンとカイト
「女将さんが 何かもらって?、、
それが ここに お役人さんが来るまでの 大きな事件って?なんだろう?」
入り口で マリーンの姿がちらりと 見えたのか
女将さんが叫ぶ
「あの子だよ あの娘だよ」
「ほらあの娘から、貰ったんだよっ」と
「わ た し?」
カイトが 素早くマリーンの手を引っ張る
「マリーン逃げよう」
「えぇーっ」
ハナに乗ったマリーン
素早くハナの尻を蹴るカイト
急げの合図
案の定 まさかと思うけど
何かが マリーンの体の そばを
ヒューッと、かすめとんだ
弓矢?弓矢が 飛んできた
「本物の弓矢?」
「本気だ」
すかさず カイトが 後ろに回り
自分が弓矢の的になり マリーンをかばう
それでも 何本かの弓矢が マリーンの そばをかすめる
「急げ 追いかけろっ 捕まえろ」という役人の声が聞こえる
ドッドッドッと後ろから馬が追いかける音
300m 後ろくらいだ
馬の速さは 負けないと思ってても
相手は 訓練された お役人
距離が離れない
「マリーン右に入れ!」
「後ろを見ないで 走れ」カイトが叫ぶ
右の林に入るマリーン
「離れないでね!カイト」
自分を狙った 弓矢の怖さに
後ろを振り向く余裕もなく 声だけ出すマリーン
夢中で 深い林の中を 1時間走った時
お役人は 街道の 1本道を行ったらしく
後ろに馬の足音が 聞こえなくなった
やっと 後ろを向く 余裕ができたマリーン
後ろの カイトを見た マリーン
カイトの服が血だらけ!
あの弓矢に、やられたんだ
後ろを見ないで走れ と言ったときから、、
マリーンを守るために 後ろについて
一人 弓矢の的になったカイト
馬を降りて
カイトに 近づくマリーン
カイトの顔が青ざめていて 出血がひどい
息も 絶え絶えで
「うぅっと」苦しく うごめくカイト
あの 貝殻を自由に できる左手の腕は 弓矢が あたったあと
弓矢が刺さって 引き抜いたんだ。肉が見える。
肩からも 真っ赤な血が 流れて
「カイト!カイト!! カイトォ!!!」
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