覚醒。
その日の朝
マリーンは自分の体の 違和感を確認した
南部の大会の帰り道
みんなに見えない島影を マリーンだけが見えた日
家に帰っても 窓から見上げる 満月の月が
いつもの月と違っていて 月の表面の影までしっかり見えた。
暗い海の 遠い波の高さまで いつも以上に 見通せた。怖いくらい。
次の日 確認しても いつも通りだった
昨日 満月に近かったので もしかしたらと思い 今朝は早く起きた
満月の日だけ 私の目は覚醒する
いつもは 見えないものが 見えてしまう日
まだ 朝方早く 皆は眠っている
静かに外に出た
浜辺から見える 海は遥か遠くまで 見渡せた
慎重に足跡を見る
もう25日以上も 前だけれど
私達より 体の重い父の 深い足跡を探る
父のいなくなる 前の日の夜の事を 母に聞くと
父は いつも通り 明日の朝は 私たちに食べさせる為に
鶏の卵を取ろうと言っていた という
いつも変わらない 父の足の幅
あの力強い足の動き 懐かしい父の名残
鳥小屋の前で父の足跡が畑の方に向かっている
足跡が深くなって 急いで歩いてる
何かを 見つけて近づいたのかしら
「マリーン どうしたの どこへ行くの」
「カイト」
めざといカイトが起きて
マリーンを追いかけてきた
「眠り姫が こんなに早く起きて 何してるの」
「カイト、、」
マリーンが話し出す
「あの ほら みんなに見えない 島影を 見た時あったでしょう」
あの日 本当にいろんなものが鮮明に見えて
あの日 満月で 満月の日だけ 私の目が 特別なのかもしれないと 思って
今日 確認してたの」
「あの日、、あの日の朝 お城で 君は眠っていて 知らないだろうけど
シバが 君の頭や こめかみを いつも全力を出し切らないシバが
すごい集中力で 、、
額から汗を出すシバを初めて見た」
あっ あのときの いつもと違う シバの真剣な目を思い出す マリーン
「大走りでも あの大会でも 全力を出す シバを あまり見ないよね」
「うん そうなんだ あの時は シバ 普通じゃなかった」
「目がひんむいていた、、かも」
「そう シバの指圧のせいで あの日 マリーンの目が良くなったかと
僕は思ったくらいだよ」
「じゃ その シバの指圧で 私を 覚醒させたのかな?」
今は そのシバも 父も居ない
不安が よぎるマリーン
愛しくマリーンを見るカイト
見つめ合う二人
カイトの目の中に自分の顔が映った
いつもより 遠くまで よく見える自分の目で
自分の顔 自分の目を 見るマリーン
長いまつげの下の 自分の深い目を見て 何かを感じ取ってしまうマリーン
マリーンは まさかと瞬きする 何か カイトに訴えてる 自分の目を
疑う
カイトの目も、マリーンの目も 離れない
お互いの 心臓の音まで 重なるような
カイトは もう前から 妹のマリーンを、
妹以上に 意識している自分に 気がついている
どうしょうもなく 気持ちは とめられない
自分の心の なかで 止めるしかない 気持ち
お互いを 心配し合う 2人の、心が、目に映る。
畑の上で立つ 2人に 朝の爽やかな風が吹く
マリーンが 先に目を離し
「わからないけれど、、
満月の今日 私の目 すごく よく見えるの」
カイトが 自分の心臓の音をしずめて
マリーンの声に 耳を傾ける
「で、居なくなった お父さんの 足跡 探ってみようかと」
「これっ」と 足跡を指差す いろんな足跡の中
マリーンは父の足跡を指さし
「ちょっと 深い足跡がお父さんのだと思うの」
馬の足跡の違いが 分かるマリーンに驚く
「こっちに続いて あの日の足跡か どうかわからないけど」 畑の中を通って
「ほら この足跡ちょっと 走ったような お父さんの足あとじゃない?」
「こっちよ」30 M 進んだところに
カイトがマリーンの後に ついていくと馬の蹄
「ほら 馬の こんな大きな蹄あと この近くの村に こんな大きな 蹄の馬いないわよ
「うんこれは分かる 見たことのない 蹄の跡だね」
「馬はこっちから 来てるわ」と 100 M 先に行くと 馬の蹄が おびただしい
「馬が 8頭以上いるわよ ほら」村にない 馬の蹄の跡
もう一度 2頭の馬を見ると
「お父さん ここで こっちの馬に乗ったわ。
お父さん さらわれたんじゃなく 誘拐されたとかじゃなく
自分で乗ってる」 足跡から 争いのない形跡
カイトも納得して頷く
シバの家の方に 「ほら 馬の足跡がついてる」
「シバが家を出てきて ほらここで シバも馬に乗ったのよ」
父とシバの、二人を乗せた
8頭の 馬の足跡は 北に向かってる
マリーンと、カイトは馬小屋のシューとハナに またがった
うまのあしあとをおいかけて 二人の行方を探すつもりだ
クロスが飛び出してきていて
カイトはクロスに
{ちょっと2人で 出かけるけれど お母さんを頼むよ
心配しないで言って」
二人は馬の足跡
八頭の馬の蹄の跡を追いかける
北へ 北へと まっすぐ向いている
2時間追いかける二人
3時間後 もう2人が 来たこともない 街道である
4時間後 「どうする」と カイト
「ここまで来たら、行こうよ」マリーン 今日しか、目は冴えてない
8頭の大きな蹄の跡は マリーンしか選別つかないだろう
馬の蹄の跡が 街道の宿舎の方に向かっていた
「きっと ここで 休んだんだわ 」
カイトとマリーンは馬を止めて
街道沿いの宿舎に入った
「あの この道は どこまで続いてるんですか」
あと4 5時間ぐらい走れば都だよ」
「あのーもう 25日 前ぐらいなんですけど、
馬8頭ぐらいで この宿に来た人達 覚えてますか?」
女将さんが 出てきて
「あんな 立派な身なりの 人達は あんまり この辺じゃ いないから
覚えてるよ 羽振りも良かったし」
「都の人達だよ きっと
でも とても 体格の良い ボロい服 着た人、、
わたしの 好みの、なかなか居ない いい男だから しっかり覚えてる」
楽しそうに 話してくれる 女将さん
マリーンとカイトが 目を合わせる
父かもしれない と
「他には どんな人が居た?」
「そうだね あと、服はボロイけど 顔のすっきりした 髪の長い 美男子と
変な 取り合わせの 連中だったね」
「髪の毛が ちょっと茶色い?
彼とちょっと似てません」と、カイトを指差す
「 そうそう こんな背格好だったよ」
「キヤーッ」うれしさのあまり 声を出すマリーン
「お父さんとシバだわ きっと」
自分の 捜索推理が ピッタと 合ってた喜び!!
カイトに抱きつくマリーン。
マリーンが僕の胸に 飛び込んできた。
いつも 小鳥のように
軽い気持ちで
僕の胸の高鳴りも 知らずに。
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