第7話 経験値回収タワー
どうやら、この魔境バイローム地方を自由に探索し、採掘し、建設するためには、それなりの『強さ』が必要だということがわかった。
とりあえずはセーラの言っていた『東の沼』にまで行き施設の建設作業が可能になるくらいまでレベルを上げなければならない。
◇
ところで。
S級土魔法【工作BOX】の機能は4つ。
――――――――――――――――
1.素材の
2.素材の解析
3.素材の編集
4.
――――――――――――――――
今日はそのうち、≪2.素材の解析≫という機能を使う。
で、初日に回収した『土』を解析してみてわかったのだけれど、このあたりの土には『怨素』という成分が約7%ほど含まれていたのだ。
この怨素が含まれた土は『闇を浴びると死霊系モンスターを発生させる』のである。
「なるほど……だからこのあたりでは夜になるとゾンビや
そこで、俺はまず【工作BOX】の機能≪3.素材の編集≫によって『土』から怨素を分離させることにした。
というのは、素材:『土』も他の場所での整地や地盤補強で使うことになるはずだが、『夜になると魔物を発生させる土』では町づくりに使えないので、怨素を取り除いた土を作っておこうと思ったのである。
しかし、そこで俺は気づいたのだ。
逆に、
こうして素材を編集して作り出したのがこの土だ。
・土(※怨素70%) 567
ちなみにここでの最高度数は70%が限界だった。
これ以上に怨素をこめると土の性質が失われてモンスターを生み出さなくなるのである。
でも、この怨素70%の土を閉ざされた空間に敷き詰めて、光を遮断すれば、一日中グールやアンデッドが湧き出し、昼間もレベル上げができることになるよな?
そこで作り出した第一弾のレベル上げ施設は『モンスター・ハウス』である。
作り方。
まず20歩×20歩の石室を作り、その石室の地面へ土(怨素70%)を敷き詰める。
で、屋根まできっちり閉ざすと、太陽の光から遮断された石室の中には、昼間っからゾンビやガイコツがわんさか湧いてくるというワケ。
もちろん俺の実力ではそのモンスターをいっぺんに倒したりはできないので、隣にもう一つ部屋を作って戦闘場とする。
【上空図】
□□□□□□□□□
□モンスター □
□ ハウス □
□□H□□□□□□
□戦闘場□
□□□□□
モンスター・ハウスで醸成した魔物を、扉『H』から下の闘技場へ誘い込み、一匹ずつ倒していく。
どすーん!……どすーん!
まあ、最初のうちは攻撃力もないから土魔法で石のブロックを落として倒していたんだけれど、レベルも4から5へ、5から6へ上がっていくと、
「攻撃力もついてきたし、もう打撃で倒すことができるんじゃないかしら?」
とセーラが言うので、レベル上げで魔法を使うのはヤメにした。
ブロックを落として敵を倒すと、またそれをいちいち【黄金のつるはし】で回収しなきゃいけないので、超面倒くせーしな。
俺は素材『銅』で
ビシュ! ビシュ! ビシュ!……
「はぁ、はぁ、はぁ……」
モンスター・ハウスから一匹敵を誘いだしてはやっつけ、また誘い出してはやっつける。
ちょー疲れるけど、俺ってこういうのは夢中になると一日中やっちゃうタチでさ。
しばらくはずっとモンスター・ハウスでの経験値ためをやって、レベルは8まで上がったんだけど……
次第に『レベルUPの必要経験値』が高くなって1日中経験値ためをやっても1レベルも上がらなくなってくると、ちょっと『努力の方向性』が違うような気がしてくる。
つーか、こっちはレベルを上げるのが目的じゃなくて、領地を開発したいのだ。
開発しに行くのに『強さ』が必要だからレベル上げをしているに過ぎない。
そこらへん、どうにかもっと楽ちんに経験値ためができないだろうか?
「うーん……」
そう考えて、俺は工作BOXで石を積み上げ、以下のようなタワーを築いた。
【断面図1】
※□=石ブロック
■=土(怨素70%)
¶=魔物
□□□□□□□□□
□ ¶ □
□■■■ ■■■□
□■■■ ■■■□
□□□□ □□□□
□ □
□ □
□ □
□ □
□ □
□ □
□ □
――――――――――
これは、タワーの上部に作ったモンスター・ハウスに『落とし穴』を作り、そこから発生したモンスターが次々と落下していくという仕掛けである。
【断面図2】
□□□□□□□□□
□ □
□■■■ ■■■□
□■■■ ■■■□
□□□□ □□□□
□¶ □
□ □
□ □
□ □
□ □
□ □
□ □
――――――――――
モンスターはこの落下でつぶれて死亡。
俺自身は何もしなくても経験値が自動で入ってくるというワケだ。
これは、『罠によるモンスター討伐でも経験値が入ってくる』という性質を利用した施設だった。
「あいかわらず、とんでもないことを考える
と、
タワーは3つ作ったからな。
単純計算でも、これで1日の経験値獲得も今までの3倍だ。
俺は自分のステータスを確認してみる。
―――――――――――――――
シェイド・コルクハット(24)♂
レベル:13
HP:96
MP:12570
攻撃力:110
守備力:97
EX:22050
―――――――――――――――
「レベルも13になったぜ。これで東の沼へ行けるんじゃないか?」
「そうね。沼の周りの魔獣たちはD級くらいだったから、今のあなたなら敵ではないと思う」
というわけで。
ギギギギギ……
こうして砦の東門を開き、俺とセーラは荒野の探査へ向かうことにした。
そう。
東の沼に第二の拠点『農業地』を築くために。
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