空から女の子が!


神楽坂は鳴り響く非常ベルを裏拳でバゴン! っと破壊した。リン! っと響きを止める非常ベル。

そして

「私はあなたに好きって言ってない」と唐突に神楽坂はそう言った。え? なに言ってんだ。こいつ。ふと周りを見回すと周囲が凍りつくように静かになっている。学生たちの様子がおかしい。なにかに怯えているような……


「私は! あなたに! 一言たりとも! 好きなんて言ってない!」神楽坂は腰に手を当てて俺に詰め寄る。

「えっ? 言った……」俺は言いかける。


「なに言ってんの。神楽坂さんあなた好きって言ったじゃん!」おかしそうに俺たちの告白を見ていた女子生徒が言った。するとそりゃそうだと言わんばかりに周囲からワッっ! っと笑いが起こった。


神楽坂はパチン! と指を弾いた。すると突然どこからかやってきた黒服たちが女子生徒の体をガバっと掴む。

「キャーー! なにするんですか?」と神楽坂の告白の指摘をした女子生徒はそう言う。


するとその女子生徒は黒服にガバっと持ち上げられて拉致されていく!

「キャーーーー!! ゴメンナサイ! 神楽坂様! 嘘です! 神楽坂様は告白なんてしてま……ムグッ」女子生徒は口を抑えられて一瞬にしてそのまま拉致された。


「!」俺は今の光景が信じられなかった。突然にして起こった。女子生徒の拉致。恐ろしいなんてレベルじゃない。


「みんな嘘をつかないで! 私は告白なんてしてないわよ! みんなも見てたでしょ」神楽坂はそうみんなに確認する。


学生たちは互いの顔を見回す。そして口々に言った。

「そうだ! 神楽坂様は告白なんてしてない!」

「神楽坂様がそんなこと言うハズないじゃない 俺はなにも聞いてない!」生徒たちが口々に言う。い!」

「みんなの言うとおりだ!だ


「神楽坂様がしゅきぃ……しゅきなんて言ったのなんて聞いてないぞ! スマホで録画もしてないぞ!」男子学生がそう言った。すると周囲からお前! って感じでガバっと男子学生は見られる。

「あっ……しまった」とその男子学生は口に手を当てて言う。

バチン! と神楽坂が指を弾く。

するとまた黒服がやってきてその男の体を掴み拉致しようとする。

「待って! 待って! 今の冗談!」

そう言うも男子学生は拉致されていった。


なんだ。なにが起こっているんだ……俺は動揺する。

「ねぇあなた名前は?」神楽坂はしゃがみ込んで俺に言う。

「朱雀樹です……」俺は言った。


「じゃあイツキくん。良いことを教えてあげる」と言いながら両手で俺の頬を挟むように触る。ゾクッっとする。まるで脳みそを直接触られているかのような感覚が俺の体内に電力のように走った。


「みんな言うじゃない。過去は変わらない。変えられるのは未来だけだって。でも私にとっては違う。過去は変えるものなの。自分の都合のいいように」神楽坂はそう言って俺に微笑みかけた。


そして俺の目の前で指を鳴らす仕草をしながらこう言った。

「ではイツキくん。私はあなたに告白した。告白してない。どっち?」と神楽坂は俺にささやきかけるように言った。


「告白……してません!」俺は答えた。


「正解!」神楽坂はそう微笑んで立ち上がる。


「じゃあみんな行くよ!」神楽坂はそう言うと取り巻きを連れてその場をあとにした。


ゾロゾロと解散するギャラリーたち。告白は失敗だったのか。途中までいい感じだったのに。俺は思った。


「おいイツキ。ビビったぜ。神楽坂があんなこと言うなんてな」シシオが俺のところに寄ってきて言う。

「案外女の子っぽいところもあるのかな。あいつ」トウマがそう言う。


俺はゆっくり立ち上がった。そして言う。

「神楽坂今回は俺の負けかもしれないが、次こそは必ず復讐してやるからな」俺は誓った。



一方神楽坂は取り巻きたちと中庭を歩いていた。

「なんださっきの男は! おい! お前が排除しなきゃ駄目だろ!」取り巻きの女がそう言う。

「は? ふざけるな! なんでもかんでも私の責任にするな!」サクラが反論した。


「有事の際に指をくわえて見ているだけ親衛隊長か……人形でも十分役割を果たせるな」取り巻きの女が言う。

「お前!」サクラが怒り出す。


「やめろ! サクラ。次に活かせ! 今ここで怒っても仕方がないだろう!」神楽坂はそう言う。


「しかし……あいつ朱雀イツキと言ったな。私がもう少しで告白するところだった。危なかったな」神楽坂は言う


「え? 告白してたハズでは……あっ!」取り巻きがそう言うと神楽坂はバチンと指を弾いた。

「キャーーー」取り巻きが拉致される。


「まぁ……あの男も中々……」神楽坂は言いかけてやめる。

「おもしれー男ですか?」取り巻きの女がそう聞いた。

「あぁそうだな」と神楽坂そう言ってニヤリと笑った。


キーンコーンカーンコーン。学校が終わり俺たちは下校した。

「じゃあな!」

「また明日!」シシオたちと俺は手を振って別れた。俺は一人になる。


神楽坂……あんな形で告白するなんて。自分が自分じゃないみたいだった。俺もなかなかやるもんだな。俺はそう思った。しっかし神楽坂。すっげぇいい匂いだったな。流石だなホワイトレディ。そりゃ歩く合法ドラッグって言われるわ。でも、あれだけ拒絶されたら流石に俺も凹む。


俺はそう思った。そして俺は空を眺めた。

「あぁ空から俺のことだけが好きな美少女降ってこねーかな」


そんなわけないか。そんな都合のいいこと起きるハズが……俺はそう思いながら夕焼けの赤く染まった街を歩いていると……


「ぶっ!」バチーーーン!!


「うわああああ!!!」驚く俺。

女の子が空から降ってきていきなり地面に叩きつけられたのだ!


「おおおおお……」女の子は声にならないうめき声を上げた。そして血反吐を吐いている。


「あああああああ!!! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!」俺は慌てる。救急車呼ばなきゃ! 110番しなきゃ! 俺はスマホを取り出す。早く! 救急車を! 110番 110番! 俺は電話アプリを開いて110番を押そうとする。


110番! 110番! 俺は頭を抱える。

「110番って何番なんだよ! 分かんねぇだろ! クソッ!」俺はスマホを持ちながら言う。すると倒れていた女の子が言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る