インスタントフィクションへの挑戦

のほほん

翼があった。

翼のおかげでどこにでも行ける気がした。

実際どこにでも行けたように思えた。

まるで周りは止まっているかのよう。

でもそんな時間は長くは続かない。

翼はある日気がついたら無くなっていた。


翼が生えた。

どうしても辿り着きたかった。

諦めの悪さがそうさせたのか。

長い年月をかけ、ようやく辿り着いた。

私は感謝を伝えたかった。

でも伝える前に翼は満足そうに消えていった。


翼が生えなくなった。

辿り着きたかったのはここなのか。

何も見えない。

何も聞こえない。

いや、見ようとも聞こうともせずにしていただけなのか。

私は消えようと思った。


翼を生やした。

確かに辛い場所だ。

確かにしんどい場所だ。

それでも確かにここは辿り着きたかった場所なのだ。

翼は消えたらまた生やせばいい。

なんなら何本生やしてもいいのだ。

今日も今日とて飛び回る。

ゴクゴクゴク、カランコロンカラン。

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