第12話
試合会場を後にしたレッドは、通路を歩いていると、そこにあるソファーに座っている、ある魔騎士に目がやった。
その魔騎士は、黒に赤い線が入った貫禄のある鎧を着用していて、通り過ぎるレッドを睨んでいた。
そして、控室に入ったレッドは、睨んできた奴のことを思いだした。
「何だ?あいつ。いかにも、亜騎士って感じだったな」
レッドがそう思ったのは、黒い鎧が闇をイメージさせたからだろう。だが、ここにいるということは、あの魔騎士は、コスモバトルの参加者の、正式な魔騎士だ。
「ま、いっか」
そう言って、兜を外したレッドは、前もって買っておいたトロピカをとり、体を回復するような気持よさそうな表情しながら、トロピカを飲んでいる。
「何とか、勝てたな」
勝ったので安心したのか、一息ついた。
オラシオンの攻撃の前に攻撃できたからよかったものの、もうちょっと攻撃が遅ければ、レッドが控室に戻されただろう。
そんな時だった。
突然、控室のドアが叩かれた。
「誰だ」
座っていたベンチから立ち上がったレッドは、ドアを開けると、そこにはフェンリルとオラシオンがいた。
「二人とも、どうしたんだ」
「いや、俺はオラシオンに勝ったて聞いたから、お目どうって言おうと思ったら、オラシオンがいたんだ」
オラシオンを不思議に見ながら言うフェンリル。
「レッドには負けたからな。だが、俺はもっと強くなれる気がした。だから、その礼を」
「そうか、取りあえず入れよ」
そうして、二人はレッドの控室に入って行った。
「ごめんな、オラシオン」
「なぜ、レッドが謝る?ああ、エクスカリバーの事か。気にするな。そんなものに頼らずとも、俺は強くなる」
淡々と語るオラシオン。
「そうか。そうだ。こんなことも聞くのはなんだが、フェンリルの願いはなんだったんだ?」
フェンリルはオラシオンに負けたので、願いはかなわないので、少し控え目で聞くレッド。
「俺か?俺は、ありったけの金よ。金があれば何でもできる」
そう、ニヤニヤしながら言うフェンリル。
だが、レッドはそれが願いだとは思わなかった。
フェンリルの願いは、母親を見つけることだ。
甘えん坊で、ガキみたいなフェンリルを、づっと面倒見てきた母親がいた。
だが、その母親は、なぜかフェンリルのもとから去り、それから一度も会ってなかった。
あまりその事を思い出したくないフェンリルは、嘘をついたのだろう。まあ、金がほしいというのも、嘘ではないが。
「そうか・・・」
嘘だと分かっているレッドだが、気を使い、そっとしておいた。
「まあ、俺らは、敗れた。お前は、願いをかなえろ」
こんな事を言っているオラシオンだが、本当はレッドには負けてほしかった。そのために、全力の全力で戦った。だが、オラシオンは負け、レッドは願いを叶えるために戦う。
そして、二人が帰ると、再びドアが叩かれた。
「レッドさん」
その人物は、ブラストだった。
「おお、ブラストか。どうした?」
「僕、負けちゃいました」
「そ、そうか」
「はい、ゼロさんに。でも、あの人と戦ってみて、何かを感じたというか、何かを背負って戦ってる気がして。あ、いえ、たぶん気のせいですよね。それだけ、伝えに来ました。まえ、レッドさんとゼロさんが一緒にいるところみたので・・・それでは失礼します」
そう、ブラストは一方的にレッドに言うと、すぐさま帰って行った。
「ゼロか・・・あいつのことは、何か引っかかるんだよな」
この前のようにゼロのことを考えると、魔またまたドアが叩かれた。
それはスタッフで、スタンバイを城ということだった。
「よし、行くか」
そう言って、兜をつけたレッドは、あの白いソファーに向かった。
*
ここは闘技場。
レッドはMCに紹介され、早くも入っていた。
「レッドの相手は、影の支配者 コードネーム シャドウ」
MCに紹介され、レッドの反対側から出てきたのは、さっきレッドをにらんだ、黒い鎧を着た魔騎士だった。
「お前、シャドウって言うんだ」
「はい。僕のコードネームは、シャドウ。僕の願いは、魔騎士のトップになることです」
ていねいな口調で、とんでもない事を口にするシャドウ。
「ずいぶんな野心家だな」
「ふふ。あなたは、聞くところに言うと、魔騎士をやめようとしてるらしいですね。僕は、そんな人には負けません。僕の力を、僕をいじめた奴に、認めさせるために」
感情を出しだしたシャドウ。シャドウは、ブラストとは反対で、子どもの頃いじめられていた。だから、強くなろうと魔騎士になったのだ。だが、いじめっ子は認めてくれないアから、トップに君臨して、認めさせようとしているのだ。
「そうか。確かに、俺はやめようとしている。だが、そのためなら勝つ」
「それでは、始めたいと思います。バトルスタート」
MCが開始の合図を言って、最初に動いたのは、武器を持ってない格闘戦を得意とする、シャドウだった。
シャドウは、右手の小手の丸くて赤く光っている部分を押し、レッドにそれを向けると、黒い破壊光線が発射された。
「何?」
その破壊光線は、影の力でできており、油断しているレッドの腹に直撃し、レッドは壁に背中をぶつけた。
「やるじゃねえか」
「そうでしょ。これが僕の技、シャドウバーストです」
このシャドウが来ている鎧は、ウレイドルと呼ばれる黒狼で作られたもので、シャドウの能力に合わせて作られたもので、この鎧はシャドウの力と直結しており、各部分の赤く光っている部分を叩くと、それの部分の攻撃を繰り出せる。右手は、影の力の破壊光線のようだ。
「やるじゃねえか」
レッドは、背中を壁から話すと、アグルではなく、右手に赤い巨大な手裏剣を出すと、近距離が得意な事が、武器を持っていないことから分かったので、手裏剣をシャドウに投げ飛ばした。
「シャドウバーストです」
シャドウは、左足をできるだけ上げ、その赤い丸の部分を押し、影の力を左足から黒い波動として出した。
半月型のした黒い波動は、左足で何もない所に蹴った八回と同じ、八つ飛ばされた。
そしてその斬撃は、赤い手裏剣に全てあたり、勢いを止められた手裏剣は、地面に落ちて行き、レッドのもとへ帰って行った。
「はああああ」
レッドは、やはり近距離が得意なので、左足をあげているシャドウに、アグルを抜いて音速ではなく、光速で走った。
そして、レッドはシャドウに近づくと、右からシャドウのわき腹に叩きつけた。
だが、シャドウはそれより先に、手際良く左足を地面に置いて、右足を置いて、丸い部分を押し、レッドの頭に右から蹴り飛ばした。
そのシャドウの蹴りの方が早く、レッドは攻撃を与える前に、再び壁に吹っ飛ばされた。
「負けるかよ」
レッドは体制をたてなおすと、もう一本アグルを自分の能力で出し、余裕のシャドウ再び走って行った。
「何度来ても無駄です」
その突進を、右斜めに避けたシャドウは、すぐさま左斜めに飛ぶと、シャドウの背中が、レッドの背中と向かい合い、シャドウは勢いよく反回転して、レッドの脇腹を後から、カオスバースト状態の右足で蹴り飛ばした。
「ぐわああ」
嘘炉から攻撃されたレッドは、何が起きたのか訳が分からず、また壁に激突した。
「終わりです」
左手をシャドウバーストしたシャドウは、その左手の平を、闘技場の地面に叩きつけると、そこから影がレッドに向かって伸び、レッドにたどり着く前から、影から黒い槍が、何本も生えてきた。
「くそ!ぐわあああ」
避けようにも、壁に激突し立ち上がれないレッドは、その槍をまともに食らうと、その威力で中にあげられた。
「まだ、生きてますか。では、カオスバーストです」
今度は右手をカオスバーストさせ、空中で無謀なレッドに、破壊光線をお見舞いした。
それをまともに体全体で受けたレッドは、まだ控室に転送されず、客席と闘技場を区切る、壁の上の高い所に張り付けられている、鉄の網にぶつかった。
「まだですか」
なかなか、転送されないレッドに、いらつくシャドウ。
そして、レッドが網から壁に移って、ずるずると落ちて行くときに、シャドウは後の壁にバックステップし、壁をけり落ちて行くレッドに、カオスバーストした右足の裏で、壁にめり込ませるように叩きこんだ。
「ぐは!」
口から、少し血を吐き出すレッド。各当選なので、刃物と違ってすぐには死なないのだ。
「まだ耐えますか」
シャドウは左足で壁を蹴り、後に一回転しながら戻った。
そして、レッドはようやく地面に体がついた。
「け、ひでえな」
左手で口の血をふき、立ち上がるレッド。こんなものじゃ、トップレベルのレッドはやられない。
「おおおおおおお」
雄叫びをレッドが開けると、一瞬でこの闘技場が赤く塗りつぶされた。
「何?」
レッドが、赤の絵具で壁と地面を全て塗ったというより、そこに出して自然に塗られたのだ。
そして、全身赤いレッドの居場所は、シャドウにも観客にも、一瞬でもわからなかった。
「何所だ」
カメレオンのように隠れたレッドは、見つからないうちに背後に回り込み、二本のアグルをシャドウの背中に叩きつけた。
「ぐわああ」
初ダメージを受けたシャドウは、斬劇とともに、レッドのように壁に吹っ飛ばされた。
「ワイルドタイム」
勢いに乗って終わらすつもりのレッドは、さらに赤くなった。だが、絵具の赤い色とは違った赤なので、シャドウにも観客にもなんとなくわかった。
「やっぱり、やりますね。シャドウフルバースト」
シャドウは立ち上がると、胸の真ん中の赤い丸い部分を押した。
そうすると、シャドウの体は、闇ではなく自分の影に包まれると、影が消えた後は黒くかがやいている。
そして、右手が巨大な剣の刃になったシャドウ。
そして、一本は鞘ではなくい空間にしまい、もう一本のアグルは鞘におさめ、マゲリマムを出した。さっき、大量に絵具を出したので。マゲリマムを出すので精いっぱいだった。
そして、シャドウが走りだすと、レッドも走りだし、右手の刃をシャドウはレッドに叩きつけた。
だが、それをワイルドタイムによって、簡単によけ、すぐさま背後に回ると、車道が振り向くまでに、マゲリマムに力をため、車道が振り向いた瞬間、マゲリマムを叩きつけた。
「な!」
そう、シャドウは吐き捨て、消えて行った。
レッドが、ワイルドタイムで勝ったのだ。
「く!」
ワイルドタイムを、一日二回使ったので、さすがに限界が出たのか、すぐマゲリマムは消え、すぐさまレッドは、フラフラしながら、控室に戻って行った。
レッドは、こうして予選Aブロック決勝戦に出場決定。
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