第11話

 「対戦相手は、誰だ?」


 レッドは少し、対戦相手が誰なのか知らされていないので、気になりながらバイクを運転していた。


 「よし、勝つぞ。俺の願いのために・・・」


 バトルドームに着いたレッドは、バイクから下りると右手拳を握りしめ、心に言い着させ、控室に向かった。


 控室は、昨日と同じ場所だったので、迷わず行けた。


 「アグル」


 控室に入ったレッドは、腰に収めてある、隼人の手によって強化されたアグルを、部屋の電気にかざすと、アグルは電気を受けて、赤い輝きを放った。


 「勝つ!」


 レッドは準々決勝の時間になったので、アグルを鞘に戻し、万全の態勢で、通路のソファーに向かった。


 「それでは、コスモバトル二日目の、最初のカードは、血だらけの戦士と恐れられる魔騎士 コードネーム レッド!」


 MCが昨日のように声を張り上げると、歓声が巻き上がり、レッドは戦闘場に足を踏み入れる。


 「行くぞ!」


 レッドは、気合いを入れるために、右手の握りこぶしを天井に向けると、歓声が強まる。レッドは、勝つと前もって宣言してるのも同然の行為をした。


 「その対戦相手は、閃光の使者 気高きオラシオン!」


 歓声の中姿を現したのはフェンリルに勝ち、マントをなびかせながら登場する、オラシオンだった。


 「フェンリルに勝ったんだな」


 「ああ。俺は、エクスカリバーを手に入れる。悪いが、お前の願いはかなわない」


 「それはどうかな」


 プライドの高いオラシオンを挑発するレッド。だが、オラシオンはビクともしない。


 「それでは、バトル開始」


 「行くぜ!」


 最初に動き出したのはレッドだった。レッドは、燃え盛るアグルを勢いよく抜き、余裕の表情を浮かべているオラシオンに、音速の速さで走っていき、燃え盛る斬撃を放った。


 「ふん」


 オラシオンは中高く飛び、レッドの斬撃を軽くよけた。その時に、青いマントがなびき、一瞬レッドはそっちに注意を向いてしまった。


 「行くぞ」


 静かに言ったオラシオンは、鉱物をふんだんに使った、黄色と白のレイピアを抜くと、自分のマントを見ているレッドに向かって、強く素早い突きを放った。


 「く!」


 それを、兜ギリギリで避けたレッド。兜にも少しかすったので、兜をしていなかった場合、かすり傷を負うだろう。


 そして、レッドは鋭い突きを避けると、勢いよく後にジャンプし、後の壁に空中で足をつき、勢いよく蹴っ飛ばし、突き避けられ地面に足をついているオラシオンに向かって、アグルを振りかぶりながら飛びかかった。


 「ふん。甘い」


 レッドは、オラシオンに近づくと、再び斬撃を放ったが、オラシオンは斜めに飛んで避けると、素早く天井を向いているレッドの背中の上に移動し、レイピアを刺した。


 「ぐッ!」


 鎧のおかげで、突き刺さりはしなかったが、突きの勢いでレッドは腹から地面に叩きつけられた。


 オラシオンは、レッドの背中を蹴ってジャンプすると、少し距離をとった。


 オラシオンの能力は、聖なる光。聖なる光により、身体能力など体の能力が、ワイルドタイムと匹敵するほどに活性化する。聖なる光事態で、攻撃することも可能だ。


 「まだまだ」


 立ち上がったレッドは、アグルを構え、オラシオンに走って行く。


 「懲りない奴だ」


 オラシオンも、レイピアをフェンシングのように構え、向かってくるレッドに何度も連続で突きを放った。


 だが、レッドは正確に確実にその突きを走りながら避けると、オラシオンの腹に、アグルを叩きこんだ。


 「何!」


 さすがにオラシオンはよけれず、燃え盛る斬撃は、オラシオンの腹にクリンヒットして、炎が巻き上がった。


 「すげえな」


 その炎の量に、自分でも驚くレッド。


 「ぐう」


 オラシオンは、火事が起きるほどの炎をかき消すと、レイピアを持っていない左手を、レッドにかざした。


 「ヤバい」


 オラシオンの能力と、戦闘スタイルが分かっているレッドは、すぐさま左手がさしていない方に移動した。


 「ち」


 レッドがさっきまでいた場所は、急に光に包まれ小爆発した。


 「行くぜ!」


 小爆発を先読みして避けたレッドは、音速でオラシオンに走ると、二人の距離が近くなった時に、空中に飛びながら、強化されたアグルを叩きつけた。


 「く」


 その攻撃を、オラシオンがレイピアで防ぐと、アグルの炎属性が発生し、ぶつかったことで起こった火花と一緒に、燃え上がり、二人の顔を炎の熱さが襲う。


 「く!」


 熱さに耐えられなかったオラシオンは、アグルをレイピアで弾くと、レッドの腹を蹴り、自分を炎から離れさせた。


 「まだまだだ」


 今度はレッドが左手をオラシオンに向けると、オラシオンの前で一瞬だけ炎が巻き起こった。


 レッドは炎を出せるが操れないので、炎は一瞬で消えてしまった。


 「はあああ」


 オラシオンも、左手をレッドに向けると、同時に光と炎をだし、巨大な爆発が起こり、煙に、会場は包まれた。


 「おーと、どういうことでしょか。まったく、様子が見えません」


 そうMCが実況すると、客席も騒ぎ出す。


 「おおおおおお」


 そんな中でも、レッドの勇ましい雄叫びが聞こえた。煙の中でも、戦闘は行われているようだ。


 そして、数分後。


 二人は同時に煙から飛び出し、煙はようやく消えた。


 「やるな、レッド。だったら、はあああああ」


 オラシオンを、聖なる光が包み、オラシオンの体は光り輝いて行った。


 これは、聖なる光をかき集め、一撃に込めていた。


 「だったら」


 レッドも、ラストスパートでワイルドタイムを発動し、力を蓄え、アグルをしまい、赤い大剣のマゲリマムを両手で構える。


 「行くぞ。レッド」


 「おおおお」


 そして、二人は武器を振りかぶり、お互いに走って行き、レッドは強力な斬劇を。オラシオンは、急所を正確に狙う鋭い突きを放った。


 そして、その勝者は・・・


 「決まったー。勝者は、コードネーム レッードー」


 そう、今回の勝者は、レッドだった。


 そこには、オラシオンの姿はなく、レッドの姿しかなかった。


 「よっしゃー」


 マゲリマムを戻したレッドは、右手を始まる前にやったように、掲げた。


 そして、レッドは通路に戻って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る