第8話

 「ん?」


 レッドは目を覚ますと、まず両手で両眼をこすって、ぼやけている目をなおした。


 「レッド!」


 レッドの目に、最初に映ったのは、青い髪色をしたアクアだった。アクアは、必死そうな顔をしていて、少し冷や汗が見えていた。


 「どうした?アクア」


 何も覚えていないレッドは、心配そうに自分を見つめるアクアに話しかけた。


 「レッド。あんた、一日目覚めなかったんだよ」


 そう、レッドはあの事件から、ちょうど二十四時間寝ていた。


 パートナーのアクアは、一日つきっきりで、レッドを看病していた。


 「う!」


 レッドが寝ているベッドは、医療室のベッドで、やけにホカホカしていた。


 そのベッドから、起き上がろうとしたが、ワイルドタイムを二回発生させた体は、一日では治らず、まだ体がいたんだ。


 「無理しないでいいよ」


 「すまん」


 そう言って、レッドは再び寝転がった。


 「そうだ。ブリッツは?」


 「ブリッツ?何?」


 レッドのもとの相棒のブリッツとは面識が一切ないアクアは、ブリッツ遺伝子に関係しているのだと思った。


 「俺は、ブリッツと戦ってて・・・それで。う、思い出せない」


 その先を思い出そうすると、レッドの頭に何かにぶたれたような痛みが走った。


 「あそこには、ゼロっていう魔騎士と、あんたしかいなかったわよ」


 アクアは、ブラストと同時にレッドを発見した、第一発見者なので、その時のことを述べた。


 「そうか・・・」


 レッドは、自分がブリッツを倒したことを悟った。


 それより、ゼロとは、どんな魔騎士なのだ?どうしてそこにいた?などの、コードネーム ゼロに関しての疑問がしょうじた。


 「それより、トロピカリンゴ、むいてきてあげる」


 アクアは、レッドがトロピカのもとになっている、トロピカリンゴが好きなことを知っていたので、自分で持ってきたりんごを向くために、部屋を出て行った。


 「ブリッツ・・・亜騎士を助ける方法はないのか?だから、魔騎士はいやなんだ」


 前の相棒を殺さなきゃならない、それが魔騎士の世界だ。亜騎士を倒すのは魔騎士。


 魔騎士には、簡単に入れるが、実力だけではなく、精神面でもかなり強くなければならないので、簡単に続けるのは、選ばれた魔騎士と言っていいだろう。


 そんなブリッツのことを考えているレッドのいる医療室のドアが、突然開かれた。ノックなしなので、礼儀正しいアクアではないことは確かだった。


 「フェンリル。それに、皆」


 ドアを開けた人物は、元気者な魔騎士 フェンリルで、そのほかには、ブラスト、オラシオン、アクセルがいた。


 「大丈夫か?レッド」


 フェンリルは医療室に入ると、すぐさま、ベッドの横にある小さないすに座った。


 「大丈夫ですか?レッドさん。発見した時は、死んでいるかと思いました」


 師匠のレッドを心配しているブラストは、もう椅子がないので、寝ているレッドに近づいた。


 「情けない」


 クールなオラシオンは、倒れていた人間にかける言葉とは思えない、冷たい言葉を発した。


 「レッド、駆け付けたのだが、間に合わなかった。すまん」


 律儀で礼儀正しいアクセルは、自分を悔やんでいる。


 「気にすんな。俺が悪いんだ。お前は関係ないだろ」


 「だが、お前とは、付き合いが何かと長いからな」


 レッドとアクセルは、ライバルみたいなものだ。お互いを助け合いながらも、闘い続ける。まさに、男の闘いだ。


 「そんな堅い事言わないで、何か食べようぜ」


 「アクアが、リンゴをむきに行った」


 「まじで、俺も手伝ってこよ」


 十八歳だが、ガキのようなフェンリルは、すぐさま椅子から立ち上がり、部屋を出て、アクアを追いかけた。


 「騒がしい」


 フェンリルが走ったことで、誇りが少したち、オラシオンはその誇りが鎧に着いたので、振り払った。


 そんな時だった。


 誰も、テレビのリモコンを触っていないのに、医療室のテレビが自動で着いた。


 「ん?」


 気になったレッドは、無理しながら起き上った。


 そこに映っていのは、大阪にある魔騎士本部の、学校で言う体育館に近いホールで、そこには、一人の男性が立っていた。


 「ボス」


 その人物は、魔騎士のトップの存在で、皆はボスと言っている。 


 「ええ、みなさん。突然ですか、重要な事を発表します」


 この番組は、生放送なようで、画面の右上に、LIVEと書かれていた。


 「何だ?」


 「結構重要な事なんでしょうか?」


 自動でテレビがついたということは、全てのナイトキャッスルのテレビが一成に着いたと考えたブラストは、起き上がったレッドの方を向きながら言った。


 「さあ?聞いてみるか」


 四人は、テレビを消さないまま、画面を見た。


 「ええ、今日から一カ月ほど先に、コスモバトルという、大手大企業のコスモ会社主催の大会が開かれます。その大会の出場権は、魔騎士である事。そう、魔騎士のトップを、改めて決めようじゃないかということです」


 「何?魔騎士の頂点?」


 強さを求めて魔騎士をやっているオラシオンは、ボスの言った言葉に食いついた。


 「それと、優勝者には、一つだけ長いをかなえられます。それは、何でも結構です。魔騎士とコスモ会社の力を持って、何でもかなえて見せます。それでは、ごきげんよう」


 そう、ボスが言い終わると、テレビの電源が消えた。


 「コスモバトル?願いをかなえられる?」


 まだ、ボスの言った事が本当だとは思えないレッド。


 願いをかなえるのは、どんな願いだとしても、かなりの金がかかるだろう。魔騎士は是認でやっているので、国民の反論も置きかと思われた。だが、警察何かと違って、魔騎士はモンスターを倒すので、欠かせない存在だ。なので、国民は魔騎士になら税金を使えると、事前に調査をとってあった。


 なので、コスモバトルの開催と、願いがかなうというのは、本当だろう。


 「面白い。俺は、優勝し、聖剣 エクスカリバーを手に入れる」


 「エクスカリバー?それは、伝説だろ。さすがに、無理なんじゃないか?」


 「いや、そうでもないかもしれんな」


 そう、アクセルが呟いた。


 「どういうことだ?」


 「エクスカリバーは、その強さのために、魔騎士の本部が封印しているという噂が流れていた事があった。本部が協力しているなら、可能かもしれんな」


 「まじかよ」


 「ふん」


 「あのそれで、アクセルさんの願いは?」


 おどおどした表情で、アクセルに聞くブラスト。アクセルは、オラシオン動揺、コワモテなので、ビビリなブラストが怯えても仕方ない。


 「俺か?俺は、自分の限界を知る事。そのために、魔騎士になったのだが、いまだに限界が見えない」


 加速する能力を持つアクセルは、そのスピードは無限の速さ。なので、自分の限界がづっとしりたがっていた。


 「それこそ、無理だろ」


 「そんなの、本部とコスモ会社がどうにかすればいいことだ」


 「そう言う所は、傲慢だよな」


 「だったら、ブラストの願いは?」


 自分が聞かれたので、アクセルはブラストの願いを聞いた。ブラストは、欲がない性格なので、予想がつかなかった。


 「ぼ、僕ですか?僕は、強くなる。そうです。強くなります」


 「それは、自分で努力しろ」


 「確かに、実力じゃなくて力を得たのは、m騎士として失格です。でも、守りたいんです。自分の罪を償うために。この世界を」


 強く語ったブラスト。やはり、いじめっ子だったとは思えない。


 「そうか。願いか・・・」


 「レッドさんの願いはなんなんですか?」


 「そうだな。魔騎士をやめる事かな・・・」


 「!」


 三人は、レッドが魔騎士をいやいややっている事は知っていたが、いざ言われると、驚いてしまった。


 「そんな驚くなって。でも、俺は魔騎士をやめる。そして、大会に優勝できなかったら、魔騎士を続けるよ。永遠にな」


 「本当ですか?だったら、僕がレッドさんを倒します。そして、レッドさんに魔騎士を続けてもらいます」


 「そうか。まあ、続けるは分からないがな。でも、踏ん切りはつくだろう」


 「分かりました。レッドさん訓練してください」


 「自分を倒す魔騎士を自分で育てるか。面白いな」


 そう言って、四人は笑っていた。


 そう、レッドの願いは魔騎士をやめる事。


 コスモバトルに出るすべての人間が、それぞれの願いをかなえるために、戦う。そう、それが魔騎士だ。

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