第4話

 ここは、東京の魔騎士が所属している、魔騎士が寝泊まりする場所 ナイトキャッスルの、一つだけの食堂だった。


 そこの真ん中の四つある特等席に、一人一つずつ、魔騎士が座っていた。


 一人は、「血だらけの戦士」と言う異名を持った、心やさしき魔騎士━コードネーム レッド。


 二人目は、その「血だらけの戦士」のただ一人の相棒、女性にして男性の魔騎士よりはるかに実力がある魔騎士━コードネーム アクアだった。


 三人目は、上前歯の二本の牙と言っていい歯が特徴的の魔騎士━コードネーム フェンリルだ。フェンリルの服装は、他の三人と同じで、兜を外した鎧を着ていた。


 フェンリルの鎧は、本当に存在するかは分からないが、伝説の狼 フェンリルの死体と思われる死体からとれた素材を使った、ガレルと呼ばれる白と紫色の、不気味な色の鎧だ。鎧の特徴は、腹の部分にある、怪物の口をモチーフとした所で、そこにも上前歯の、サーベルタイガ―の牙のような、太くて長い牙が取り付けられており、口が開いてるようになっているため、今にも噛みつかれそうな勢いを、醸し出しているフェンリルの鎧のガレル。兜は、フェンリルと思われる死骸の顔を鉄などで強化した兜なので、口から魔騎士のフェンリルの顔が出るようになっている。


 最後の一人は、レッドのライバルと言っていいコードネーム オラシオンだった。オラシオンの髪の毛は、黄色の輝いた髪の毛だった。本人が言うには、地毛らしい。この髪の毛は、肩まであるので、兜から黄色に輝く髪の毛が飛び出てしまうこともある。だが、それはそれで、獅子のようなオーラを出すので、女性からは人気だった。


 「聞いてもいいか?レッド」


 レッドの隣に座っているフェンリルが、レッドの方に顔をやって、少し真面目な顔つきで質問してきた。


 「いいけど、何?」


 フェンリルが真剣な顔をするので、少し気になる感情とともに、何を言ってくるのかという恐怖感に近いものも出できた、レッドの心。


 「いっつも思っていたんだが、何でお前の髪の毛は、赤じゃないのだ?」


 「何だよ、そんな事かよ」


 心配して損だったという感情から、リラックスするレッド。フェンリルにとっては、だいじなことなのだが。


 「そんな事とは、俺はその事で、眠れないときもあるのだぞ」


 「まじか!」


 これにはレッドだけではなく、他の二人も驚く。フェンリルは、考え込むと解決するまで、なかなか眠れない体質なのだ。


 「じゃあ、教えるけど、そんなの俺に言われても分からない。生まれつき黒だったんだ。てか、黒が普通なんだよ。お前らの髪の毛はどうなってんだよ」


 レッドの髪の毛は、レッドと言うコードネームにもかかわらず、普通の黒だ。それに比べて他の三人は、普通の色ではなかった。


 オラシオンの髪の毛は、説明したとおり、輝く黄色。アクアは、薄い青。水色とは違って、絵具で表すと、青色を水で薄めた色だ。フェンリルの髪の色は、こちらも鎧のガレルと同じで、不気味な色の濃い紫色だった。


 「レッドが普通なのよ。髪の色の普通が黒だったのは、大昔。モンスターが出てきたころから、モンスターのせいで変わった世界の影響で、髪の色は人それぞれになったのよ」


 「そんなこと知ってるけど。あまりにもカラフルすぎるだろ」


 食堂全体を見渡したレッド。その瞳には、お花畑のような髪の毛の色々な色が輝いていた。


 「確かに、カラフルすぎるかもな」


 レッドと同じように、あたりを見渡したオラシオンは、そう呟く。


 「まあ、私も否定わしないけど・・・」


 そんな話をしていると、フェンリルがある話しを始めた。


 「なあ、ブラストとはどうなんだよ?レッド」


 「ブラスト?ああ、あいつね。あいつは、勝手に師匠だと思ってるだけで、俺には関係ない」


 「関係ないって、育ててやんないのか?」


 やけに、むきになるフェンリル。フェンリルは、ブラストに天性の才能があるとにらんでいる。


 「そうね。育ててあげなさいよ、レッド。教えることで、学ぶこともあるかもしれないわよ」


 アクアも乗っかてきた。


 「俺は忙しいんだよ」


 「いっつも、暇だなって言ってるくせに」


 「うるせえ、俺はブラストみたいな、思いこんでるやつが嫌いなんだよ」


 「え、レッドさん。僕のこと嫌いなんですか?」


 そう言ったのは、話を耳にして、突然四人のとこにやってきた、噂のブラストだった。


 ブラストの鎧は、魔騎士が最初に着る、白いノーマルスーツだ。


 ノーマルスーツは、良いとこもなければ、悪いところもない。だから、ブラストのように、魔騎士を始めたばかりの魔騎士が、よく来ている。四人も来た事がある代物だった。言わば、魔騎士の原点だ。


 「な、お前、いつの間に」


 「そんなことより、僕のこと嫌いなんですか?」


 「うるせえ。どっかいってろ」


 本当は嫌いと言いたいところのレッドだったが、本人を目の前にすると、言いずらかったので、適当にごまかした。


 「そんなこと言わないで下さいよ。あ、そうだ」


 「今度はなんだ?」


 「僕を訓練してください」


 お願いしますと言わんばかりに、深くお辞儀をするブラスト。


 レッドは、他の三人を見たが、無関心のオラシオン以外は、訓練してやれっと、言ったふうな顔をしていた。


 「分かった、分かった。お前らも、付き合えよ」


 と、レッドが発言した時に、ナイトキャッスル全体に、指令部からの放送が流れた


 「指令部からの指令です。コードネーム アクア、フェンリル、オラシオン、アクセルは、東京のアスガル通りに現れた、金色の獣 ハビルレロの討伐に、直ちに向かってください」


 「お、来た、来た。て、事で、指令があるから、一人でがんばれ」


 そうフェンリルが言うと、三人は席から立ち、兜や準備を整えるために、自室へ向かった。


 「ああ、もう分かったよ。ブラスト!」


 「は、はい」


 急に大声を出したレッドに、少し驚くブラスト。


 「みっちりしごいてやるからな」


 「お、お願いします」


 再び深くお辞儀をしたブラスト。


 そして、二人は訓練場に向かった。

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