第2話

 「行くぞ!アクセル」


 「礼儀を知らない奴だな」


 二人の距離がレッドが走ったことで、五メートルほどになったところでアクセルは、ハグレットを右手で抜くと、クイっと回し、平らな部分をレッドに見せ、剣の先を左手で掴み、レッドの斬劇を防ごうとした。


 そのガードする体制になったアクセルを見たレッドは、アクセルとの距離が一メートルまでなったとこで、横にいきなり右足を出し、その右足を軸に右に回り、そのまま勢いを止めず走って行った。


 「何?」


 「甘いぜ、アクセル。お前は、防御はしない方がいいって、昔言っただろ」


 そうバトル中にもかかわらず、右に発しているレッドは吐き捨て、魔の前の壁に飛びかかり、壁に対して体を垂直にさせ、そのまま足をくっつけるようにして、壁を走って行った。


 「何だと!」


 アクセルはその光景を見ると、あわててハグレットを防御の体勢から攻撃の体制にして、レッドの攻撃に備えて構えた。


 「おおおお」


 垂直のまま五メートル全力で走ったレッドは、剣のハグレットを構えたアクセルの後に移動しており、足で勢いを止めず壁を、水泳をやる時のように思いっきり蹴り、右足を前に出し、その右足でアクセルの後頭に、蹴りを繰り出した。


 「ぐ」


 兜をかぶっているが、頭に少し痛みが走るアクセルは、酔っ払ったように前に倒れた。


 「こんなものか?アクセル」


 地面に足をついたレッドは、倒れているアクセルを馬鹿にするように言った。


 「うるさい」


 アクセルはハグレットを持ち、ハグレットで自分を支え起き上がると、レッドの方を向いた。


 「俺が立ち上がるのを待つと思ったか」 


 アクセルがレッドの方を振り向くと、アクセルの目の前には、鎧に包まれた足があった。そして、その足はアクセルの顔面に直撃した。アクセルは、今度は吹っ飛ばされ背中から倒れた。


 「おいおい。剣を使わなくても勝てんのか?」


 「うるさい」


 再び同じように立ち上がったアクセルは、レッドが襲いかかってくる前に後にハグレットを持って走りだし、壁にぶつかる寸前で体を右に回し、右に走りだした。


 「来るか」


 走るアクセルをできるだけ目で追い、防御の体制にするレッド。


 アクセルは壁にそって何周も、闘技場を走った。


 だが、観客たちやレッドは、アクセルが何をやっているのかは分かっていた。知らない人がこれを見たら、不思議に思うだろうが、アクセルの戦闘スタイルは走るだ。


 「さっきのお返しだ」


 普通走れば、疲れてスピードが遅くなるもの。だが、アクセルは違った。乗りものと同じで、走れば走るほど加速する。


 アクセルの能力は、コードネームの通り、加速する能力だ。それは走る時ではなく、攻撃を何回もやれば、攻撃のスピードも上がってくる。


 アクセルは、スピードが音速まで来たところで、レッドと同じく壁に足が接着剤なのでくっついているように、壁を地面を走って時のスピードを保ち、かけだした。


 「俺の真似か?アクセル」


 もう目でアクセルをおえなくなったレッドは、いつどこから来ても大丈夫なのように、アグルをさっきよりも強く握りしめた。


 「お前は、蹴りだったな。俺は斬撃で行かせてもらうぞ」


 壁を走りながら、アクセルはハグレットを両手で掴むと、レッドのように壁を蹴り、レッドの無防備な背中を、ハグレットを横にして切り放った。


 「なめるな!」


 確かにアクセルに背中を向けていたレッドだが、ハグレットの何でも切り刻めるようなイメージを出させる刃を、足をガニ股にして屈伸をして避けた。


 「何?」


 レッドによけられたハグレットとアクセルは、攻撃の勢いで、反対側の壁に体をぶつけ、ずるずると地面に落ちて行った。


 「甘いって言っただろ」


 再びアクセルを馬鹿にするレッド。


 「なめるな」


 立ち上がったアクセルは、ハグレットを片手で強く握り持ち上げ、両手で握りなおすと、余裕をこいているレッドに向かって、さっきのスピードは止まってしまったことで出なが、できるだけ鎧を着ているが、スピードを出した。


 「この勝負。俺の勝ちだ。赤い壁。来てくれ」


 左手にアグルを持ち替えたレッドは、右手の手のひらを、走ってくるアクセルが次右足を踏むであろう場所に向けた。


 そうすると、急に赤くにじんだ色のような人一人分の大きさの壁が現れた。


 「ここで、能力を出すか」


 止まろうと思ったアクセルだが、スピードに乗ってしまって急ブレーキがきかず、赤い壁にぶつかり、壁は粉々に粉砕されたが、アクセルはスピードが落ちたまま、レッドの前に現れてしまった。


 「終わりだな」


 左手から右手にアグルを持ち替えたレッドは、スピードが落ちて無防備なアクセルに切りつけた。


 「ぐわあああ」


 再びさっきの壁に吹っ飛ばされるアクセル。


 「まだ、生きてるのか・・・。じゃあ、これで終わりだ」


 「何をするつもりだ?」


 「お前の弱点はなんだと思う?」


 「弱点?」


 「それは、赤いことだ」


 そう言って、左手を薙ぎ払った。


 レッドの能力は、赤いものなら何でも出せるという能力だ。


 これを聞いたら、太陽など出してム的じゃないかと思われるじゃないが、総ともかいらない。太陽を出してしまったら、自分も死ぬどころか地球自体滅んでしてしまう。逆に言うと、レッド次第で地球は滅ぼせるということだ。それに、この能力は強いうえ、体力と魔力を大幅に使う。だからレッドは、最初から壁を出さなかったのだ。


 もう一つ言うなら、レッドは赤い物なら何でも出せるが、操れないということだ。まあ、生きもの以外だったら関係ないのだが。


 レッドが肥大手を薙ぎ払うと、アクセルが消えてしまった。


 これには会場も騒ぎだした。


 そして、アクセルはレッドの前に瞬間移動した。


 確かにレッドは出した物を操れない。だが、出す場所は指定できる。


 「く、俺の負けか」


 「そうだよ」


 そう冷やかにアクセルにささやいたレッドは、右手に持っている愛剣のアグルを鞘にしまうと、右手にアクセルの大剣のハグレットと同じほどの大きさの、紅蓮色にもえているような大剣 イブリットを持ち、両手に持ち替えると、アクセルの背中に叩きつけた。


 だが、アクセルは再び瞬間移動して、レッドの前から消えた。


 「勝った」


 このバトルドームの闘技場は、選手が死ぬほどの攻撃を受けると、控室に転送させる不思議なドームなのだ。なので、ドームの効果によって相手を瞬間移動させた方が、勝負の勝ちだ。だが、フィニッシュが見れないので観客の不満も大きいが、こうしなければ、下手をすれば死人が出てしまう。


 「勝者は、「血だらけの戦士」レッードー」


 MCが再び叫ぶと、観客も再び歓声を浴びせる。


 「ふん」


 大剣のイブリットをしまったレッドは、勝者なので右手を上に伸ばした。


 「まあ、まだ、予選の一回戦だがな」


 そう言って、腕を下ろしたレッドは、通路に戻って行った。

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