16 宮沢賢治『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』

 拙著『風琴ねずみと夜の電車』には実は宮沢賢治が一瞬出てすぐに引っ込みますが、それはどうでもよく……


 東北に生まれますと、どの学年のどの時点でどんな〈宮沢賢治かぶれの教師〉に遭遇するかが、宮沢賢治との出会いを良いものにするか、うんざりさせられるかの分かれ目なのですが、最近はそういう先生自体いらっしゃるのかな。


 私は小学校三年の時の担任がよく賢治を語る方でしたが、同時に人気教師でしたので、そのお話の内容もほどよく、おかげですんなりと『銀河鉄道の夜』などを読むようになりました。出会い大事。


 しかし。


 のちによくよく考えると、私はそれ以前にすでに賢治作品に出会っていました。


 それは幼稚園で読んだ『注文の多い料理店』の絵本です。たしか絵が司修。長いこと宮沢賢治作、ということを知りませんでした! 幼稚園だもの!


 怖いけど、扉が一枚一枚ひらいて次の注文がくるのが面白く。いちおう最後は助かりますし、面白かったなあ。


 ついでに思い出を書いておくと、中学から高校生くらいで深夜ラジオを聞き出したころ、林隆三のラジオドラマと音楽の番組、『夢のひととき』で『注文の多い料理店』だったときがあって。


 山猫たちの声が子供みたいでかわいいのに、「早くたべたいなあ」とか、ひそひそ話をしていて、かわいくて怖かったな。


 ラジオドラマなので聞き返したことがなく、記憶違いの妄想のおそれがありますが(笑)


 思い出でした。

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