12 「マンガ」と「児童画」の間で③『馬場のぼるこどもまんが集』
今回取り上げる本です。
●『馬場のぼるこどもまんが集』(2011)https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000011267589-00
『11ぴきのねこ』ほか、絵本作家のイメージがある馬場のぼる先生ですが、東京児童漫画会をきっかけに手塚治虫とも生涯親交のあった漫画家です。
しかし現在、絵本作品に比べて漫画作品のほうは触れる機会が減り、こちらのまんが集はそれを埋めてくれる良い本なのですが、というか私もこの本でしか漫画作品読んでない(笑)! 本稿を書いている現在、残念ながら品切ということです。再版を願っています。
●ころっけらいおん
お肉が嫌いで、コロッケが好きなライオンは、じろとおばあちゃんと仲良し。でもあるとき悪者にねらわれて。イヤイヤするライオンがかわいい。
●ブウタン
ブタの村に住んでいるブウタン。ブタとオオカミは仲良くしちゃいけないと言われるけれど?
●ポストくん
ガマ公とポストくん。ロビンフッドごっこのガキ大将たちの抗争! と、思ったら。
●山から来た河童
ちょっとぼんやりした優しい人は、ある日どこかへいってしまう。たとえばかっぱの国。けれど優しい人間が大好きなかっぱたちは、人間のいじめっこを無邪気に楽しくいじめるかっぱたちでもあって。ほのぼのしているけれど、優しい良い人が住めるところはないのかもしれない、というもの寂しさがにじむ作品。
●ウサギ汁大作戦
自伝。中学校時代のウサギ取りの思い出。絶対取ろうと思っていたのに。
●自伝的エッセイ われのぼる/上京直後
上京し、漫画の仕事をはじめた頃までを綴るエッセイ。
「ころっけらいおん」「ブウタン」「ポストくん」は、私も親しんできた絵本作品に通じるのんびりとぼけた世界なのですが、「山から来た河童」の、ほのぼのした中に人間社会と河童の世界のそれぞれの残酷さを淡々と描く視点に、これまで知らなかった側面を見ました。
けれど、馬場のぼる先生自身の絵は、晩年のスケッチに至るまでずっと優しいのです。(参考:『馬場のぼるのスケッチブック』2020年)
何が優しさを守ってきたのか。そんなことを考えます。
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