倉沢の読書帳。

倉沢トモエ

1 おはなしの中だけだと思ってた。~横溝『悪魔の百唇譜』乱歩『蜘蛛男』

 読書の思い出と、読書記録。


 ということで本稿を立ち上げたものの、昔読んだ本、観た映画の記憶違い常習犯ですので、慎重にまいりたいと思います。


●横溝正史『悪魔の百唇譜』

●江戸川乱歩『蜘蛛男』


 今回取り上げるのはこの猟奇な二作です。いきなりなんなんだ。

 

 R15とかR18には当たらないとされているこの二作ですが、『百唇譜』は何人もの女性との房事の詳細を記録したものが登場する話で、『蜘蛛男』は、バラバラ死体に石膏をかぶせ〈作品〉としていた猟奇殺人の話です。ミステリなので、このへんざっくりにします。


 なぜこの二作か。

 読んだときの自分が10代だったことを思い出したときに、性的な事柄をあんまり判断できない年齢、しかもおませさんじゃない奴がこういう話を読むとどんな反応をするのかのサンプルになると気付き、取り上げました。どこの誰に需要があるんだよ。


 私はこの二作、中高生あたりで読みましたが、ひとことで言うと、完全に〈お話の中のこと〉として認識してこんな変態ほんとにいるのかどうかの結論は保留してましたね! 80年代後半から90年代頭あたりのことです。


 で。この二作に描かれた猟奇が本当にお話の中だけのことなのか、意外にも答え合わせはわりと直後にできました。


 1992年かそのへんに、脚本家ジェームス三木の女性遍歴ノートが一大スキャンダルになりまして。


 百唇譜的なものって、ほんとにつけてる人いるんですね! 


 ジェームス三木の行状はどうでもよく、驚いたのはそっちでした。『さらば夏の光よ』好きですけどね。


 まあこの時は驚きましたがそののち、戸川昌子の『猟人日記』も読んで、女性遍歴ノートって、わりとあるあるネタ? と、少し大人になりました(笑)


 そして同じく90年代ですが、ぼんやりとお昼のテレビを見ていたら、


 遺体の一部をアート作品にして逮捕されたたしかイギリスのアーティストのニュースが流れまして。


 蜘蛛男か!


 お話の中だけだと思ってました! いるんですね!


 とはいえ、このニュース、今ネットで拾えないので私の妄想だったらどうしよう。


 人間の遺体をアート作品にするの、映画しか観てないけど『溺れる魚』にもありましたね。


 とまあ、こんな調子で続けていこうと思いますので、お暇なときにお付き合いいただければと思います。

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