117話 リリィの好み

 王女リリィ王子ルーカスの王都観光一日目ももう終りだ。王女リリィが武器を試してみたいと言ったりどう扱えばいいか等詳しく聞いていた。意外にも王子ルーカスも武器には食いついた。自国のヴィクトリアン王国の武器とはかなり違うそうだ。そのせいか朝のアンビエンテの防具店より時間がかかった。


 気付くともう夕方になっていた。俺も武器を使うから王女リリィたちの話に入っていたせいか時間は気にならなかった。王女リリィ王子ルーカスは王族だからやはり金を持っているのか武器を一0本くらい買っていった。本当は武器屋を見た後は露店街を見に行く予定だったが時間的に行けないから暗くなる前に城に戻って一日目の観光は終了だ。


「あ~楽しかったわ~。来た甲斐があるわ」

「食事も美味しかったし、まさか一つの店であれほど時間を使うなんて思わなかった。姉上、明日の図書館は変えたほうがいいでしょうか?」

「あなたが行きたいところに行けばいいわ。私は付いていくから。今日は私についてきてもらったようなものだからね」

「わかりました。少し考えます」


 楽しんでもらえたようで何よりだと思っていると、王女リリィがこっちに歩いてきた。しかも何かいいことを思いついたと言わんばかりの顔をしながら。


「ねーアキト~ちょっとお願いがあるのよ」

「………何だ?」

「…そんな露骨に嫌そうな顔しないでくれない?」

「碌でもないことを言われる予感しかしねぇ」


 いったい何を要求してくるのか。師匠が何か思いついた時と似たような顔をしてくるものだから警戒してしまう。碌なことがなかったからな。師匠の場合はどこかに出かけることが多かった。出かけるというより拉致されるという表現が正しい。有無を言わさず師匠の半端ない移動速度に体がついていけず吐くことが多々あった。今思えばいい思い出だな…


「明日のお昼ご飯なんだけどね。アキトの家で食べたいのよ」

「何で俺の家なんだよ。というか何で俺が家持ってること知ってる?」

「サンドリアスの民家を知りたいのと、トンカツを提案したアキトの家のご飯を食べてみたいから。家のことと一緒に昨日パーティでアキトが料理上手とかアルフィーナ殿下からいろいろ聞いたわ」

「姫さんめ…余計なこと言いやがって」


 どうやら情報源は姫さんのようだ。本当に余計なことしかしない。といっても俺も情報を出すなとは言ってなかったしなぁ。癪だがまあよしとしよう。

 王女リリィ王子ルーカスはうちで飯食ってもらおう。思えば明日の昼飯どこで食べようか考えると悩みどころではある。王子ルーカスの行きたい所を回るから落ち着いた場所のほうがいいだろうから昼飯もどこかの店よりは家のほうが落ち着けるかもしれない。王族だから周りに人が多いと警戒するかもしれん。護衛の俺たちとしても楽だが、俺にそういう決定権はないから騎士団長がどういうかだな。


「俺としちゃ別に構わんが、護衛の面を考えるとどうなんだ?」

「アキト殿の家なら問題ないでしょう。斜め前には衛兵の詰め所もありますし、家の中にはアキト殿がいるので大丈夫です。念のために昼食時には警備を強化するよう指示を出しておきます」

「だってよ」

「明日のお昼ご飯楽しみにしておくわ!」


 明日の昼食をうちで食べることが決まり、王女リリィ王子ルーカスは城の滞在している客間に戻っていった。これで今日は俺たちも終わりかと思ったら騎士団長から軽く今日の反省会をすると言われた。確かに俺たちは慣れない要人護衛だったからたくさん穴はあっただろうしな。いろいろ聞いてみてもいいかもしれない。客間に来てそれぞれソファーに座って反省会が始まった。


「さて、まず今日の反省会から軽く始めましょう。基本的には問題ありません。ですが、これは私もなのですが店内では護衛対象との話に気を取られすぎですね。一時離れた私が言うのも何ですがね」

「下着を見てる時ですね。さすがにそれは団長が離れても仕方ないのでは?」

「私も王子殿下との話に気を取られたからな。私にも反省すべき点が多い」


 騎士団長とサフィーが内容を話し合う。サフィーは下着を見ている時に国からの護衛としてはほぼ一人だったからな。シエラたちがいたとしても一人は一歩離れた所から冷静に周りを見ていないといけなかったのだろう。言われてみると俺も話にのめり込みすぎたなぁ。


「警戒はしてたんだけどもっと周りを見るようにはしたほうがいいか」

「そうね。もうちょっと周りを見ないといけないわね」

「少し意識するだけで構わないでしょう。護衛は我々だけではありません。我々の仕事には接待も含まれますからね」

「危ない所も行かないもんな」


 反省点もある程度話し終えて、今度は明日のことを少し話す。


「明日は王子殿下が図書館を希望していますが、先ほどの様子からすると別の所もあると考えたほうがいいでしょう。といっても我々はあまり気にしなくていいでしょう。私服で護衛している騎士たちが大変ですがね」

「私たちは付いていくだけのようなものですからね」

「昼飯が俺の家だけどその時は周りに護衛が入るんだよな? あんまり物々しくされると何かありますって言ってるようなもんだから気をつけてもらわねーとな。明日は騎士団長とサフィーの分の飯も用意すればいいか?」

「悩みどころですね………個人的には食べたいのですがね」

「一応用意はしておく。今から買い物はきついから食材はベルベット商会にちょっと無理聞いてもらうよ」

「わかりました。明日の朝にどうするかお伝えさせていただきます。他に気になることはありますか?」


 俺は特に気になることはなかったのだがシエラが手を挙げた。


「えーっと図書館に行ってる間のことなんですけど…」

「何でもいいですよ」

「じゃあ…図書館なんですが、王子ルーカス殿下と王女リリィの性格の違いというか……今日の感じからして王女リリィが大人しく本を読むとはあまり…」

「ふむ……確かに体を動かすことのほうが好きそうではありますからね。二手に分かれることも……」


 断ればいい話だと思うんだけどなぁ。何故悩み始めるんだろうか? 何かしら国の事情というものがあるんだろうけどさすがに護衛の面からすると二手に分かれるのはダメだろう。


「ダメって断ればいいだけじゃないのか? 護衛するんなら一緒のほうがいいだろ?」

「ええ、まあちょっと事情がありましてね。どうしたものか………」

「ていうか本人に聞けばいいだろ? ここで悩むよりも本人の意向がわかったほうが考えやすいだろ?」

「それもそうですね。わからないまま警備をどうするか考えるより建設的です」

「しかし、今は陛下たちと食事中では?」

「聞くならその後か……」

「俺が行けば誰も文句言わんだろ?」

「……なるほど! アキト殿の使い方にはこういう使い方もあるか!」


 騎士団長が俺を対国王オヤジ用のパシリにでもしようとしているが全部拒否するから問題ないな。無理にしてこようものなら暴れるか。さすがにこの騎士団長はそんなことはして来ないだろうけど。


「じゃあちょっと聞いてくるか。案内してくれよ」

「わかりました。皆さんはここで待っていてください」

「帰ってご飯食べたいから早く帰ってきて」

「できるだけ早めにするよ」


 フェリスに文句を言われつつ騎士団長と一緒に部屋を出る。そういえばもう飯時だもんな。俺も腹減ったから早く終わらせたいな。帰ればミルファがすぐ飯食わせてくれるだろうし。帰ったら温かい飯が出てくるというのはありがたいもんだなぁ。あ~早く帰りたい。そう思って歩いていると着いたようだ。騎士団長が扉をノックしている。俺がいきなり入っていったほうが早いのではないだろうか?

 扉が開くとそこにはモニカがいた。


「ハインズバイト様。今は皆様食事の最中でございます。後ほどお越しください」

「私ではなくアキト殿が要件があるのだ。通して頂きたい」

「しかし…「通せ。蹴破るぞ?」………かしこまりました」


 渋々といった感じでモニカが扉を開けた。部屋の中にいるかと思ったらいなかった。さらに奥に部屋があるようでそこで食事をしているようだ。ついでだから餌付けしておくか。高い鳥肉の唐揚げを一つ突っ込んでおこう。


「モニカ。あ~ん」

「はい。あ~……ん………!」


 大きめの唐揚げを口を開けたモニカに無理やり突っ込む。噛むとモニカは目を見開いて驚いていた。それはそうだろうな。それ最近まで忘れていたコカトリスの肉で作った唐揚げだから美味いはずだ。仕事モードが崩れるほどに美味かっただろうよ。


 口の中いっぱいに唐揚げ詰め込み物凄い勢いで咀嚼しだしたモニカの表情は俺が餌付けする時によく見る表情だ。美味そうに食べるんだよな。案内してもらうために待っていると食べ終わったようだ。


「美味かったか?」

「はい。大変美味しゅうございました。またお願いします。では、どうぞこちらへ」


 いつものモニカから急に仕事モードに戻ったモニカに案内されて国王オヤジたちが食事している部屋に来た。部屋には長テーブルがあり、サンドリアス王国側とヴィクトリアン王国側で分かれている。サンドリアス側は国王、姫さん、王妃でヴィクトリアン側には王女リリィ王子ルーカスだけだ。なかなか美味そうな料理が並べられている。


「ういーっす」

「アキト様!」


 部屋に入ると姫さんが嬉しそうに声をかけてくる。頼むから黙っててくれ。


「やかましい! 黙ってろ! 俺の情報を勝手に流すんじゃねぇ! 俺は王女リリィに用があってきたんだよ」

「そ…そんなぁ…」

「まあ……フィーネよ。あまり落ち込むでない」


 王女リリィの元に歩きながら真っ先に声を上げた姫さんを黙らせる。姫さんに用はないんだよ。王女リリィの横に来ると王女リリィが声をかけてきた。


「アキトどうしたの? 明日のこと?」

「おう。明日のことだ。明日図書館行くだろ? っつーことは本を読むことになるわけ何だが、お前長時間大人しく本読んでられるか?」

「………見るだけでも時間は潰せるわよ」

「遊びに来たのに退屈な時間過ごすのか?」

「………」

「姉上は大人しくしてるのが苦手だ。別行動でもいいだろうか?」

「ちょっと! ルーカス!」


 王女リリィの返答を待っていると王子ルーカスが返してきた。やはり苦手らしい。

 皆と予想していたが二手に分かれるのを希望してきたか。国の警備がどうなるかなんだよなぁ。


王女リリィはどうしたいんだよ?」

「………できれば他を回りたいけど…警備の問題があるわよね…うちから騎士を出そうかしら………それだとうるさいのよね」

「ふむ…であれば場所を限ればよいし、やることも限れば警備も楽になるだろう」

「何か良い案あるのか?」


 王女リリィが悩んでいると国王オヤジから提案があるようだ。こういう時こそ最高権力者に頼るのがいいよな。


「まず場所だが、城でよかろう。リリーナ嬢は剣を好んでいたな」

「はい。そういえば謁見でシルベルト殿に稽古をつけてもらう話がありましたね」

「うむ。つまりはそういうことだ」


 要するに城で剣術を学べばいいんじゃね? っていう話だ。城なら警備は必要ないから人員もいらないようなものだ。ということは騎士団長は外れることになるのか。


「城で稽古をつけてもらうんですね! 楽しみです!」

「その場合だが、シルベルトには街中での責任を一任しておるから別の者になるな」

「私は離れるわけには行けませんから、王女殿下に稽古をつけることはできません」

「そこで、代わりにアキトから魔導連接剣の使い方を教えてもらうといい」

「何で俺なんだよ。王子ルーカスの護衛に居なきゃいけないだろうが」

「まあ問題なかろう。護衛は多くついておるからな」

「………おい…いいのか?」

「そうですね……まあ大丈夫でしょう。別に危険地帯に行くわけでもありませんし」


 なぜ俺なんだろうか? 騎士団長以外の騎士に習えばいいじゃん。長命で長い間剣振ってる奴なんてたくさんいるだろうに。魔導連接剣だからか? 俺より使える奴はいないのか? ………習熟に時間がかかるから現実的じゃないとか言ってたような気がするな…。そうなると俺になるのか。


「俺になった理由は?」

「魔導連接剣を使いこなすことが出来る者など大陸中を探してもお主くらいだろうて。今我が国で最上のもてなしがお主による魔導連接剣の指導だと思うぞ」

「大陸中探せばどこかにいるような気がするが………現状王都じゃ俺だけか」

「だからこそお主じゃ」

「………明日の朝には受けるか答え出す。王子ルーカスもせめて午前か午後のどっちに図書館に行くか決めとけよ。そのほうが警備の連中も楽だろうだからな。明日はうちで昼飯食うんだしよ」

「わかった。じゃあ図書館は午後からにしよう」

「お昼ご飯期待してるわ!」


 戻ってシエラたちに相談しよう。今まで離れて依頼をしたことがないからちょっと不安なんだよな。シエラなら特に問題なさそうではあるけども…。やっぱり離れるのは不安なんだよな。でも俺がいないと何もできないっていうのもな。というかたまに俺一人で狩り行ったりするから大丈夫かな……とりあえず相談だな。

 戻る前に城の料理でもつまみ食いしていこう。王女リリィの前にある皿の料理でいいか。何かの肉の香草焼きかな? なかなか美味そうだ。いくつかあるからつまんで行こう。


「じゃあ帰るわ。その前に…もーらいっと」

「あっ!」

「なかなか良い肉だな」

「それ美味しかったのに!」

「じゃあまた明日な」


 俺はその場を後にする。姫さんが何か行ってくるかと思ったが王妃に口を押さえられていた。グッジョブ!

 騎士団長と部屋を出てさっきいた部屋に戻ってきたら宰相が増えていた。


「おかえりアキト。どうだった?」

「シエラの予想通り。ちょっと悩んでるから帰ってから相談するよ」

「わかったわ。じゃあ今日はもう帰る感じかしら?」

「そうなるかな? 何で宰相がいるのかわからんけど」

「様子見です。特に用はないですよ」


 暇かよ宰相。ついでだから気になってることを聞いてみるか。


「そうか。ついでだからずっと気になってること聞いてもいいか?」

「内容によりますかね?」

王女リリィたちなんだけどよ。たしかヴィクトリアン王国は同盟国でもないんだったよな? 何でわざわざ王族に王都の見学なんてさせるんだよ?」

「ああそれですか。簡単な理由ですよ。要は見せつけてるようなものです」

「見せつけ?」


 いったい何を見せつけるのか。正直言われても全くわからない。


「……どういうこったよ?」

「少し歴史の話になります。確か春頃にご説明したかと思いますが、ヴィクトリアン王国とは昔戦争をしましてね。その時に我が国は宣戦布告されて戦争をして勝利しました。それもかなりの大勝でした。その際終戦協定で不可侵条約は結ばれたのですが、ヴィクトリアン王国は当時人族至上主義が平民にまで浸透していてとても同盟を結んでも仲良くできそうになかったのです」

「…そりゃー多種族国家にそんな奴らが来たらいい迷惑だな」

「ええ、なのでその風潮がなくなれば同盟も考えようということでその時は終わりました。まあ結果は未だに向こうの貴族社会では残っているようです。それは向こうの第二王子が証明してくれましたね」


 第二王子が見学に来た時の謁見で「ヒトもどきの国を見に来てやったぞ!」って発言したんだっけか? それで王妃がキレたって聞いたな。


「ヴィクトリアン王国の先代国王の代から我が国に見学には来ています。表向きは外交等を主として挨拶や友好の証としてね。向こうとしては我が国の調査が目的だったのでしょう。ですが我々にも目的がありました。国力の差を見せつけるという目的がね」

「あ~………そういうことね。実力の差を思い知れってところか」


 要は国の豊かさを見せつけるのが目的だったわけか。あとは騎士の練度とかそういったのかな? この国の騎士って強かったっけか? 盗賊に負けてた気がするけど………多分弱い騎士たちだったんだろう。


「そんな感じです。今のヴィクトリアン王の代の方々は見に来て大変驚いていたのをよく覚えていますよ。当時私は宰相ではありませんでしたが案内役に入っていたものでしてね。とまあ簡単に説明するとこんな感じです。向こうの王族に国力の差を見せつけることによって過去の過ちを再び起こそうと思わせないことが我が国の目的です。今回の第二王女と第三王子の他にも向こうの王族は見学に来て驚いていきましたよ」

「なるほどね~そういうことだったのか」


 宰相の話からするとこの目論見はかなり上手くいってるんだろうな。ヴィクトリアンの現国王といい今代の王子たちといい驚いているなら成功してるんだろう。


「ええ。さらに今回は私たちの目的はかなり良い方向で達成されてきています。すでに向こうの諜報の者を簡単に見つけてますし、アキト殿が実力の差というものを見せつけてくれましたからね」

「俺も知らないうちに役に立ってたのかよ」

「ええ。昨日はもっと暴れて欲しかったくらいですよ」

「さすがに部屋の中で暴れるわけにはいかなかったからな。まあ見学の時に暴れる機会があれば暴れてやるよ。その時は報酬を増やしてくれ」

「すでに報酬を上げることは決まっていますよ」

「仕事のはやいことで。じゃあ帰るわ」


 そう言って俺たちは明日の時間を確認してから城を後にした。明日も今日と同じ時間でいいそうだ。早く帰って飯作ってもらおう。帰って明日の護衛のことと昼飯のことを相談しないとな。ベルベット商会によって少し食材を融通してもらってから帰る。


「「「「ただいまー」」」」

「皆様おかえりなさいませ。すぐに夕飯にしますか?」

「飯にして。さすがに腹減った」

「今日はハンバーグですよ。スープも温めるだけなのですぐできます」


 となると魔石コンロがもう一ついると思うから出しておこう。魔石コンロをテーブルに出して俺はソファーへ。ソファーに座ろうと思ったらすでにシエラが座っていたので膝枕してもらおう。癒されなくてはいかん! 精神的に疲れたからな!


「あ゛~~~~………」

「もう…年取ったおじいちゃんみたいよ?」

「意外と精神的に疲れたからさ。最近は皆に任せるようになってきたから少しはマシになってきたと思ったんだけど、街中だと人が多いからさ」

「確かに街の外とは違うものね。街の外だと森の中じゃない限り見晴らしはいいものね。アキトの場合は気配を読むから人が多いと大変よね」

「私は楽」

「フェリスはもうちょっと警戒してくれ」

「私はなんともないです」


 レイが何ともないのは意外だが上手いことやってるんだろう。今度どうしてるか聞いてみるかな。その前に皆に相談しないといけないことがあるからな。


「それでアキト。帰ったら相談があるって言ってたけど………」

「それねー。簡単にいうと明日の護衛なんだけど。二手に分かれるかどうかってことでね。王女リリィがシエラ予想した通りじっと本を読む性格じゃなくてね。王子ルーカスが図書館に言ってる間俺が王女リリィに魔導連接剣の指導するのはどうかって話になったんだよ」

「途中からアキトと王女リリィが抜けるってこと?」

「そういうこと。騎士たちの護衛もあるから特に心配はしてないんだけど。どうしようかなって」

「別にいいと思う。今日の感じからしてアキトが抜けても大丈夫。騎士団長がいるなら貴族が来てもいいし、いざとなれば私の結界に篭る」


 フェリスは問題なしと判断と。結界に篭るのは最終手段として今日の様子から特に問題はないんだよな。私服の騎士たちもいるし危ない感じはしなかった。それに何かあれば国の威信に関わるだろうからな。それに国力の差を見せつけたいんだったら何かあっても即対応するだろうしな。


「シエラとレイはどうだ?」

「そうねぇ………ちょっと不安な気もするけど…さっきの宰相様の話からして大丈夫そうよね」

「場所も図書館なら静かでしょうから音に反応しやすそうなので大丈夫だと思います。むしろ外のほうが人がいっぱいいるので心配です」

「二人とも大丈夫か……じゃあ途中から俺は王女リリィにつくことにするよ。何時まで図書館にいるか決めておいてもらって出る時には俺も合流できるようにしてもらおうかな。そうだ。図書館は午後からになったからね」

「わかったわ~」「わかった」「は~い」


 とりあえず護衛に関してはよし。次は明日の昼飯だな。ミルファとも相談だけど何を作るか決めないとな。さすがに揚げ物は今日食べたから無しだろう。生姜焼きか簡易コンソメスープかハンバーグかビーフシチューか…悩みどころだな。食いながら皆と相談かな。


 相談の結果、結局出来るだけ無難で上手いものということでハンバーグと野営時に出す簡単コンソメスープということになった。チーズ入りハンバーグなどを食べさせておけば満足するだろう。準備しておけばあとは焼くのと温めるだけで楽だしな。チーズは向こうにあるらしいから向こうでも肉と一緒に食べたり出来るはずだ。米を使った料理も案として出されたが却下になった。出来るだけ王都で手に入る食材でがいいだろうと思ってだ。さらにラウンズフィールの食材を使うとアカリに迷惑が行きそうな予感がするからだ。


「じゃあ明日出かける前に食材渡しておくから準備しておいてくれ」

「かしこまりました。おかわり用に一応一0人分用意しますので肉を多めにお願いします」

「わかった。じゃあ後は風呂入って寝るだけだな~」


 決めることも決めたしさっさと寝よう。

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