103話 そういえばそんなのもあった
ミルファが来てから俺はミルファに料理を教えたりもしないといけなくなったので何かと忙しくなった。当然のことだが教えるのには時間がかかる。少しずつだが教えていって楽したい。
買った時に鉄仮面だったのは俺のことを金持ちのボンボンだと思っていて自分がしっかりしないといけないと思っていたからだそうだ。ニッコニコなのが素なんだそうだ。あらあらうふふなお姉さんに早変わりだ。喋りに関しては少しずつ砕けてきてはいる。
もう一人の奴隷、レイは身体強化を半日は維持できるようになった。魔力制御をスパルタで教えた甲斐があった。模擬戦で身体強化の段階変えの速さを修行中だ。
「まだ遅い! もっと段階変えを早くしろ。目の前で戦うんだからゆっくりとは変えられないぞ!」
「はい!」
レイの修行は順調だ。このまま魔改造してしまおう。
ちなみにいつの間にかレイとミルファの間で序列のようなものが出来ていてレイはミルファに頭が上がらないようだ。どうしてそうなった。
シエラとフェリスも順調に魔改造できていると思う。
フェリスは覚える魔法が多いがこっちはゆっくりでいい。最近は特に魔力制御にも困ることなく細かい制御も簡単にこなしている。模擬戦でも身体強化の段階変えも早い。
ただ最近修行の前にやる薬草採取やゴブリン狩りの時に遭遇したゴブリンを撲殺するようになった。不安になったので理由を聞くと
「気分爽快」
と一言だけ帰ってきた。意外と修行でのストレスが溜まってるのかもしれない。毎回走るのは嫌がるからなぁ。こういう時はチ○チ○に頼るに限る。最近はオークの睾丸剤という精力剤を見つけたのでフェリスの順番の時にたまに使っている。ただこれが金貨一枚と地味に高い。フェリスは満足してくれるがお金が貯まらない。ていうか何で16歳で精力剤を使わないといけないんだろうか。
シエラは順調も順調。元々魔力制御は得意だから身体強化の段階変えも早いし対応力もある。難点があるとすれば攻撃力が足りないくらいか。メインで使う武器が弓だから現状どうしても弓に依存することになる。ただこれについては考えはあるのだが、そのまま教えようか悩んでいる。自分で考えることも大事だからな。
そして俺。手甲買ったのに全然使ってねぇ。使う機会がないんだもん。そのうちあるだろうと思って一応練習だけはしている。
王都に来てから一年と半年ほど経った。身体強化も使い続けているから来た時よりも強くなっている。全力で動くことも月に一度は試しているが明らかに前より早く動けるようになっている。俺もそろそろ制御の段階を多くしないといけないのかもしれない。
今の所これといって問題はないのが幸いだ。強いてあげるならレイが単純過ぎてあまり考えずに突っ込もうとするくらいだが、これに関しては俺が注意すればいい。指示はちゃんと聞くしな。
今日は休みの日。昼食を食べているとクローが家に来た。
「相変わらずここは美味しそうな匂いがするなぁ! しかも女性一人増えてるし!」
「お前が飯時に来るのが悪い。で、どうしたよ?」
「春頃にさ、陛下が呼んでたでしょ? あの依頼受けて欲しいんだってさ。それで一回城に来て欲しいってさ」
「………あ~~~あれか。隣国の王子と王女が来るやつ」
「そうそう。それ」
春先にクローが呼びに来て城に行ったら姫さんが待ち構えていた時のことだ。隣国の王子と王女の護衛と王都の案内をしてくれという依頼だ。送られてきた依頼状のようなものには俺を指名するような内容が書かれていて俺に確認したやつだ。確か
「思い出してきた。俺に護衛させるかどうか謁見で決めるから待機しててくれってやつだったよな? その後護衛することになったらそのまま護衛だったと思うが」
「合ってるよ。あと五日くらいで来るらしいから打ち合わせしたいし、依頼受けてくれるか確認したいから来てってさ」
「………それは俺個人にってことでいいのか? というか個人にってなら断る。パーティ単位でなら考える」
「それは俺には決められないよ。一回城来てよ」
「断る。お前は信用できない。また姫さんに待ち伏せされるのは困るからな。どうしてもってんなら明日の夕方あたりに宰相か騎士団長でも寄越せ」
「え~………」
俺を一度騙した前科があるクローはもう信用ならない。こいつは敵だ。貧乳派だし。
「………は~わかったよ。一旦帰って相談してくるよ」
「飯はいらんな? 巨乳派に改宗するなら食わせてやらんでもないぞ」
ちなみに今日の昼食はミルファの練習に作ったビーフシチュー(オークシチュー)だ。
「アキト。君は一食のために二度と巨乳が揉めなくなってもいいのかい? 答えは変わらないさ。性癖に嘘はつけないんだよ」
「………俺が悪かった。サンドイッチならやるよ」
「ありがとう。じゃあまた今度」
男二人のやりとりをシエラはジト目で見ていた。あまりにもおっぱいに拘る二人に呆れているのだ。
「物凄くくだらない会話してるわね…」
「二人ともおっぱいに関しては病気だよね」
「二人ってなんだかんだ仲いいんですよね」
「男性はそういうものですよ~」
ミルファの言う通り男というものはくだらない話に盛り上がるものだし、男にしかわからないこともあるのだ。
「アキト。今の話は前にちょっとだけ聞いたけど…あの報酬が金貨500枚っていう王族の護衛?」
「うん。あれだよ。レイとミルファはまだいなかったな。簡単に言うと依頼料の高い護衛だ」
「受けるの?」
「金欲しいから受けたいっていうのと面倒くさそうだから受けたくないってので半々かなぁ」
「私は別にいいわよ。レイの武器作るの早くなるじゃない」
「私もいいよ。お金も貯まる」
「私はご主人様次第でーす」
3人とも別に問題無さそうだな。
「明日の夕方に説明がくるかどうかだけど受ける方向で行こうか。決めるのは明日の夕方次第ってことで」
「わかったわ」「わかった」「わっかりましたー!」
翌日は修行をする日なので外に出ていつも通りに薬草採取やゴブリン狩りやウサギ狩りをしてからランニング等をしてギルドに薬草採取等の依頼達成報告に行く。ギルドに行くと珍しくルカさんが受付にいた。最近
「ま た オ ー ク か」
「ええ。これは
「残念そうにされても困るんだけど」
いつものダジャレ連発を言えなくて残念そうにしているがもう飽きたんだよ。多分シエラももう笑わないよ。
またオーク集落討伐戦への参加を催促されている。
「それでどうするアキト君。受ける? というか受けてちょうだい」
「断る。先約があるんでね。それにまたどうせ治癒魔法要員でしょ」
「………受けてくれないと困るんだけど…ハg…ギルドマスターがうるさいのよ」
どうやらルカさんは
「先約があるから今回は受けないよ。じゃあ帰るね~」
「残念。今回はアキト君達無しね」
ルカさんには悪いけど断って帰る。家に帰りミルファと夕食の準備をしていたら家の扉がノックされた。扉を開けるとそこには
「こんばんは。アキト殿。依頼の説明に来させていただきました」
「………マジで騎士団長よこすとは思わなかったな」
昨日クローに言ったことが本当になるとは予想してなかった。とりあえず上がってもらおう。ある程度は説明聞かないといけないし。
「とりあえず上がってくれ。ていうか一人で来たのか?」
「失礼する。ここは衛兵の詰所がすぐそこにあるので、連れの者はそこで待機ですよ。民家に大勢で押し入るわけにもいきません」
「そういうことか。あー靴は脱いでくれよ。うちはそういう家だから」
「それにしても美人揃いと聞いてはいましたが………予想以上ですね」
騎士団長はうちの面々を見て感想を漏らすがどうでもいい。皆に軽く自己紹介させて説明を受ける。詳しくは
謁見中に待機
謁見で受けることになったら五日間王子と王女の護衛
五日のうち最初の二日は二人の自由行動で二日は学園体験で、最後に一日また自由行動
護衛には専属の騎士が一人づつ一緒に来る。一人は騎士団長らしい
サンドリアス王家からも依頼料として金貨10枚
「本当に簡単な概要だけだな」
「あまりここでは話せないことも多いものでしてね」
「前にアキトから聞いた時も思ったけど、報酬が金貨500枚って怪しすぎるわよね」
「まったくだ。それに関しては謁見次第なんだろうなあ」
「我々も本当に500枚なのか疑ってますよ」
向こうの先触れに確認したが本当に金貨500枚らしい。それが政治的にどうかはわからないので謁見でどう判断するかになっている。
「つきましては明日の9時から王城にて打ち合わせをしたいのですが、よろしいですか?」
「いいよ。依頼は受けることにする。パーティメンバー全員で行くよ」
「お城楽しみ。遊べそう」
「フェリス。遊びに行くんじゃないのよ」
「遊ぶ場所ではないなぁ。俺の天敵もいるし」
「それなのですがね。実は殿下も関係してまして………」
「マジかよ………」
姫さんが関係しているというのは予想外だ。でも王族の相手なんだから王族が出てくるのは普通なのかな?
「金貨500枚か姫さんの相手するか…究極の二択だな…」
「あ~………学園関係で少しだけですのでそこまでは…」
「…仕方ねぇか。まあ明日行くよ」
「ええ。お待ちしております。では私はこれで」
騎士団長が立ち上がり帰ろうとした時に家の扉が強くノックされた。ミルファが出るといきなり
「おいアキト! オーク集落討伐戦を受けないのはどうしてだ!?」
「常識ってものがないのか? 入るなり怒鳴るってのはどういうことだ!?」
「お前に常識を説かれたくない! いいから答えろ!」
「相変わらず報告聞いてねーな! 先約があるっつったろうが!」
俺はギルドでちゃんとルカさんに先約があると説明した。ルカさんのことだからちゃんと報告しているはずだ。
「それは聞いた! お前がいないと討伐戦に問題が出る。先約はそんなに重要な依頼なのか?」
「つまり、先約を放棄して参加しろっつーことか? ふざけんなよ! テメーはそんな偉いのか!?」
「ドルディアス殿。さすがにそれは横暴というものでしょう。それに礼儀というものがなってない」
あまりにもひどい言い分だと思ったのか騎士団長が声を上げた。ちょうどいいから説明してもらおう。
「騎士団長殿!? なぜあなたがここに?」
「私が依頼の説明に来ていたからですよ。アキト殿の言う先約の依頼の説明にね」
「………騎士団長殿が依頼主なので?」
「いえ、国王陛下が依頼主です」
「なっ!」
「そういうこった。諦めろ」
「あと、あなたはアキト殿に対しての非礼も謝罪したほうがいいのでは? 見ていて不快でしたよ。まさか冒険者ギルドのギルドマスターがこんなに横暴だったとは私は知りませんでしたよ」
「………す…すまなかったアキト」
「随分言いたくなさそうな謝罪だな。補佐にルカさん付いても何にも変わってねぇじゃねぇか。とっとと帰れやこの無能め」
「し…失礼する」
騎士団長も帰り、明日の打ち合わせに向けて軽くシエラ達と話す。基本的には俺が話すからいるだけでいいが、姫さんが俺に付きまとってくるだろうからなんとかしたい。そこで俺の両隣にはシエラとレイに居てもらい、フェリスに姫さんを撃退してもらうことにした。フェリスが体を張って姫さんを止める。嫌がったが俺のチ○チ○を狙っていると言うとやる気を出した。チョロいぜ。
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