102話 鉄仮面?
※ タイトルを変更しました。
『師匠に魔改造されていた』→『天翔ける自由の奴隷 - 師匠に修行という名の魔改造をされたので、今度は自分で仲間を魔改造して世界で無双する -』
引き続きよろしくお願いします。
ミルファを買って家に帰るのだが…キツい表情が全く変わらない。鉄仮面か? う~ん、もうちょっとやわからい表情は出来ないものかねぇ。無理にさせるものでもないしいいか。飯食わせりゃ嫌でも変わるだろ。ベッドでというのもそれはそれで…飯が先か。………どっちでもいいか。
商館から出て家に帰る前に確認することがある。俺はしゃがんでミルファのスカートをめくり足元を見る。
「やっぱり裸足かぁ」
「………奴隷ですので」
「一つ話しておく。俺にはもう奴隷が一人いるんだが、別に奴隷扱い何てしてないんだ。だけどできるだけだ。奴隷ってことに変わりはない。冒険者やってるから出来るだけ一人のパーティメンバーとして扱ってる。ミルファのこともできるだけ奴隷扱いしたくない。だからできるだけ命令させるな。矛盾するが、そういうもんだと思え。いいな?」
「………かしこまりました」
表情は変わらないが、わかってくれたと思おう。とりあえず帰ろう。
「じゃあ帰るぞ。よっと」
「え? ご…ご主人様? ちょっ」
俺はミルファを足から抱え上げ、一度放り投げて空中で抱きかかえる。お姫様抱っこの形だ。
「よっし! 帰るぞ!」
「あ…あのご主人様! 降ろしてください! 私は奴隷です! このような…」
「いいんだよ! 行くぞー!」
さすがにミルファは慌てたような顔をしてしがみ付いて来たが構うことはない。このまま走って家に帰る。道中ミルファは声を上げていたが少し走ったら黙っていた。
「よーし着いたぞ!」
「あの………降ろしてください。ご主人様」
「家に入ったらな」
抱えたまま何とか家の扉を開けた。
「ただいまー」
「「おかえり」」
「おかえりなさ~い!」
家に入り、ミルファを降ろすために靴を脱いで上がる。
「抱えてきたの?」
「裸足だったからな~。レイの時は俺のお古の靴があったけど今回はなかったからな。昼飯食ったら一緒に靴とか買いに行くからシエラのお古貸してくれ」
「わかったわ~」
とりあえず3人に紹介しないとな。
「ミルファ。自己紹介」
「ミルファと申します。皆様これからよろしくお願いいたします」
「よろしくね。私はシエラよ」
「よろしく。私はフェリス。やっぱりおっぱい大きい」
「よろしくお願いしまーす。私も奴隷です。名前はレイです」
「皆仲良くするように」
まずはうちでやってもらうことを説明した。メイドと聞いていたのでその辺は織り込み済みだったらしい。俺達の秘密に関してはレイと同様に逐次説明と命令で俺達以外に喋られなくする。部屋は1階に狭いけど一部屋あるからそこにする。全く使ってなかった部屋だが、そこを使うように言うと「奴隷に………」というので無理やりそこにさせた。昼飯にしようとしたら自分が作ると言ってきた。
「う~ん………」
「ダメでしょうか?」
「飯屋やってたから自信あるんだろうけどなぁ。確実に俺が作る飯の方が美味いっていう自信がある」
そういうと心外だとでも言わんばかりに表情が歪む。ずっと無表情だったから変わるのを見るの面白いな。
「ご主人様は料理人ではなく冒険者では?」
「冒険者だなぁ。まあいいから座ってな。歓迎ってことだよ」
「………わかりました」
「とは言ったもののシエラ~。何食べたい?」
「そうねえ~。じゃあサラダと唐揚げとスープでお願い」
「それにパンだな。わかったよ~」
シエラのリクエスト内容にすることが決まり、調理を開始する。といってもスープは作り置きがあるし、サラダは基本生野菜だから切るだけで、唐揚げも下準備したものがあるからすぐだ。俺が調理している間女性陣は畳のあるソファーに座ってミルファといろいろ話している。第一夫人がとか話してるし俺から説明しなくてもいいか。
昼食ができたのでさっそく皆で食べようとするのだがミルファが床に座った。平然と椅子に座るレイを見て顔をしかめている。
「ミルファーうちじゃ皆揃って同じテーブルで食べるからな。だからミルファも座れ。というか椅子足りねぇじゃん。仕方ねぇからこの箱でいいか」
以前遺跡探索に行った時にあると便利だとわかったのでベルベット商会からいくつか貰っておいたうちの一つ。蓋がないからいい高さのをひっくり返して椅子代わりにする。
「ほれ。座れ~」
「はい」
「じゃあ食べよう」
ミルファ以外全員揃って食べ始める。ミルファは唐揚げを見て不思議そうな顔をしている。色が気になるのだろう。サティだったか誰だったかも最初の一言が「茶色い」だったしな。
恐る恐るフォークで刺して口に持っていった。1個丸々口に含み噛み始めると目を見開き口に手を当てながら食べている。どうやらかなり驚いているようだ。この反応も慣れたな。
「アキトの作るご飯食べるとそうなるのよね~」
「うん。何かにもよるけど大体そうなる」
「私もそんな感じでしたね~」
3人とも経験者だからな。やっぱり揚げ物の威力は絶大だな。夜にはシチュー食わせてさらに驚かしてやろう。
ミルファは飲み込み口を開き頭を下げてきた。
「お見それいたしました。私ごときがご主人様に敵う訳がありませんでした」
「美味かったのはわかるがそういう硬いのはちょっとなぁ。もっと楽にしてくれ」
「善処いたしますがすぐには………」
「まあぼちぼちでいいよ。スープも美味いから食え」
簡易コンソメスープもかなりの威力だからな。存分に味わうがいい。案の定目を見開いていた。
その後片付けをして服とベッドを買いに行った。いちいち遠慮してたが一緒に来てたシエラに何か言われたのか途中から言わなくなった。
夕食にシチューを出すと、見た目を気にしていたがすんなりとスプーンを口に運んでいた。今度は驚いたようではあったが無言で食べ始めた。よほど気に入ったのだろうか。食べ終わるとまた頭を下げてきた。
「私はご主人様に買われて幸せです」
「大げさだがミルファにもこれ作れるようになって貰うからな。ちなみに店を出す気はない」
「はい! 誠心誠意頑張らせていただきます!」
元気よく満面の笑顔で答えてきた。その後はもうニッコニコだった。あの鉄仮面はどこいったんだ? たくさん作ったからおかわりを勧めたら是非と食いついてきた。シエラもおかわりと言ってきた。多めに作って正解だったぜ。ていうかこの世界の女性は料理で簡単に堕とせる説あるぞこれ。師匠が料理広めなかった理由ってこれか?
夕食を食べ終え、次は風呂なのだがシエラが案の定というか予想通りというかミルファを抱くのかと聞いてきた。もうこの家に女性が新しく来たら抱くという流れができているような気がする。むしろシエラが無理やりにでもそっちに持って行こうとしているような気も……フェリスの時もレイの時もシエラと一緒にだったからなぁ。まあいいか。今更だ。一人増えようが大して変わらんだろ。
ミルファ視点
冒険者を引退して飲食店を開業したはいいが売り上げは伸びず借金まみれ。ついには払いきれず奴隷落ちしてしまった。
料理が好きだから初めてみたものの上手くいかなかった。美味しくなかったのだろうか。自分では美味しいと思うし、お客さんからも美味しいと何度も言われた。でもお世辞だったのだろう。その証拠にまた来るということはなかった。今更悔やんでもどうにもならないから切り替えることにしよう。
どんな方に買われるかわからないけど、自分を買い戻せたら今度は失敗しないように…いえ、もうお店はやめましょう。慎ましく働いて趣味で料理を楽しもう。私がお店を持つなんて分不相応だったんだ。将来自分を買い戻して誰かと結婚して尽くすことにしよう。夫と料理を楽しむのがいい。きっとそれだけで楽しい。そう思うと奴隷になったけど前向きになれた気がする。
奴隷商では主人になる方へ失礼のないように教育がされるが、言葉遣いと奴隷としての立ち振る舞いを教えられるだけだった。特に辛いということはない。
一月ほど奴隷商で過ごしているとお館様に呼ばれた。メイドの出来る者という条件だそう。他にも二人呼ばれていて一緒にお客様の元に行くと、そこには珍しい髪の色をしたエルフの少年がいた。黒髪のエルフなんて初めてみた。しかも目が左右で色が違う。見た目はかなり珍しい少年だった。好き者の貴族に狙われたりしないか心配になった。むしろこの子が貴族の子供なのだろうか? 服装は貴族らしくはないが整っているし、清潔感もあるからそうなのだろう。だけどやたらと私の胸を見ているような気がする。慣れているけれど少年に見られるのは不思議な感覚だ。
エルフの少年は真っ先に私に質問してきた。魔法適正を聞いてきたがメイドに何か関係あるのだろうか? 正直に答えるとすぐに私を買うと言ってきた。お館様が心配して質問しているが私でいいそうだ。この子は大丈夫だろうか? すごく心配だ。私に何も聞かずに決めてしまった。私がダメだったらすぐに売られるのだろう。様子を見ないといけない。でもこの子はまだ子供だ。親は一体何をしているのか。少し厳しい態度くらいがいいかもしれないと思っていた。だけどいきなりそんな心配はないかもしれないと思わされた。
私のご主人様のアキトという少年。外に出て私が裸足だとわかるといきなり雰囲気が変わり、私をできるだけ奴隷扱いしたくないと言ってきた。優しくてしっかりした子なのかもしれない。
だがまだわからない。もう一人奴隷がいるそうだからその子を見れば本当かどうかわかることなのでその子次第。
その後は驚きの連続だった。私を抱え上げたと思ったら放り投げて、空中で私を抱きかかえそのまま走り出した。いろいろあるけど降ろしてといっても降ろしてもらえない。何度か言っても降ろしてもらえないので諦めた。彼の自宅に着いた。きっと両親はかなり裕福で成人した子供に家を与えて、お金もたくさん与えているのだろう。でなければありえない。
考えていると彼は家の扉を開けて入っていた。中に入ると3人の女性が歩いてきた。一人は絶世の美女と言っても過言ではないエルフの女性。一人はこちらもかなり美人のエルフの少女。もう一人は兎人族の白い髪をした女性。3人とも女性としてかなりの美貌を持っていた。ただ共通するのは皆胸が大きいこと。私も胸が大きいから胸の大きさで決められたのだろうか…
互いに自己紹介すると兎人族の子が奴隷だとわかった。ただ、ご主人様が言っていたように奴隷のような扱いは受けてなさそう。その証拠に明朗快活で明るい。とても良い生活をさせて貰っていることがわかる。先ほどの言っていたことは本当だったのだろう。
昼食を作るというのでお作りしようとしたら断られた。不満だったが歓迎してくれるというのでご主人様にお任せした。その間に女性陣から色々と聞いた。美人のエルフの方が第一夫人だとか、ハーレムだとか、ご主人様が化け物だとか、おっぱいが大好きだとかいろいろ聞いた。おっぱいが好きなのはなんとなく察していた。
出来上がった食事は見たこともない物だった。茶色の塊。それが最初に思ったことだ。最近噂で『唐揚げ』という料理を聞いたことがある。まさかこれがそうなのだろうか?
食べてみると今まで食べたもので一番美味しかった。お店をやっていた私より美味しい物を作れるわけがないと思っていたのに…スープも今までで食べた中で一番美味しいスープだった。敵うわけがない。こんな料理を作れる方を差し置いて料理を作ろうした自分が恥ずかしい。
ここまで来たらもうお任せしよう。買い物にも行ったが驚くほど私にお金を使う。第一夫人というシエラ様が遠慮しなくていいというので欲しい物をねだると全部買ってくれた。お金遣いの荒さはなんとかしたほうがいいと思う。私がしっかりしないと。と思ったがシエラ様からこれがいつも通りと言われた。…やっぱり直さないとダメだと思う。私がなんとかしないと………
夕食も凄かった。美味しすぎて無言で黙々と食べてしまった。こんなに美味しいものを食べさせていただけるなんて私は幸せ者です。誠心誠意頑張らせてもらいます。
ただ、初日にいきなり抱かれるとは思っていませんでした。ご主人様はお若いからお盛んなのはわかるのですがね。
それに………女性に抱かれるのは初めてでした。
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