第43話
「なんであっさり引いたの。」
某 実花の弁護士事務所を出た涼奈とみずきの二人。
みずきは涼奈があっさり引いたことに不満を隠せずにいた。
元より高校生の多感な時期で状況を把握する力がまだ未熟な面があることからどうしようもない気持ちをどこかにぶつけたい意思が目に見えていた。
「引いて良い場面だったしね。
契約系のスキルは絶対的な力を持っているし手の施しようが無いからね。
でもあの契約には穴がちゃんとあったから如何に一方的な契約を強制的にさせるとはいえ一定のルールはあるのかそれとも実花さんの狂気なまでの愛情の中で今までの人生の常識を捨てきれなかったのかもしれないね。」
その辺りで言えば涼奈は大人だ。
彼女はアドベンチャラーと言えども社会人としての一面も持っている。
状況をいち早く気づき把握して最善と考えられる一手を実行する。
「でもそれで葵お兄ちゃんを取られちゃったらどうすることもできないよ。」
「黒歴史のスキルも契約のスキルには叶わないからね。
でも彼女はきっと葵君を持て余してしまうね。」
「なんで断言できるの?」
あれだけ執着を見せていれば誰だって大事にすると思った。
「夜もそうだけど。
彼の良いところはいっぱいあるんだ。
料理も美味しいし酔っ払うと甘えん坊さんになってくれるしきちんと求めたい時に求めてくれる。
それで満足させてくれる。
理想の男性って思ったでしょう。
でも違うんだ。
理想だと思うけども理想じゃない。
だから葵君は彼女の器に余る。」
想像を超えてくるというわけでもない。
きちんと人間らしさを持っているからこそ想像では測れない存在はある。
人の想像はいつだって限界がある。
それを踏み越えるのが現実でもある。
「彼はね不完全な理想なんだよ。
みずきちゃんも感じたことがあるでしょう。
もっとこうしてくれた方が自分の理想なのにって。」
「うん。」
自分だけを見てくれればとどんなに思ったことか。
その度にゲームを一緒にやってくれる時の笑顔が忘れられずそして自分も一緒にゲームをするときが楽しすぎてずっと引きずりっぱなしになっていた。
現状を維持したいと思いつつも現状を打破したいけれどももっと彼に踊らされたい。
彼の望む景色を見てみたいと思った。
「葵お兄ちゃんはなんていうか……。」
「魅せる。」
「うん。」
人生の生き様を魅せるカリスマ性でも無ければ神プレイをするプロゲーマーのような凄さでもない。
しかし魅せられる。
自分たちに足りないモノを補うような力が働いている。
「だからきっと魅せられてメロメロになって自分一人じゃあ壊れちゃうって思うんだよね。
彼といると。
だから他の女の子と遊んでてもしょうがないって思っちゃう。
でも葵君ってさそうするには純情過ぎるんだよね。」
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スライム道
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