第22話
「ええ、自分はダンジョンエネルギー抽出師の作業員でしたので。」
「ならダンジョンエネルギーの影響を良く受けているからスキルが変化してしまってもおかしくはないね。
稀にだけどダンジョンに長居するとスキルが今までのスキルが強化されるってことは聞いたことあるし抽出師にもそんなこと起きてもおかしくはないだろうからあくまでも可能性の話だけど人体の構造も変化してるかもしれないからやっぱり精密検査は受けておいた方が良いよ。」
「多分家に帰ったら精密検査の通知の紙は来るとは思うのでとりあえず受けてみます。」
「ああ、そうかい。
確か労基に引っ掛かっていたからどっちみち精密検査は受けるのか。
なら良いけど涼奈ちゃんやメアリーちゃんを泣かせるような事態にならないことを願っているよ。
それとサイズを見たけど平均的で問題はないね。
これからどう成長するかはわからないからとりあえず今日は伸び縮みするインナーくらいは見繕っておいて後は精密検査を受けてからにしておいで。」
「は、はあ。」
まだ成長する余地のある学生でもなければボディービルダーのように筋肉を鍛え上げているわけでもないのにおばちゃんはさも体格が大きく変わると見越して装備を組まないと言っていた。
「わからないって顔だね。
もしかしたらアンタの身体が成長するかもしれないってことさ。
ダンジョンの影響を受けた奴らには160ちょっとの奴が2mくらいの身長に成長したのがいるからね。」
俺の顔に出ていたのかおばちゃんは答えてくれた。
「アンタの戦闘スタイルもまだ定まっていないんだろう。
涼奈ちゃんも大方しっくりくるものがあればそれを練習させる準備のためにこっちに来させたんだろ。
私もバカじゃないんだ。
根っからの初心者に装備をさせるようなことはしないよ。」
「申し訳ございません。こちらへの配慮感謝いたします。」
「そういうところが社会人だね。
アドベンチャラーだと軍人みたいに荒くれ者になっていく人が多いからね気を付けるんだよ。
それとアンタのするインナーはこれだから来てみな。」
「これは?」
「これはスライムインナー、初心者が必ず着るインナーでこれを数週間着ておけばどの装備が適正か分かるのさ。
それに初心者用の迷宮であればこれ一つで攻略できる初心者もそこそこいる。」
迷宮であったスライムとは別物だからアレを装備にするとどれだけのモノになるのか少しワクワクした。
「へえ、便利な装備ですね。」
「まあでもこれに頼れるのは初心者のうちだけだよ。
スライムは雑魚モンスターではあるが上位種にもなれば計り知れないほど強い。
でもそいつがドロップするモノも普通のスライムと何ら変わりないものだからね。
スライム装備を付けている奴は初心者って呼ばれるから絡まれることは無いと思うけど気を付けるんだよ。」
ちょっと残念だったがスライム装備に関してはまだいいだろう。
おばちゃんは絡まれないと言っていたが女だけの有名ギルドに入っている時点で絡まれる未来しか見えない。
なので気を付けることには越したことは無い。
そう心に深く刻むように返事をした。
「はい。」
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スライム道
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