第9話

「ここが私たちのギルドホームだよ。まず私が話をつけてくるからちょっと待ってね。」


都心の世田谷区の高級住宅街の一角に彼女ら死神乙女(ヴァルキリー)・挑戦士(ウルズ)のホームはあった。

企業の家族経営化が進んだ今では土地代もほぼ先祖代々の土地と言っていい場所ばかりだ。

特に高級住宅街に居を構える人たちは一向に土地を手放そうとしないため地価はどんどん吊り上がるどころかそもそも売りに出されないので値が付けられない土地故にダイヤモンドの土地と言われていた。


「長い年月そこに住まいを構えてるところにギルドホームがあるって相当な出資者かそこに住んでいる仲間がいるってことだよな。」


通常アドベンチャラーは命の危険を晒すようなことはしない。

稀に罠などにかかって命を落とす事故はあるがそれも3年に一回くらいの頻度だ。

昨日のようなことは特に稀な事態ということもあり報告にはもうしばらく掛かると見ている俺はこの高級住宅街の雰囲気を良く思っていなかった。


「なんつうか殺伐としてるんだよな。職場みたいでいやだな。」


全ての家の内と外から圧を感じる。

黒服にグラサンかけたような人物に警備員などの屈強な肉体を持ち合わせている人間が数多くいることから余程財産をため込んでいることが伺える。

それに家族が攫われた際の身代金などのことを考えればこの程度の警備は当然なのかもしれないが不自然という言葉が似合う町に見えた。


スマートフォンから進化した近未来デバイス、ホロフォンを取り出そうとポケットに手を入れようものなら即座に警備員に睨まれる。

しかしこれ以上委縮してもしょうがないと思いホロフォンを弄り始める。


見るのは基本的に料理動画くらいで他人にも見えるように表示しておく。

後から何をしているか注意されるのを防ぐためだ。


このホロフォンは携帯電話(ガラケー)にホログラフィックにタッチホロ(パネル)機能を付けた代物で簡単に言えば星戦争だ。

もしくは板紙を多層構造で強靭にし、包装・梱包資材などに使用できるよう加工した板状の紙製品の中でロボット戦争やってるところでで来るpcデバイスみたいな感じだな。

丁度Wくらいの初話あたりでこれに近いものが出ている。


スマートフォンをベースにこそしているが携帯電話(ガラケー)と遜色ない充電の持ちを実現している。


「お待たせ、終わったよ。あれ?それ6年前のホロフォンじゃん。使ってる期間長いの?」


最新機種の説明を心の中でしていたつもりなのに全然最新機種じゃなかった。

仕事にカマかけてると流行に後れるんだな。


「まあいいやとりあえず、ようこそ死神乙女(ヴァルキリー)・挑戦士(ウルズ)のホームへ。」


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スライム道

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