停滞する村の譚
怪異と友人に関する頁
■月■日
今日は■■からフットボールに誘われました。私はあんまりスポーツが得意じゃないけど、■■は私を困らせたくて誘ったのではないとわかっているし、輪から外れてしまう私を心配してくれているみたいだから、苦手なりに楽しんでみようと思いました。
フットボール自体は楽しかったです。でも、私は何度も転んでしまったから、みんなは興ざめしたと思います。
私がどんくさいこともあるけれど、いちばんの原因は私の後ろにくっついてくる
彼らは気が付いた時には私のそばにいて、住まいが変わってもついてきます。ゴブリンだけじゃありません、ノームやドワーフやエルフ、水妖たちや羽持ちの妖精も私のことが好き。時々幽霊に絡まれることもあります。私はいつも迷惑しているけれど、私の話を聞いてくれるのはほんの一握り。いちいち注意していてもきりがないので、今では話しかけることすらしていません。基本は無視です。
こんな話をしたって、十にも満たない子供ならともかく、私くらいの年頃の子は信じてくれない。特にここの子たちは頭がいいリアリストばかりだから、きっとバカにされる。
そう思っていたけれど、あんまりにも転ぶ私が不思議だったのか、私の膝を消毒してきれいなガーゼを貼ってくれた■■はそういうこともあるんだな、まあ土地柄が土地柄だし、と私の話をまじめに聞いてくれました。そして、私が一人でいる時、すごくいやそうな顔をしているから、何かあるんじゃないかと心配になって誘ってくれたのだと打ち明けてくれました。
■■は優しい子です。■■の友だちも、みんないい子。■■は、ただ同い年なだけの私を友だちと言ってくれました。
初めての、まっとうな人間のお友だち。怪異どもの悔しがる顔が目に見えます。私は人間とも仲良くなれるのです。たとえそこに打算があったとしても、お友だちということに変わりはありません。
すりむいた膝は痛いけど、今日はみんなと遊べたし、■■が私の話を真剣に聞いてくれたのでおあいこです。むしろ嬉しさの方が勝っています。
またみんなで遊びたいな。今度はへましないように頑張ります。
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