10月3日(日)

・丸一日夫に娘を任せて好きにした。夫と娘は午前中はプールに行き、午後は公園とカラオケに行ったらしい。アクティブだな〜。


・午前中は文學界をパラ読みしていた。千葉雅也のフーコー論。セネカのくだりがこの間読んだライティングの哲学と直に繋がっていて、千葉雅也という文学者が生きている実感を感じた。あと高橋弘希が音楽エッセイでBUCK-TICKを取り上げていて小躍りした。高橋弘希はエッセイになると人が変わったように飄々とし出すのがイイ。syrup16gやpeople in the boxも好きらしいし、私と趣味が似てると感じる。八十八ヶ所巡礼とかも絶対好きだと思う。ただの勘だけど…。


・午後は調布に出かけた。お昼はドトールでミラノサンド。九段理江「悪い音楽」を読んだ。文學界新人賞。前半の勢いは素晴らしかったのだが、後半でちょっとありえないような失速をしたのが消化不良だった。やはり山場となるべき合唱とラップの披露場面の描写がカットされてるのは小説として致命的だと思う。この場面の描けなさは媒体を純文学にしてしまったがゆえじゃないかと円城塔が評していたのがしっくり来た。ジャンル、テーマ、文体が噛み合ってないと、書けない重力場が発生してしまうということだろう。学ぶことが非常に多かった。この号の文學界ほんと買ってよかったな。文學界に限らず、これからは新人賞掲載号はなるべく買おうと思う。選評と作品をセットで読むのはこの上なく勉強になる。


・ずっと引っかかっていた汐音のプログラムをやはり変更しようかと思う。人魚姫なのに蝶というのは、ズレの無視できなさが大きすぎる。やはり蝶と銘打っているからには蝶を題材にしている作品にした方が筋が通るし太くなる。幸い物語的にも人魚姫に依拠している部分が少ない。色々考えて、「バタフライ・エフェクト」がいいんじゃないかと行き着く。配信サービスに無かったからTSUTAYAで借りた。TSUTAYAでレンタル、二年ぶりくらいかも。変えるかどうかは見て決める。重要なところだから慎重に行きたい。


・夜はFree!の映画を見に行った。感想、一言で言うならば「おれたちに植え付けられた七瀬遙の虚無」。そうだった、ハルはこういうヤツだった。仲間達の絆とかfor the teamとか言ってても、コイツの根本はスイマーではないんだよ。ずっと水に潜っていたいと思っている、肺呼吸すら疎んでいる、とんでもなく自閉的な水人間。その虚無に、私は強く惹かれたのだった。原点を思い出した。しかしこんなものを植え付けられて、あと半年待たされんのかよ〜。ハル、お前の速さ、お前の強さ、お前の水泳、絶対掴み取れよ。待ってるからな。しかしFree!はイイ。私はFree!のような空間的広がりを持つフィギュアスケート小説を書きたかったのだった。Free!のような眩しくてたまらないフィギュアスケートアニメをこの目で見たくて、SILVER EDGEを書いて京アニ大賞に出したのだった。今はもうそのような大それた野望からは遠くにいるけれど、Free!の空気に触れるたび、ヒリヒリと思い出す。初期衝動に立ち返る。


・帰宅したら9時過ぎてるのに娘がお風呂に入っておらず、夫が困り果てていた。入りたくない、と頑なに拒否していて、結局二人で無理矢理服を脱がせてお風呂に入れたらめちゃくちゃ癇癪を起こして狂ったように泣いていた。自分で服脱ぎたかったのに!!とか言ってたけど、時間は永遠じゃないから決まった時間になったらやるべきことをやります、と淡々と諸々を実行した。結構しぶとくて上がった後もずっと泣いてたけど、SNOWで機嫌を直してくれた。そのまま夫が寝かしつけてくれた。明日幼稚園行かせられるかな…。浴びまくったフィクションの刺激で寝られん。でもこういうのが幸せ。書けたらもっと幸せなんだけど。明日からまた書こう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る