第2話

「!?嘘だろ……っ!」

ただ声をかけた、ただそれだけだ。それだけで

【さっきの制服少女が踏切を超えて、原型を失った】

「あの手紙、本当のことなのかよ!!!」

女子学生の姿が無惨となった踏切から、ひたすら走って距離をとる。しかし自分を追いかけてきた人は、誰も居ない。騒ぎに人は集まれど、直前までいた自分のことを誰も見ていないのか。

 私は少女に話しかけた。漫画や小説を少なからずも多からず読んでいたためか、モヤのような淀みが『悩み』や『苦痛』の具現化なのかもしれないと思って、放って置けなかった。だが、少女は目の前で全身を散り散りにさせた。悩める人を救いたいという気持ちこそあれど、その手の【救済】だとは思ってなかった。

 リュックの中には財布があり、飲み物を買えるほどの小銭があったので近くの自販機でお茶を胃の中に流し込み、近くの建物の階段に腰掛けて息を整える。飲食店街の端に座り込んで周りを見れば、見た目こそ自分と同じほどの女子学生が2.3人ほどで談笑していた、それが数組ほど。その中に、目が眩む程白い髪を持つ少女がいた。年寄りに見られる白髪や銀髪とは違う、この世のものとは思えない形容し難い白色。

『"白"とは関わるな。』

頭の中に、自分の声が響く。あぁ、これか。手紙にあった"白色"は。立ち上がる体勢を取る、"白色"が視界から外れる、そして立ち上がった瞬間

そいつは私の目の前にいた。

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