第11話○座標限定○

その日の夢の中で、僕は、天宮に叱られた。

「今日の探知箱は、どうしたんだ!開けていないから、臨界しそうだぞ!」


「臨界するとどうなるの?」

「探知箱の機能に負荷がかかるんじゃ」

「何が起きる?」

「わからん。座標限定という災害を呼ぶ。」

「悪いことが起きるってこと?」

「箱の中にいるワシには、どんな災いかは知らんが、災いは、災いだ。」

「どうしたらいい?」

「夢から覚めたら、直ぐに、箱を開けろ!こんなヘマは、二度とせんでくれ。」

「わかったよ。ごめん…。」


夜中、僕は、そうして目を覚ました。

トイレに行くつもりで、廊下を横切った。

玄関に、ルームメイトの靴がなかった。

こんな時間に、いったいどこに行っているんだろう。僕は、用を済ませて、探知箱を開けた。?なんだ?何か、一瞬、沸き上がった気がした。これが、臨界して起きる災いの素?

間に合ったってことかな?


僕は、中に折り畳まれていた紙をとった。

~属性は、設計図。組み立てなければ、動かない~

と書いてある。

僕は、続きを起きてからやることにして、

また、布団に潜り込んだ。

月が真上にある時間は、今から寝ても、朝まで充分だよね。


起きると。ルームメイトが、僕にトーストを差し出した。

「おはよう。」

僕はありがたく受け取って、いつも通りの彼の顔をみた。

「ねぇ、昨日の夜、出掛けた?」

気になることを聞いてみた。

「何いってんのさ。猫じゃあるまいし。寝てました。だから君より、早起き。」

彼は、そう言った。


僕が寝ぼけていたとでも言うのだろうか。

玄関になかった靴。

顔を洗いにいくときは、あったんだ。

雨なんて降ってないのに

靴は、濡れている色をしていた。


だけど、僕は、それ以上、問い詰めなかった。失敗して失いたくないからだ。


「早くしないと、遅れるよ。」

いつものセリフ。僕は、いつもの朝に戻った。


昼休み

学校の中庭のベンチで、ヒントを手に、解読に苦しんでいた僕の前を、クラスメイトが通りかかった。

「なにしてんの?」

クラスメイトが、久しぶりに僕に話しかけた。

「それ、探知箱の手がかりレターだね。」

僕は驚いた。本当に、知っていて当たり前のことなんだと思ったからね。

「何でそうだと分かるの?レシートかもしれないのに」

僕が、そういうと、彼は、手を差し出した。

「それ、見して」

さっと目を通して、返してくれる。

「メティティはさ、誕生日からもらうものなの。それで無限の空間から、形になるための座標を時間に渡される。受け取った時間を計算するCPUが、遺伝子、といわれてるよね。その事を、座標限定って言うんだ。メティティではね、座標限定が 命の始まりの瞬間、という理解をしているよね。」





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