第9話○友達○
寝室を出ると、ルームメイトが居た。
「おはよう。帰ってたのか。何時だった?」
「2時くらいかな。ほら。お土産。」
ルームメイトは、部屋の隅を指差した。
「カブトムシ!」
「クラスメイトと約束していてね。」
「すごい懐かしいな。」
興奮する僕をみて、彼は笑っていた。
「たぶん卵を生むから、返しにいく時は、一緒に行くかい?」
「あぁ、もちろんだよ。」
ルームメイトがけしからん夜遊びをしていたのではなくて、僕は安心した。
寮生活は、まるで修学旅行だ。女子の部屋に遊びに行こうと誘われたクラスメイトも知っている。
幸いにも、僕のルームメイトは、そうではなかったらしい。
「探知箱の方は順調かい?」
ルームメイトは、制服のネクタイを締めたところだった。
僕は、昨日の店の話をした。
2冊のノートを見せる。
彼は頷いて、鏡を見て、前髪を仕上げていた。
「そのノートはね、人に見せびらかすものではないんだよ。自分の設計図は、大事だろ。卒業したら、特に内緒にしないと。君、替え玉を作られて殺されてしまうよ?」
「え。そうなの?」
「うん。メティティの陣取りは、人口比だから、合わないメティティを死なせれば、自分達の勢力が強くなるから。親子でもメティティ違いが引き離されることもあるというよ。」
あれ?この話は、店でも聞いたな?と僕は思った。
「早く支度しなよ。影が薄くても、登校しないとね。僕は、先に行くよ。」
クラスがちがうからか、彼はもう、鞄を持っていた。僕は、慌てて支度する。
ツインメットの情報を確認しながらで、端から見れば、勉強熱心な1学生に思えたことだろう。今のところは、その他大勢レベルの存在感だろうから。
それにしても。
光裏なんて、テレビの世界の狡さを疑いたくなるな。
僕は、ツインメットへの先入観を育てていた。
僕は、陸上部に所属している。
部活にも、でないと怪しまれるだろう。
すっかり影も薄くなって、教室に入っても、気づいてもらえない。
席について、ノートの続きに目を通した。
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