第28話
「なぁ、人形使いが荒くないか?なんで俺だけ作業しているんだ?」
工具を持ち、汗かきながら作業を進めている花子さんが私たちに対して文句を言う。
ちなみに他のものに触れられなかったはずの花子さんだが他のものに触れられるようになっている。
その理由は蓮が神が持っている力、神力を使って花子さんという存在の格を強引に上げたらしい。
人ならざるものには格というものが存在しているらしく、低位の人ならざるものは自我を持たず、中位の人ならざるものからは自我を手に入れ、上位の人ならざるものなら普通の人間と同じようにいろいろなものに触れられるようになるらしい。
花子さんはもともと自我しか持っていない中位の存在から、他のものに触れられる上位の存在に。
だからといって花子さんがベルゼブブと同じ格になったかというと違うらしい。
上位の存在になってからは、
人災級
災害級
災厄級
災禍級
天災級
終焉級
と、たくさんの強さの段階があるらしい。
蓮のような神々が終焉級で、ベルゼブブが天災級なんだそうだ。
花子さんは人災級らしいので、ベルゼブブや蓮とは格が全然違うらしい。
「仕方ないだろう。今この中でお前しか作れないのだから」
花子さん人形の隣でせっせと手を動かしている弘樹先輩がそっけなく返す。
私や弘樹先輩では上手く工具を使えなかったのだ。
弘樹先輩に至っては工具を扱いこなせるほどの筋力すらも持っていなかった。
ちゃんと運動したのは小学生の時が最後らしい。
そして私は不器用で、のこぎりなどで木材を上手く切断することができない。
苦手なのだ。技術系は。
どうしても。
そんな中、花子さんだけは違った。
なぜ使えるのかは覚えていないらしいが、工事の仕方や工具の使い方とかを知っていてDIYも問題なく行えた。
それにしても何故花子さんは工事の仕方や工具の使い方を知っているのだろう?この学校が建てられるときにはすでに学校にいて、学校が建てられているところを見て覚えたのだろうか?
「暇だからってこの扱いはどうなんだが。なぜ俺がこんなことを」
花子さん人形はぶさくさと文句を言いながらも作業を進めている。
まぁ確かにあの中で一番蓮の不老不死に関係ない花子さんが一番の重労働をしているのも少しおかしい気もするけど。
蓮とベルゼブブの命令には逆らえないらしいので仕方ない。
「おい、玲香」
「はい?そっちは終わったか?」
「まだよ。もう少しかかるわね」
「わかった」
私達が今作っているのは神札と神棚である。
神棚担当が私と弘樹先輩と花子さんで、神札担当が蓮とひな先輩と部長だ。
神棚を作る際の担当分けとして、神棚本体は花子さんが作り、本体の飾りを私と弘樹先輩が作ることになった。
飾り二人である必要なくない?という疑問は受け付けないわ。
花子さんは私達が学校で授業を受けている時間や寝ている時間でも作業ができるので、花子さんが実質二人分ってことにしておいてほしいわ。
そもそもなぜ私達がこんなことしなくちゃいけないことになったのか。
それは、弘樹先輩の『俺、蓮が不老不死になった理由も戻す方法もわかったかもしれない』という一言まで遡らなくてはならない。
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