第24話
あれからしばらく。
私達は無事に駐車場の方に戻ってくることができた。
よかった。
ちなみに、部長が弘樹先輩になんで来た道がわかるのだと聞いていたのだけど、無視されていた。
可哀想に。
でも、なんでわかったのだろう。
不思議だ。
「早く乗って頂戴?」
「………く」
そして今は弘樹先輩が動き出すのをみんなで待っている。
弘樹先輩は車の前に立ち、車を睨みつけている。
「もー遅い!観念するの!」
いつまでも車に乗らない弘樹先輩にしびれを切らしたひな先輩が無理やり車の中に連れ込む。
「くっ……匂いが……」
車の匂いにやれられたのかもうすでに若干顔が青い。
「ほら、横になって」
ひな先輩が正座し、流れるように弘樹先輩を自分の膝に寝かせてあげる。
「お世話になるわ」
「それじゃあ出発するわね」
部長がエンジンをつけ、車を発進させる。
そして、みるみる弘樹先輩の顔色が悪くなっていった。
■■■■■
「はむはむ。うーん!」
「おろろろろろろ」
「ふーん、ふふーん、ふんふふーん」
蓮が美味しいそうにケバブサンドを口に頬張り、
弘樹先輩が盛大に嘔吐し、
ひな先輩が弘樹先輩の頭をなでながら機嫌よく鼻歌を歌う。
なにこのカオス。
ケバブサンドのいい匂いとゲロの匂いがいい感じに混ざりあい、最悪の匂いが充満していた。
地獄。
蓮はよくこんな環境で美味しそうにケバブを食べられるわね。
私だったら絶対無理。
部長が運転する車は誰もいない道を通っていた。
あら?
来たときこんな道通ったかしら?
……。
ぶ、部長の体が震えている気がするのは気のせいよね?
がたん!
急に車が停止する。
「あら?」
「どうしたの!?」
「え?また?」
急に止まったことに驚き、ひな先輩が大きな声をあげる。
それと対象的に蓮は困惑した表情を見せる。
「いや、何故か車が動かなくなってね」
「人ならざるもの、というか妖怪のせいだよ。ちょっと待ってて」
「……妖……怪」
妖怪と言う単語を聞いて覚醒した弘樹先輩がノロノロと体を起こす。
「さくっと排除してくる」
蓮は刀を持って、車から出た。
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